あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

親子きょうだい間で喧嘩している家族の方へ

2005年06月12日 23時09分12秒 | 法律問題
若貴兄弟のもめ事がいろいろとあるようですね。
私は,あの家族の問題には興味も関心もないのですが,実際,世の中では親子やきょうだい間ですごいもめ事を抱えている家族の方も多いのではないでしょうか。
家族間の問題は,大きく分けると次の2種類になると思われます。
1 お金の問題
2 感情の問題(いろんなしこり)


2については,腹を割って話し合う以外にすべはありません。っていうか,おそらく修復は困難でしょう。
問題は1です。これは,「金の切れ目が縁の切れ目」ということで,場合によってはこの問題を機に2の問題に移行する場合や,逆に2の問題から1に行く場合も多いです。2の問題が絡んでしまった場合,やはり抜本的な解決は困難でしょう。
とはいえ,多少なりとも問題の解決,またはその予防をしておくことが望ましいです。では,どうすればよいでしょうか。
そこで,次のような提案をしたいと思います。

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第1 紛争予防策(家族間の問題が発生しないようにする)
1 まめに家族みんなと連絡を取る(そりゃそうだ。)
2 お金の管理は透明にする(家族間といえどもアカウンタビリティの精神を導入する)
3 遺言書を書いておく(しかも公正証書遺言にして,事前に内容を明確にしておく。これは財産の適正管理という観点からも有効なので,できれば税理士やFPなどと相談しておくことがより紛争防止になる。)
4 血族以外の者(自分の妻や夫)の発言権も認める(田舎では,この点が紛争を拡大する原因にもなっている。)
5 「長男だから」という考えに固執しないで柔軟に考えるようにする(「長男だから」を都合がよいときに使ったり,都合が悪くなると使ったりするなどして,もめだしてしまうため,あまりこだわらないようにした方がよい。)
6 結局,家族みんなで仲良くすること(これができないから問題になる。)

第2 紛争発生時
1 早めに第三者に相談する(時間が解決するとは限りません。場合によっては,時間がたつことで余計おかしくなることもあります。できれば完全に中立性のもてる人に相談するのが良いでしょう。弁護士や司法書士などがベストだが,地方によっては自治会長等長老的存在の人でもよいです。)
2 早めに家庭裁判所調停にする(ただし予告なくやると「裁判にしやがった」と余計暑くさせるおそれがあるため,事前に裁判所で話し合いましょう的な予告をしておく。裁判所の調停は,調停委員という一般人が入るため,市民感覚での解決が望める場合が多い。)
3 作った遺言書は適宜見直す(いつでも遺言書は撤回できます。ただし,変更するときは必ず全員にその内容も含めて知らせておきましょう。さもないと,もっともめます。)
4 家族での話し合いをするときは,できるだけ故郷で行う(故郷に帰るとなんとなくノスタルジックな気分になり,怒りも収まる場合がある。ただし,故郷に嫌な思いである親族の場合,逆効果にもなるため,その点は臨機応変に。)
5 変に意地を張らず,妥協点を自分なりに探しておく(身内でもめた場合,結局身内の誰も得をしない。得するのは,そこに群がるハイエナだけ。ならば早期解決がベスト。)
6 妻や夫の意見は,自分に不利になる話だけを聞く(配偶者は所詮他人なので,すこしでも儲かることしか考えないのが普通。そんな意見を聞くと余計おかしくなる。むしろ,自分に不利になる意見を言ってくれる方が,親族全体のことを考えているありがたい配偶者であるといえる。)

以上になります。まあ,世の中そんなにきれいにはいかないかもしれませんが,とにかく紛争が発生して良いことは一つもありません。
特に,身内の問題の場合は,長年育ててもらい,また一緒に育った仲なのだから,少しは恩義と感謝の念をもって身内全体と接するようにすれば,紛争は発生しないのではないでしょうか。まあ,これもきれい事かもしれませんが。

とにかく,もめ事は良くありません。もめないようにするか,もめている場合は早く解決する余に頑張りましょう。

食育基本法が成立しました

2005年06月11日 20時11分56秒 | 教育問題
10日,食育基本法が国会で可決成立しました(条文はこちらです。)。
そもそも食育とは何でしょうか。簡単に言ってしまえば,子供のうちから食に対しての正しい知識をつけ,健全な食生活を身につけさせるというものです。
そして,この法律はそれを進めるために,国や地方自治体に対して,食育推進計画を作成し,推進するように努める旨規定していると共に,食育の推進を国民の責務としています。

法律にまでしなければダメ?

実際,子供の食生活が深刻な状況に陥っていることは紛れもない事実です。朝食抜き,無意味なダイエット,過剰なまでの偏食等という食自体に対する問題と,さんまは開いて泳いでいる,キャベツが千切り状態で収穫される,魚や肉の種類を知らないなどという食に対する知識の欠如,さらには箸が使えない,ご飯とみそ汁の置き場を知らない,食べながらしゃべる等という食のマナーに対する知識の欠如などがあります。
これらは,いずれも本来ならば家庭教育の範疇であり,国や学校がどうこういう分野ではありません。しかし,食は健康問題にも直結する深刻な問題であること,食も立派な文化であるがその文化の崩壊につながりかねないことなど現実的な問題がかなりあります。したがって,きれい事ではなく,現実の問題として学校教育により食育を取り入れることはよいのではないでしょうか。
ただ,これを法律にまでする必要があったのかなあ,という疑問があります。
まず,食育を学校教育として取り入れるようにする,そこから始めれば十分だったのではないでしょうか。
もちろん,食育の問題は児童だけではないため,そのような観点からすればこのような法律が必要だったのかもしれませんが,食育についての危機感は,やはり自己責任能力に乏しい児童にあると思います。

まあ,法律の是非はともかくとして,食育,これをもっと推進して,子供達の食生活や食に対する知識を大きく変えてほしいと思います。
食育により,子供の食生活が改善されれば,大脳や体全体がしっかりと育ちますから,キレる子供も減るでしょう。食育により,他の問題が解決するかもしれませんね。

なお,食育については,一部誤解もあり,中には「和食復活,洋食を否定することは国粋主義の推進である。」というかなり過激な意見もあります。しかし,食育は,何も洋食を否定するとかいうものではありません。ようは,和食洋食問わず,栄養を考えて正しいマナーで食べる,ということです。伝統的な食生活=和食という訳ではありませんので,その点はご注意ください。

こんな私ですが,実は箸が未だにちゃんともてません(^_^;)。こんな大人にならないようにするためにも,食育は重要だと思います(私の場合は,両親がちゃんと教えたそうですが,あまりに不器用だったために,ついに断念したという話をあとで聞きました。箸ならぬさじを投げた状態だったみたいです。)。

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税金上げるな,天ぷら揚げろ!

2005年06月10日 23時19分45秒 | 増税問題
政府税制調査会によると,今月末の答申において,1配偶者控除の廃止,2基礎控除の拡大,3サラリーマンの基本控除額の縮小などを柱とする答申を出す旨の報道がありました。

サラリーマンは,また増税ですか?

配偶者特別控除が廃止され,実質増税となりましたが,これらの内容が仮にすべて税法に盛り込まれたとしたら,さらなる増税に等しくなります。
また,配偶者控除の廃止は,働きたくても働けない専業主婦(夫)の生活をさらに圧迫するだけです。男女共同参画の精神を廃止の理由の一つとしていますが,まず社会のインフラを整えることが先行するべきではないでしょうか。
基礎控除の拡大は,これにより廃止,縮小される制度の対案的性格を有していると思いますが,どの程度大きくするかにより全く状況が変わってきますので,安心はできません。
そして,問題はサラリーマンの基本控除額が縮小されることです。つまり,簡単に言うと,サラリーマンについては,経費は認めないということに等しくなります。
対案として,確定申告を可能にするという制度も検討するそうですが,そうであっても相当厳しい状態であることに変わりはありません。
いずれにしても,ガラス張りの納税者であるサラリーマンは,この答申どおりになると実質増税ということになります。

さらに,この答申では,自営業者についても増税を検討するようだが,根本的な制度の見直しまでは検討していないようです。
つまり,サラリーマンと農工商業者との不均衡はますます大きくなるといえます。必要経費について明確な基準がなく,かなり曖昧になっているのが実情だからです。そもそも,サラリーマンと比べて収入金額自体についても自主申告である以上,正しい金額かどうかも分かりません。逆に言うと,正直に申告している農工商業者は馬鹿を見るという制度であるといっても過言ではありません。つまり,現在は,正直者が損をするという制度といえます。

この点は,士農工商制度を確立した自民党の策略であることは間違いありません。
サラリーマンは士農工商以下の地位にある,というのが自民党の持論ですから。

税調がどのような答申を出しても,それ自体は諮問機関なので別に構いません。
ただ,これを知らぬ間に法案として可決することだけは止めてほしいです。特に,総選挙が終わってから税制の改正を行うことは明らかに禁反言です。やるなら,総選挙前にしっかりと国民に改正内容を呈示して,正々堂々選挙に臨んでほしいものです。

使い方についても無駄遣いのないようにするための議論をしてほしいですが,取る方についても不公平感がなくなるような制度なるように議論をしてください。

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おめでとう,サッカー日本代表\(^^@)/,さようなら,プロ野球(;_;)/~~~

2005年06月08日 23時52分57秒 | スポーツ全般
やりました,サッカー日本代表!ワールドカップ出場決定第一号ですね。おめでとうございます。そしてバンザイ!!
それにしても,主力4人抜きという飛車角落ち状態で,良く2-0というスコアに持っていくことができました。大黒選手の勢いがチーム全体を引っ張った,という感じでしょうか。
もちろん,決定力不足などまだまだ課題は多いですが,ドイツに向けてこれから戦術と各選手のスキルアップを図ってほしいと思います。
ただ,気になった点ですが,試合終了後,北朝鮮選手と握手などエール交換していました?単にテレビに映ってないだけなればいいのですが,もしこれやってないとしたら,ちょっとスポーツマンシップに反するのでは,と思ったりもしたものです。

ところで,一方のプロ野球ですが,巨人ロッテ戦をやっていたみたいですね。視聴率はいうまでもなく低かったと思いますが,もっとひどい話として「なべつね復帰」が発表されました。
これにより,プロ野球は再び改革路線を止めて現状維持路線に戻ってしまうことでしょう。つまり,プロ野球の発展の芽を摘まれてしまうことになります。
さようなら,プロ野球。阪神が強かった頃の良き思い出はずーっと忘れませんよ(T.T)。

よろしければ1クリックお願いしますm(__)m人気blogランキングへ ちなみに,北朝鮮戦についての独断と偏見の評価ですが,大黒,宮本両選手のおかげで勝てたといえるでしょう。
逆に,鈴木,福西,加持選手は,今ひとつキレが良くありませんでした。コンビネーションも悪かった感じがします。
まあ,イラン戦に向けての課題が洗い出されて良かったのかなあ,という感じでしょうか。
一方,審判は,前回のバーレーン戦と比べると,良く見ていました。ただし,ボールの軌道にいすぎ!っていうか,ボールに背を見せすぎ!!
でも,選手の反則か否かはちゃんと見てるんだよなあ。別の所に目があるような不思議な感じでした。
北朝鮮選手,最後のレッドは余計でしたね。まあ,彼らも背水の陣で臨んでいたからかなり当たりが厳しくなっても仕方ないのでしょうが,でもやはり最後のだけは余計でした。
そして,無観客試合ですが,客がいないとピッチでの選手やコーチの叫びがあそこまではっきり聞こえるのですね。これは新たな発見でした。こんな試合もたまにはいいかも。
ただ,外での応援が,最初「空耳」かと思ってしまいました。

市町村長申立ての後見事件が増えそうです

2005年06月05日 22時33分27秒 | 地方自治
読売新聞によると,市町村長が申立てることができる後見開始申立の要件を4親等の親族の確認から2親等の親族の確認に要件を緩和するということです(ニュースソースはこちら)。簡単にいえば,これまでは甥姪の子まで確認する必要があったのが,これにより孫やきょうだい程度で済むということになります。
これについては,今後市町村による後見制度の積極的な活用が期待できる旨コメントもありました。
まあ,確かにそのとおりですが,ちょっと気になることがあります。

厚生労働省って,そんなことまで通達を出していたの?

そもそも後見開始の申立は,民法7条に規定があります。そこには市町村長ができる旨の記載はありません。
では,市町村長が申立ができる根拠はどこにあるのでしょうか。それは,特別法です。具体的には,老人福祉法32条,知的障害者福祉法27条の3,精神保健法51条の11の2等です。
ただ,ここで注意したいのは,いずれの条文も「市町村長は,必要あると認めるときに申立ができる」旨の規定があるに過ぎず,その具体的な内容までは規定されていません。
つまり,本来は,各市町村の独自の判断により申立をするか否かを決めることができるはずなのです。
しかし,現実にはこのような通達の存在により,市町村の独自申立は相当に制約されていたいのです。後見制度は高齢者や障害者等社会的弱者を保護するための制度であり,彼らの生活スタイルは地方によって相当異なるはずですから,全国一律に基準を作るということ自体ナンセンスだと思います。もっと,市町村に柔軟性を与えるべき案件ではないのでしょうか。

また,これは,先の政策法務の観点からすれば,まさしく市町村としては,自己の施策判断により自由に動けるべき事項であったと思われます。すなわち,法的拘束力がない以上,市町村は独自の法解釈によりより柔軟な対応ができたと思われます。
こんな所でも政策法務,そう考えさせられる一件でした。

いずれにしても,今回の方針変更により,政策法務云々はともかくとして,各市町村における後見制度に対する認識の充実と,高齢者障害者政策の充実が求められるようになることはいうまでもありません。この点については,大きな前進ではないでしょうか(虐待防止条例もより充実されると思われますし。)。

とはいうものの,実は手放しで喜べない問題もあります。簡単にいえば,「これにより,簡単に後見開始の審判が出る」ということにはならないということです。

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実は,4親等の親族探しから2親等の親族探しの負担が軽減されるのは,市町村担当者ですが,4親等の親族探しが全く不要になるわけではありません。状況によっては,4親等以内の親族探しをしなければなりません。
では,誰がさがすのか。それは,家庭裁判所です。
つまり,今回の厚生労働省の方針変更は,市町村からの申立てを簡単にできるようにした反面,家庭裁判所に対する負担を増やしたことになります。そして,裁判所はこれにより急に人が増えるわけではありません。とすると,結果として,後見開始の審判がでるまでより時間がかかってしまうという懸念があります。

まあ,申立てが増えるということで,社会的弱者に対するフォローが容易になるという点は非常によいことですが,家庭裁判所側がそれに追いつかなければ,結果的に審判が出ず,その間に様々なトラブルが発生してしまうという可能性も考えなければなりません。

この問題の解決策は,究極的には裁判官の増員になるでしょうが,すぐに対応できるはずがありません。当面は,裁判所,厚生労働省,市町村との間で連携を強化して,例えば戸籍集めは申立市町村が積極的に行うようにするなど,しっかりとした役割分担を定めておくことが大事ではないかと思います。

繰り返しになりますが,後見制度は社会的弱者保護のための制度です。彼らを保護すること,これが国家的命題であるといえるでしょう。

クールビズをもっと推進しよう

2005年06月04日 20時03分37秒 | 環境問題
クールビズが始まりました。個人的には「省エネルック」という方がまだしっくりと来ます(年取ったなあ・・)。
国会でもみんな軽装になり,筑紫哲也さんも軽装でニュース23に出ていました。

いいなあ,あれ

暑がりの私には,クールビズはまさに「天使」です。官公庁のみならず,社会全体でクールビズを推進しましょう。冷房温度を抑制できるなど地球環境にも優しいわけですから,クールビズに何の問題点があるのでしょうか。日本中でやれば,別に誰に対しても「失礼」になるわけでもありません。
クールビズを推進して,冷房温度が上がれば,地球温暖化も少し落ち着く,そうすると暑い町の埼玉県熊谷市も少しは涼しくなるでしょう(熊谷が暑い理由の一つとして,東京の冷房の影響であるという報告があります。)。熊谷を涼しくしましょう!

ちなみに,ハワイでは,アロハシャツは正装です。でもって,アロハシャツは元々日本の着物で作ったのがルーツです。っていうことは,日本でもアロハシャツが正装であっても良いのではないでしょうか,というのが,ハワイ好きの私にとっての持論です(ただし,友人知人でこの持論に賛成する人はいません(×_×))。
でも,一部自治体で実際にアロハを正装にしているところもあります。ちゃんと着れば,アロハは立派な衣装ですし,柄を選べば日本でも十分マッチします。したがって,クールビズの一環としてアロハシャツもどうにかならないものでしょうか。

ところで完全な余談ですが,私は四季を問わずクールビズになるときがあります。それは,5時過ぎでかつ職場を出て飲み屋に行った際です。飲み始めるとネクタイを外し,つける場所がないので頭に巻きます(^_^;)。
「これってクールビズかなあ」と友人に聞いたところ,「朝から満員電車の中でみんな頭にネクタイ巻いていたらどう思う?」と返されました。んー,この光景想像したら,少なくとも朝から仕事しようとする気はなくなりますねえ。
そんなわけで,クールビズ=ノーネクタイですが,クールビズ=頭にネクタイを巻く,という意味ではないので,みなさん気をつけましょう(っていうか,私だけ?)。

それでも,どうしても,スーツネクタイにこだわりたい人は,安田大サーカスの団長のようなスタイルはいかがでしょうか?(ドンドンドン,オチでーす!)。

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政策法務について

2005年06月03日 23時42分25秒 | 地方自治
最近の私の記事の中で「政策法務」の単語を結構当たり前のように使っていました。
ところが,肝心な政策法務についての説明を何もしていませんでした(いつものとおり詰めが甘いなあ・・。)。
そこで,今回は政策法務について説明したいと思います。ただし,これについては,私も現在勉強中なので,説明不十分な点があると思います。その場合,容赦なくつっこみなどをしていただけますと助かります。

1 政策法務とは何か
  実は明確な定義はありません。一方で,千葉県東京都三鷹市などでは政策法務課を置いています。ここでは主に例規審査や訴訟対応などを行っています。
  ところで,政策法務ですが,あえて定義づけるとしたら広義では「適切な法解釈に基づきコンプライアンスを確立すること」をいい,狭義では「法を十分に理解,解釈することにより,自らの施策に基づく独自の条例案や規則案を作成することができること。」となるでしょうか。
  つまり,地方自治体自らの責任と能力で法解釈を行い,適切な措置が執れるかどうか,というのが政策法務であるといえます。
  なお,以下の政策法務は,特に断りのない限り,狭義の意味のものと理解してください。

2 法制執務との違い
  政策法務と似た言葉に「法制執務」というものがあります。この辺は,実例で説明します。
  例えば,ある町で「国の法律では母子手当はあるが父子手当がない。だから,父子手当を町で独自に行おう。」という施策を打ち出したと仮定します。
  この場合,金の支出が伴うことなどから,法律の存在が前提となり,条例も法律の一種と考えれば,条例の制定が必要となります。
 (1) かつての地方自治体の場合
   かつては,条例案を作るためには,国からの通知や通達に付いてくる準則や要綱がなければ条例を作ることができませんでした。したがって,このような施策を考えても条例化することができず,結果この施策は企画倒れになってしまうということになります。この段階では「法を知らない」という状態と同じことになります。
 (2) 法制執務を取り入れた地方自治体の場合(少し進んだ地方自治体)
   地方自治体職員も勉強して条例の起案ができるようになりました。「法制執務」の発想です。これは,条例案の形式的なチェックや法律との齟齬などの形式的なチェックを行うというものです。
  この例では,条例案を起案する際のてにをはは大丈夫か,文言の平仄が取れているかなど形式的なチェックを行うと共に,国の法律で父子手当を禁止していないかどうかを確認して,大丈夫であればそれを条例化するという作業を行います。
  しかし,法制執務はあくまでも法規(条例)の形式面しかチェックしません。「法を知っているが,法に使われている」という状態になります。
 (3) 政策法務の視点から(先進的な地方自治体)
   政策法務の視点を取り入れた場合は,条例案の実質的な内容や,法律の解釈まで踏み込んで条例案の起案を行います。
  この例では,法制執務的なチェックはもちろんのこと,例えばそもそも父子家庭にも補助金を交付することは法律で禁止しているのかそれとも放置しているに過ぎないのかとか,交付金額を母子家庭と父子家庭とで差を設けることは妥当か,憲法14条に抵触しないか,判例はなんと言っているか,法律上の解釈はどうか,学説はどうなっているか等について多角的に吟味して,一つの結論を出します。そして,条例案を起案します。
  つまり,政策法務では,法規(条例案)の実質的なチェックを行うことになります。「法を知っており,かつ法を使う」という状態になるわけです。

  以上まとめると,法制執務とは形式面の充実を図ることにあるのに対し,政策法務とは実質面の充実を図り,「法を自由に使いこなす」能力を求められると言うことになります。

3 政策法務と地方分権の関係
  では,なぜ地方自治体に政策法務の思想が求められるのでしょうか。
  端的に言えば,「各地方自治体独自の施策に的確に対応する条例や規則を策定することが必要となること。」にあります。
  前述のとおり,これまでは国が示した通知をそのまま条例にすればよかったわけですが,各地方自治体独自の施策を行う場合,当然国から準則などは来ないわけですから,独自で条例を策定する必要があります。
  一方で,いい加減な条例を作った場合,場合によっては「根拠なき行政行為」にもなりかねず,住民訴訟などにより敗訴する可能性もあります。
  したがって,地方独自の施策を推進するためには,ちゃんとした条例を作れる職員の存在が求められるわけです。すなわち,政策法務を確立し,組織として人が異動しても常に一定のクオリティを保てるようにしなければならないわけです。
  まして,地方分権が推進されれば,ますます地方自治体独自の施策が増えてきます。そうすると,より一層そのような能力が求められることになります。
  また,広義の政策法務では,訴訟対応や職員のコンプライアンスが求められることになります。情報公開が進む今日においては,住民から様々な依頼や指摘がされることが想定されます。それに対して場当たり的に対応するのではなく,きちんとした対応をしなければ,地域住民からの信頼は得られません。更に言うと,そもそもそのようなつっこみがないように事前に予防するという作業(遵法行為になりますが)をしておくことが,極めて重要になります。
  
  まとめますと,地方分権が進むと独自施策が増える,独自施策が増えれば独自の条例も増える,よって的確な条例を策定するために政策法務という考え方が重要であるという点と,職員に対する遵法精神を高めることによりさまざまなトラブルを未然に防ぎ,より円滑に施策の推進が可能となるという点があるといえるでしょう。

以上長くなりましたが,政策法務を本当に一言で言えば「地方自治体の自主立法権の確立」にあるといえます。国と対等につきあうためには,この考え方を積極的に取り入れるべきではないでしょうか。

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虐待防止条例について

2005年06月01日 21時59分33秒 | 地方自治
埼玉県行田市で6月1日から「虐待防止条例」が施行されました。
これは,児童虐待のみならず,高齢者虐待,障害者虐待などいわゆる社会的弱者に対する虐待について市が対応するというものです(詳しくは,行田市のホームページ中のこちらを参照してください。)。

よく考えましたね!ナイスです。

虐待を防止するということは当然必要なので,このような条例ができることは当然有用であると思いますが,ここでは,別の切り口からこの条例の存在意義を考えてみたいと思います。

地方分権との関係について
現在,国の法律では「児童虐待防止法」があります。しかし,高齢者虐待法及び障害者虐待法は,未だ法律はありません(高齢者については,現在国会において法案審議中,障害者については次期国会での提出を目指すとのことです。)。
すると,高齢者と障害者に関する虐待は,刑法犯を除いては「空白地帯」となります。一方,行田市の条例はこの点も含めてフォローしていることになります(これを「横だし条例」といいます。)。
また,児童虐待についても,法令以上のフォローを想定しているため,よりきめ細かな対応が可能となります(これを「上乗せ条例」といいます。)。
つまり,行田市の条例は,国の法律を吟味した上で,国の対応が不十分と感じた部分について上乗せ条例または横だし条例を制定したことになります。
これは,まさしく,地方が主体的に政策を考えて条例化するということで,「地方分権化の第一歩」といっても,過言ではないでしょう。
多くの市町村でも,このような条例(もちろん,虐待に限りません)をもっと積極的に検討し,名実共に「地方分権」さらには「地方主権」を進めてほしいものです。
以上の観点から,行田市のこの条例は高く評価できると思います。

しかしながら,さらに別の切り口からこの条例について検討してみると,若干問題があります。

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政策法務の観点について
この条例の条文(詳しくは,行田市のHPにあるこちらを参照してください。)は,全7条でできていますが,政策法務の視点から多角的に検討した場合,条文上の問題及び運用上想定される問題などが数点見受けられます。場合によっては,虐待している人からさらに行田市が訴えられて市が虐待している人に対して損害賠償を払わなければならないという「盗人に追銭」状態になりかねないものもあります。
それは,どこか。
ここではあえて書きません。なぜならば,虐待している人がこのブログを読んで,市の対応に対してそのようなクレームをつける可能性があるからです。そうなると,折角虐待防止の大儀と地方分権へのさきがけとなるこの条例が有名無実化してしまうからです。
この点は,市の担当者等によく考えてもらいましょう。

また,他の市町村の職員の方で気が付いた点などがあった場合は,行田市にフィードバックするようにしましょう。そうすることで,相互にこの条例や周辺知識について理解と関心が深まり,さらには政策法務としての発想もより強くなると思います。
政策法務の観点は,ないがしろにしてはいけません。

いずれにしても,この条例,本来的には「全く使われることがない」すなわち「虐待が全くない」という町になることが望ましいのですが・・。