表千家一期一会

カビ・・ではなかった!?


先日
玄庵の外壁に現われた
”黒い斑点”のことを書きました


今日は建築家のK先生と工務店のT氏が
お二人揃って来て下さいました


そしてその斑点は
「カビ」ではなくて
土壁特有の『アク』が出ているものですと
教えていただきました












「アク」と言われても始めピンときませんでしたが
T氏は有名な古いお茶室の
黒ずんだ壁の写真を見せて下さり

「これと同じものなんですよ」と・・・


そうは言われても半信半疑で
「何十年も経ったお茶室ならわかりますけど・・・」と言う私に

「いや・・1年でもアクは出てきます!」



一方K先生は壁に顔を近づけて

「これは土の中の鉄の錆びじゃないですか?」


そう言われるとそんな風にも見えてきました



いずれにしても
既製品の壁土と違って

土とすさなど自然の素材だけを
左官屋さんが配合して作った聚楽土なので

このような「アク」はこれからもずっと出てきます

というのがT氏の答えでした



夫はドヤ顔で

「僕は初めから『ワビ・錆び』だと思ってたんだ!」と・・・



何となく私も
モヤッとした”心配”の煙が消えていくような気がしてきました



お二人が帰られてから
あらためて聚楽壁について検索してみたら

「錆壁」「蛍壁」という
これまで聞いたことのない
土壁についての記述がありましたので
引用いたします


「錆壁」とは
鉄粉や古釘の煮出し汁などを混ぜこんだ土壁で
塗った後に出てくる鉄分が錆びることで
褐色の斑点が浮かび上がってきて独特な雰囲気を醸し出します。

時間の流れと共に表情を変えていく壁を眺めるのは
日本人ならではの楽しみです。


「蛍壁」とは
金属の腐食反応によって生成される錆を有効に活用したもの
土壁から浮き出た錆は
初夏の夜に発光するホタルのように見えます
使用する錆によって、斑点の色・大きさが変わります




なるほど・・・


玄庵の壁も
聚楽壁の中に混じっている
小さな砂鉄が錆びて斑点になっているのであって
決して汚い黴ではないんだ。。。


そしてそれは
壁の表情として”楽しむ”ものだったんだ。。。と


ふうん・・・
ようやく腑に落ちた気がしました


_(._.)_






”黴”ではなかったにしろ

今の時代に生きる私達の感覚からすれば

”汚れ”か”染み”としか思えない

この黒い斑点・・・




昨年の秋
塗り立てだったあの綺麗な壁は


ひとときもそこにとどまっていなかった




無情に思える「無常」

その変わりゆく様をそのまま受け入れるということ・・・





「侘寂」の心情。。。


土壁が教えてくれました















名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「玄庵と茶事(GHP)」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事