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交感神経と高血圧

2012-04-26 17:28:46 | インポート
 高血圧が手術で改善されたという報道がありました。薬が効かない難治性の高血圧の男性患者に腎臓の近くの交感神経を一部切断する手術を行い、高いときは250近くあった血圧の上の値を正常値の130前後にまで下げることに兵庫医科大学のグループが成功したというニュースです。
 その方法は、太ももの血管からカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、腎臓の動脈の周りにある交感神経の一部(17ヶ所)を焼き切るというものでした。交感神経は、別名「昼の神経」と呼ばれ、活動的なときに活躍する神経で、腎臓と心臓の間を行き来しています。交感神経が働くと、瞳孔は拡大し、心臓の拍動は速くなり、血管は収縮して血圧を上げ、体はエネルギッシュな状態になります。
 確かに、高血圧は「沈黙の殺人者」とも呼ばれ、静かにゆっくりと忍び寄り、そしてある日突然に心臓病や脳卒中などにより死に至らしめるという怖い病気です。
 しかし、交感神経系の機能は、闘争か逃走か(fight or flight)と総称されるような、身体的活動や侵害刺激、恐怖といった広義のストレスの多い状況において重要となるものです。その機能を焼き切ることで高血圧を防ぐことはできても、いざというときの感情の高まりが失われ、生体としての危機管理能力も失われてしまうのではないか、という素朴な疑問が起こりますが、杞憂なのでしょうか。