埼玉県行田市で6月1日から「虐待防止条例」が施行されました。
これは,児童虐待のみならず,高齢者虐待,障害者虐待などいわゆる社会的弱者に対する虐待について市が対応するというものです(詳しくは,行田市のホームページ中のこちらを参照してください。)。
よく考えましたね!ナイスです。
虐待を防止するということは当然必要なので,このような条例ができることは当然有用であると思いますが,ここでは,別の切り口からこの条例の存在意義を考えてみたいと思います。
地方分権との関係について
現在,国の法律では「児童虐待防止法」があります。しかし,高齢者虐待法及び障害者虐待法は,未だ法律はありません(高齢者については,現在国会において法案審議中,障害者については次期国会での提出を目指すとのことです。)。
すると,高齢者と障害者に関する虐待は,刑法犯を除いては「空白地帯」となります。一方,行田市の条例はこの点も含めてフォローしていることになります(これを「横だし条例」といいます。)。
また,児童虐待についても,法令以上のフォローを想定しているため,よりきめ細かな対応が可能となります(これを「上乗せ条例」といいます。)。
つまり,行田市の条例は,国の法律を吟味した上で,国の対応が不十分と感じた部分について上乗せ条例または横だし条例を制定したことになります。
これは,まさしく,地方が主体的に政策を考えて条例化するということで,「地方分権化の第一歩」といっても,過言ではないでしょう。
多くの市町村でも,このような条例(もちろん,虐待に限りません)をもっと積極的に検討し,名実共に「地方分権」さらには「地方主権」を進めてほしいものです。
以上の観点から,行田市のこの条例は高く評価できると思います。
しかしながら,さらに別の切り口からこの条例について検討してみると,若干問題があります。
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政策法務の観点について
この条例の条文(詳しくは,行田市のHPにあるこちらを参照してください。)は,全7条でできていますが,政策法務の視点から多角的に検討した場合,条文上の問題及び運用上想定される問題などが数点見受けられます。場合によっては,虐待している人からさらに行田市が訴えられて市が虐待している人に対して損害賠償を払わなければならないという「盗人に追銭」状態になりかねないものもあります。
それは,どこか。
ここではあえて書きません。なぜならば,虐待している人がこのブログを読んで,市の対応に対してそのようなクレームをつける可能性があるからです。そうなると,折角虐待防止の大儀と地方分権へのさきがけとなるこの条例が有名無実化してしまうからです。
この点は,市の担当者等によく考えてもらいましょう。
また,他の市町村の職員の方で気が付いた点などがあった場合は,行田市にフィードバックするようにしましょう。そうすることで,相互にこの条例や周辺知識について理解と関心が深まり,さらには政策法務としての発想もより強くなると思います。
政策法務の観点は,ないがしろにしてはいけません。
いずれにしても,この条例,本来的には「全く使われることがない」すなわち「虐待が全くない」という町になることが望ましいのですが・・。
これは,児童虐待のみならず,高齢者虐待,障害者虐待などいわゆる社会的弱者に対する虐待について市が対応するというものです(詳しくは,行田市のホームページ中のこちらを参照してください。)。
よく考えましたね!ナイスです。
虐待を防止するということは当然必要なので,このような条例ができることは当然有用であると思いますが,ここでは,別の切り口からこの条例の存在意義を考えてみたいと思います。
地方分権との関係について
現在,国の法律では「児童虐待防止法」があります。しかし,高齢者虐待法及び障害者虐待法は,未だ法律はありません(高齢者については,現在国会において法案審議中,障害者については次期国会での提出を目指すとのことです。)。
すると,高齢者と障害者に関する虐待は,刑法犯を除いては「空白地帯」となります。一方,行田市の条例はこの点も含めてフォローしていることになります(これを「横だし条例」といいます。)。
また,児童虐待についても,法令以上のフォローを想定しているため,よりきめ細かな対応が可能となります(これを「上乗せ条例」といいます。)。
つまり,行田市の条例は,国の法律を吟味した上で,国の対応が不十分と感じた部分について上乗せ条例または横だし条例を制定したことになります。
これは,まさしく,地方が主体的に政策を考えて条例化するということで,「地方分権化の第一歩」といっても,過言ではないでしょう。
多くの市町村でも,このような条例(もちろん,虐待に限りません)をもっと積極的に検討し,名実共に「地方分権」さらには「地方主権」を進めてほしいものです。
以上の観点から,行田市のこの条例は高く評価できると思います。
しかしながら,さらに別の切り口からこの条例について検討してみると,若干問題があります。
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政策法務の観点について
この条例の条文(詳しくは,行田市のHPにあるこちらを参照してください。)は,全7条でできていますが,政策法務の視点から多角的に検討した場合,条文上の問題及び運用上想定される問題などが数点見受けられます。場合によっては,虐待している人からさらに行田市が訴えられて市が虐待している人に対して損害賠償を払わなければならないという「盗人に追銭」状態になりかねないものもあります。
それは,どこか。
ここではあえて書きません。なぜならば,虐待している人がこのブログを読んで,市の対応に対してそのようなクレームをつける可能性があるからです。そうなると,折角虐待防止の大儀と地方分権へのさきがけとなるこの条例が有名無実化してしまうからです。
この点は,市の担当者等によく考えてもらいましょう。
また,他の市町村の職員の方で気が付いた点などがあった場合は,行田市にフィードバックするようにしましょう。そうすることで,相互にこの条例や周辺知識について理解と関心が深まり,さらには政策法務としての発想もより強くなると思います。
政策法務の観点は,ないがしろにしてはいけません。
いずれにしても,この条例,本来的には「全く使われることがない」すなわち「虐待が全くない」という町になることが望ましいのですが・・。