クレープやハンバーガーをほおばる若者の写真が並んだパンフレット。
真剣なまなざしで校正作業をするのは、滋賀県立彦根東高校(彦根市)の新聞部員たちで、3月中の完成を目指し、内容に誤りがないか、より楽しいデザインにできないか、パンフレットの最後の仕上げに励んでいる。
部員たちは、近江鉄道の社員と彦根市、愛荘町、豊郷町、湖東土木事務所の職員計6人で構成する「中高生班」の依頼を受け、1月に近江鉄道を使って、沿線のスイーツ店などを訪問。試食、撮影して記事にした。
↑写真:中日新聞より
「若い人にも幅広く乗ってもらい、地元の価値を発見してほしかった」と話すのは、班長の豊郷町企画振興課職員内田千嗣さん。
他社線ではアクセスできず、合格祈願や初詣で高校生も訪れる機会がある多賀大社前駅に着目し、彦根駅までの間にある店や商品を高校生の視点で選んで、紹介してもらうことにした。
パンフレットはA4判両面カラー。写真映えし、高校生の手に届きやすい価格のグルメ情報と、定期券利用者は100円で定期区間外も利用できるといったお得なサービスを掲載している。
4月にも校内と彦根駅で3000部を配る計画だ。
彦根市在住の1年竹本さんは、今回の取材で初めて近江鉄道に乗ったといい、「車内は座席の幅が広い。足元も暖かくて幸せだった」と雨の日の取材を笑顔で振り返った。
1年の蓮井さんは鉄道ファン。幼いころは高速で走る新幹線が好きだったが、中学生になると近江鉄道の魅力に気付いた。「改造された車両がキメラ(異質胴体)みたいでおもしろい」「社名を変えず、長く苦難の歴史がある」と熱っぽく語る。
そんな個性的な後輩たちをまとめたのは、2年の清水さん。自身は東近江市永源寺地区からバスで八日市駅まで出て、3カ月で5万円ほどかかる通学定期を利用している。
しかし、近江八幡駅近くの映画館を訪れる際など、通学以外では自家用車で送迎してもらうことが多かったという。定期利用者向けのサービスは「毎日のように乗っているけど知らなかった」と驚き、「運賃が高いイメージがあり、送迎してもらっていた。早く知っていれば、もっと乗っていたのに」と悔やんだ。
<中日新聞より>