「かき餅」やあられなどの米菓作りを手がける米原市上板並の住民グループ「伊吹の山里 片田舎」が、後継者を探している。
「米菓」は全国から注文が入る人気ぶりだが、メンバーの高齢化が進み、技術が途絶えるのを危ぶむ。製造を主に担う小杉長男さん(74)は「技術は全て伝えるので、それぞれの地域で作り続ける人が現れてほしい」と願う。
↑写真:中日新聞より
平らな形はかき餅、小さく四角いのがあられ。えびにカレー、ヨモギ、紫芋など十八種類もの味付けが、赤、黄、緑、紫と色とりどりの素朴な菓子に彩りを添える。サクサクと柔らかく、かめば粘り気が出てくる食感。「いつの間にか全部食べちゃう」と好評だ。
かき餅作りは地元で採れたもち米「滋賀羽二重糯(はぶたえもち)」を蒸すところから始まる。蒸したもち米を味付けの素材と砂糖や塩、ベーキングパウダーなどと合わせて餅つき機へ。
2~3日ほど乾かしてから小さく切り、さらに一週間ほど乾燥させる。電子レンジで温めると「焼きかき餅」が、焼きかき餅を油で揚げると「揚げかき餅」が完成する。
もち米は1度に5kg使い、水を含ませると約8kgほどの重さにもなる。「手間がかかる作業だよ」。小杉さんが笑う。
もち米は1度に5kg使い、水を含ませると約8kgほどの重さにもなる。「手間がかかる作業だよ」。小杉さんが笑う。
小さい頃に親戚の手伝いで米菓を作った経験や、農業でもち米を手がけたこともある小杉さん。14年ほど前に「村おこしになれば」と大福などを作り、近隣の道の駅で販売を始めた。売れることが分かると、知り合いらに声をかけ、「片田舎」を立ち上げた。現在のメンバーは6人ほどで、名称には「固い仲」の意味が込められている。
転機になったのは2011年の東日本大震災。発生直後に何か支援がしたいと考えたができず、後悔が残った。「かき餅なら賞味期限も長いし、停電していても炭で焼けばすぐ食べられるから、震災時に役に立つのでは」と考え、米菓を作るようになった。
材料の調合などの工程は、試行錯誤を重ねて全て自分たちで編み出した。苦労のかいあって、道の駅で買った遠方の客が気に入り、連絡してくることも多い。「注文してくれるお客さんがいる限り、これからもできる限り作り続けたい」と思う。
一方、高齢で作業は大変になってきた。作り方を伝えて、また各地で作ってくれれば、技術の継承にもなるし、災害時に助け合うためのネットワークにもなるのではと思い描くようになった。「米菓を通じ、何かあった時には協力し合えるグループをつくりたい」と呼びかけている。技術を伝えるのは1グループ5人まで。
問い合わせ: 伊吹の山里 片田舎
米原市上板並216
080(1434)7931
<中日新聞より>