「閑座聴松風」
前大徳文雅師
大板 薄茶点前
表千家歴代茶杓写しより
今月は八代 啐啄斎の茶杓を使って
お稽古していただいております
啐啄斎 件翁宗左は
皆様ご存じの通り
七代如心斎の嫡男であり
幼くして八歳で家元を継がれました
そして
四十代半ばの時
天明の大火という災難を経て
その後一年という短期間で
復興を果たされたことは
周知のことと存じます
その折りに好まれた席が
現在お祖堂の横にあります
一畳台目の反古張りの席です
茶室として最小のこの侘びた席に
長い間ずっと憧れていた私です
以前社中の皆さんと
家元の見学に行かせていただいた時には
中に入らせていただき
その思いを募らせていたことを
折に触れ懐かしく思い返しております
六十歳で隠居され
宗旦を名乗られたことは
その際に残された
「改名の折柄
木槿にも恥ず二畳に大あぐら
むくげに宗旦名あれば也」
の発句と共に
よく知られたことでございます
享年六十五歳
文化五年(1808年)十月六日没
なんと現在の私の年齢で
ご逝去されたのでした
そして
本日がご命日でございました