庭で西王母の花が
次々に美しく開いています
古来より
椿は炉の花と伝わります
しかし
炉の終わり頃は別として
茶室では開いた花ではなく
蕾が好まれることは
周知のことと存じます
「万葉の花 四季の花々と歌に親しむ」
(青幻社)
この本によりますと
ツバキの名は
「厚葉の木」「艶葉の木」
などの言葉に由来し
葉が厚くて艶やかな濃い緑色をしており
年が変わり季節が駆け巡ろうとも
変わらぬ常緑樹であることを
意味しているとか
かつては「日本のバラ」と西欧で称えられ
16世紀頃にポルトガル人によって
ヨーロッパに伝えられたのだそうです
そして有名な
「椿姫」のオペラも生まれました
万葉集にも
椿を美しい女性にたとえた歌があるようです
我が門(かど)の片山椿
まこと汝(なれ)
我が手触れなな
地に落ちもかも
(物部広足)
「表千家流茶道 和敬之巻清寂之巻」
(林利左衛門 河原書店)
この本より
私達茶人の覚えておきたい
含蓄のある教えを抜粋して
ここに書き留めておこうと思います
茶花は茶と離るべからざるもので
茶室にあって茶趣を助ける役割をするものです
茶花は風情ある自然を尊びます
茶花に形式はありません
だれにでも生けられるものですが
それだけに真の茶花は
だれにでも生けられるとは言えません
真の茶花とは風情ある花であり
挿者の人格・個性までが
その花に表われるものを言います
茶花は簡素なものがよろしい
簡素なものには余情があります
そのところが茶花の生命です
要は花を入れる心掛けである
その心掛けは
習うことも教えることもむつかしい
(以上抜粋)
確かにここに記されている
通りだと誰もが頷くところでしょう
それでは私達は
いったいどうしたら良いのでしょうか
結局は
できる限り真の茶花を見る機会を持ち
あとは
一回でも多く
自ら茶花を活ける
それに尽きるのかもしれません