「『魚跳万仭峯』
禅居庵一渓師
「海にいる魚が
万仭もの高さの峰に飛び跳ねる
常識や型にはまった心では
考えも及ばない情景
心を解き放ちきった者にのみ
見えてくる景色」
石楠花(しゃくなげ) 鼓月製
きびだんご
昨日
岡山駅で買ってきました
広間の薄茶運び点前では
中仕舞いをいたします
これは
利休時代よりあったもので
「一つの風情」として
考えられたものだそうです
(参考:『お茶のおけいこ4 風炉の点前』)
もちろん
私はこれまでずっと
教えられたとおりに
中仕舞いをしてはいましたが
実は
中仕舞いをすることの
「風情」を
あまり実感することができませんでした
ためしに
水指の前に置き合わせて
本仕舞いをしてみました
確かに
違いはありますが
だからといって
四百年前になぜ利休さんが
「広間の風炉の薄茶点前に限り」
中仕舞いを考案されたのか
よくわかりません
単に中央に置いて変化をつけた
というだけでない
もっと明確な理由が
他にあるような気がしてなりません
それを知りたいと
ずっと思っていました
ところが
昨日でかけたお稽古場で
今までわからなかった中仕舞いの意味が
『もしかしたら これではないか?』と気づき
家に帰ってから
早速確かめてみることにしました
と言いますのは
私はこれまで勉強不足で知らなかったのですが
男点前では
中仕舞いの手順が女点前とは異なるというのです
帰宅してテキストを見たら
ちゃんと書いてあったのに
これまでは男点前に無関心だったためか
目に入っていなかったのです
しかし
「男点前」という言葉は
「女点前」に対してそう呼んでいるだけで
実際には
「男点前」こそが
代々受け継がれてきた表千家の点前です
男性のお茶人なら
どなたもなさっているように
茶杓を拭いて茶碗に伏せたら
その手ですぐ
茶碗を左によせ
茶器を置き合わせてみました
実際にそれをやってみると
本仕舞いとの違いを
歴然と感じることができました
その違いとは
単に置き合わせる場所の違いだけではなく
『点前のリズムの違い』です
本仕舞いでは男女ともに
服紗で茶杓を拭いて茶碗に伏せたら
服紗を建水の上に持ってゆき
お茶をパッパッと払い
服紗を腰につけた後
茶器を右によせ
茶碗を三手で置き合わせます
中仕舞いの場合
女点前では
本仕舞いと同じく
服紗で茶杓を拭いて茶碗に伏せたら
服紗を建水の上に持ってゆき
お茶をパッパッと払い
服紗を腰につけます
その後
茶碗を本仕舞いとは逆の左に寄せ
茶器を置き合わせます
ところが
男点前 つまり本来の表流の点前では
服紗で茶杓を拭いて茶碗に伏せたら
その手ですぐに茶碗を左に寄せ
茶器を置き合わせるのです!
この流れが
実に簡素で
はっとするほど新鮮で
また
侘びているなあと
感じさせられます
利休さんに
お尋ねして確かめることはできないけれど
私なりに
『中仕舞い』の”風情”を
感ずることができたことが
うれしいです