
「支える人を支えるまちを創る・理論と実践」を書き始めた。体系化の試みである。誰も言い出していないことなので、どこまで書けるか、自信と不安が交錯するが、がんばってみようと思う。
「はじめに」を書いた。はじめにが終われば、半分終わったものというが、本当に書けるのだろうか。
困難を抱える人を支えるのは、かつてはもっぱら行政の役割であった。しかし、公共課題が孤独死や空き家・ごみ屋敷問題のように市民の私的自治の世界に属するものに広がってくると、その関りは、私的自治の干渉にならないようにしつつ、私的世界に肩入れするという、いわば綱渡りのような作業となるため、行政の手には負えず、一人ひとりの市民、地域コミュニティ、テーマコミュニティ、事業者・企業など「市民」の役割が重要になってくる。ただ、これら担い手は、支え手としては脆弱なので、この支える人を支える政策が必要になってくる。
支える人の大切さは、私たちはコロナ禍でいやというほど体験した。いくら立派な制度や仕組みがあっても、それを担う人材がいなければ、その制度や仕組みは動かない。つまり、支える側が弱体化してしまうと、支えられる制度そのものが機能不全に陥ってしまうことになる。この担い手の不足や力量不足による制度・仕組みの空洞化は、福祉やまちづくりの分野では顕著になっている。
ここに「支える人を支えるまちづくり」を考える意義がある。そして、この支える人を支えるまちづくりは、国よりも市民に身近な存在である自治体のほうが得意分野である。
本書では、この支える人を支えるまちづくりの全体像を明らかにするとともに、そのなかでも早急に取り組むべき重要政策を取り上げ紹介している。本書をきっかけに、支える人を支えるまちづくりが注目され、地方自治の現場で着実に展開されることを期待したい。
今年の秋は、この問題を考えてみよう。