あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

赤ちゃん連れ去り事件からいろんなことを考える

2006年01月08日 15時38分34秒 | メディア論
仙台市内の病院から連れ去られた赤ちゃんが無事保護されたそうです。

livedoor ニュース


とりあえず元気だったので,よかった,よかった。

容疑者とみられる男女2人は現在任意の事情聴取を受けており,まもなく逮捕状を請求するそうなので,今後の具体的な動機や事件背景などについては,警察の捜査の進展を伺いたいと思います。

ところで,今回のニュースについて,例によって,別の切り口から意見を少し。

1 報道協定とネット社会の関係
  実は,私も昨日の時点でこのニュースを記事にしようと思っていたのですが,あれだけ大騒ぎしていたニュースがパッタリと止まったのを見て,「ひょっとしたら,身代金目的誘拐か?」と思い,記事にするのを止めました。
  案の定,身代金誘拐事件となっていたため,マスコミ各社は報道協定(被害者の身の安全を守るため)によりニュースを止めていたようなので,私としても記事にしなくてよかったと思っています。また,報道協定については,マスコミの行動としてはしっかりしているなあ,と思います。
  しかしながら,報道協定の想定外の事項として,この「ブログ」などネット環境があります。
  ブログ上では,当然報道協定などありませんから,自由に書き込みが続けられます。
  もちろん,今回の場合は,多くの書き込み内容は「赤ちゃん,大丈夫かな?」的な内容であったため,結果的にはあまり大きな問題となりませんでしたが,内容によっては犯人の目にはいることで,徒に犯人を刺激してしまう可能性だって否定できません。
  そう考えたとき,私たちブロガーとしても,被害者(誘拐された人)の安否を気遣うだけならともかく,犯人と被害者の関係など犯人を刺激するようなことを記載することは控える必要があるでしょう。

  もっとも,現実的な問題として,「これは身代金誘拐か,単なる事故による行方不明なのか」をニュースから判断することは困難です。
  したがって,当面の措置としては,「突然ニュースが消えた行方不明事件は誘拐の可能性が高い」という基準を自分なりに設けておくのが良いのではないでしょうか。

2 とはいえ報道協定は国民に報じないだけ
(1月8日追記:踊る新聞屋-。さまから,ご指摘を頂きまして,内容をかなり修正しました。ご指摘本当にありがとうございました。取材自体も規制されている用ですね。)。
  先ほど報道協定を褒めましたが,この報道協定について注意しなければならない点があります。
  それは,「報道協定とは,犯人を刺激しないために,ニュースなどで報じない」というだけであり,取材活動は継続して行っている,という点です。
  したがって,各マスコミも十分に配慮しているとはいうものの,現実には,管轄警察署内の詰め所にに多くの記者が張り付いて取材を継続している状態になります。
  それだけならば,特に問題ないのですが,実は盲点なのは,「中継車」です
  報道協定が解除された瞬間に,各社一斉に中継を始めました。っていうことは,中継車が警察のすぐ側に置いてあるということになります。そして,経験則上,この中継車は警察の駐車場に止まっている場合が多く,警察署の駐車場がいわば「テレビ中継基地」状態になっている場合が多いです。
  この光景は,一般人が見ても,「なんか事件があったな」と思える状態であることから,もしも近くに犯人がいるならば,被害者が警察に通報して捜査の対象となっていることがすぐに分かってしまうでしょう。
  ちなみに,過去においても(古い話ですが),身代金受け渡しの指定された喫茶店に各マスコミ記者が詰めており,客が入るたびに写真を撮影する状況であったため,実際にやってきた真犯人がその状況を見て帰ってしまい,結果的に誘拐された人は殺害されてしまったという結末もありました。
  報道協定は,外に対する制限だけでなく,内側の取材自体も十分に配慮するべきであろうと言えますが,さらにいうと「外から見ても全く平穏な状態」を維持できるよう,最大限配慮する必要があると思います。
  今回の場合,当初は事件を報じた後に途中から報道協定を惹かれた状態であることから,駐車場問題はあまり問題視されることはないでしょうが,今後身代金誘拐事件などが発生した場合は,そういう盲点についても注意していただければと思います。

3 病院の安全管理体制について
  記者会見では,病院の安全管理体制の不備についてかなり指摘されていました。
  確かに,今回の記者会見を聞いている限り,防犯カメラもなければ,警備員も1人,さらには玄関は開いたままである上,当直看護師は少ないなど問題点があることは否定できません
  しかし,この病院に限らず,多くの病院においてセキュリティが甘いというのが実態ではないでしょうか。
  まず,病院は,夜でも急患が来ます。いつでも早期に対応するためには,玄関は開けておかざるを得ないでしょう。また,病院経営も厳しいことから,当直の人間は治療に必要最小限に留めておかざるを得ません。もし,この点を人員的に増員して常時誰が侵入しても対応できるようにしておくとしたら,結果的に治療費に跳ね返ることになり,医療費の高騰と健康保険財政の破綻にもつながりかねません。

  では,どうするべきなのでしょうか。
  病院に限らず,人の出入りが多い公共施設(学校,市役所,老人福祉施設,保育園等)においても,銀行のような警備システムを検討する必要があると考えます。
  銀行は,「お金」を狙う強盗が来るリスクが高い一方で,毎日まじめな客が山のようにやってきます。しかし,銀行の玄関をいちいち施錠したり,入るたびに指紋や顔写真を取っていると,まじめな客はその銀行がうっとうしくなり,行かなくなるでしょう。
  したがって,銀行の場合,「出入り口は自由にするが,守るべきところは守る」という構造設計と,「万一の時に確実に追跡できるシステムとする」という方策を講じています。
  具体的には,銀行を見てご存じのとおりですが,前者については「頑丈な金庫」や「乗り越えにくいカウンター構造」等にしており,後者については「防犯カメラ」「出入り口の身長チェックテープ」「カラーボール」「訓練」などで対応しています。
  このような対策を,客の出入りが多い公共施設でも検討すればよいのではないでしょうか。「お金」だけでなく「人」や「情報」も立派な財産です。むしろ,お金以上に人の安全を考える必要は高いと言えます。
  安全対策とは,何も鍵をして閉じこめておくことばかりではなく,まじめな客の利便性と犯罪発生の可能性を踏まえて,その施設にふさわしい安全管理システムは何かを考えることをいいます。

  ちなみに,記者会見で突っ込んでいた記者は,あたかも「外部侵入シャットアウトができなかった」システムを批判していましたが,では銀行強盗事件が発生したときも全く同じつっこみをするかというとそんな訳ないはずですから,もう少し突っ込み方を研究してほしかったと思います。

以上,例によって全く別の切り口から今回の事件を検証してみました。

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