松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆国際政治と地方自治(三浦半島)

2019-01-07 | 1.研究活動
今一番の関心事は、日韓問題の行方である。

 年末にかけて、さまざまな問題が続け様に起こっている。正直、口には出さないが、多くの日本人は、韓国の振る舞いに、ちょっと付き合いきれないと感じていると思う。レーダー問題は、「お調子者が、調子に乗った。すまん」と一言いえば、それで済むものを、やってないと突っぱねるものだから、どんどん深みに入り、今度は、強がって、日本に謝罪を求めるという事態になった。

 もう、どんな証拠を出しても、否定、反論の水掛け論で、分かったということにはならない。ただ、はっきりしているのは、お互い決裂したら、それぞれの国も未来は、とても厳しいものになるということである。冷静に考えたら、そうであるが、日本も韓国も、国民を煽りながら、政権運営を行っているので、今のような展開となってしまった。

 安倍さんは、もちろん付き合いもないが、育ちがいい人なのだと思う。力が支配する国際政治において、真っ正直に向かおうとしているように見える。人としてはそれでもいいが、政治では、ずるさや周到なテキトーさが必要である。力がない国が、力でぶつかるのは、愚の骨頂で、基本はバックパッシングである。ボールを他に回して、それと相手と衝突させる。日本も、そうやって(かかる費用を少なくして)、今日の発展をつくってきた。

 憲法9条が、その一つで、アメリカから押し付けられた憲法に戦力を持てないと書いてあるから、アメリカさん、よろしくお願いしますといって、その間に、経済発展に注力してきた。もし、日本を守るための軍事費を自分で用意したら、日本は経済発展できなかったろう。平和主義のもう一つの現実である。

 もし日韓が離反したら、日本海は、最前線となる。韓国に中国の軍港が置かれたら、日本は、日本海まで直接、対峙しなければ行けない。尖閣諸島ですら、イタチごっこであるのに、これが日本海全体に広がったら、もう手が回らない。日本近海のあちこちで、外国船が出没し、いまよりもっと切歯扼腕することになる。

 海上保安庁や自衛隊の船を増やせと言うのは簡単だが、膨大な予算が必要になる。お金は借金すればなんとかなるかもしれないが、何よりも船に乗る若者がいない。自衛隊もどんどん高齢化している。こんなリスクのある仕事につこうという若者は、現実には、きわめて少数だろう。これは自分の子どもに置き換えると、よく分かるだろう。もし子どもが、戦争の危険のある船乗りになると言ったら、多くの親は、反対するのではないか。何も自分の子どもが、そんな役をやる必要がないと思うのではないか。困った海上保安庁も、移民を募集して船に乗せるということになりかねない。

 韓国の行動原理は、大国の緩衝材という弱みを逆手にとって、邪険にすると、向こう側にいってしまうという素振りを見せることで、自分を利用しようとする国から、多くのものを引き出すのが戦略となる。本当に、向こう側に行ってしまったら、自分たちの強みがなくなり、大国に飲み込まれてしまう。そこに、こんがらがった日韓問題の接点があるような気がする。

 理念と現実、表と裏を使い分け、押したり引いたりしながら、程よいバラスをとるのが政治である。ところが、短期的な勝ち負けにこだわるアメリカの大統領が出現し、そこに真面目で一途な総理大臣や大統領が加わり、そこに、ものごとを単純に考えがちな国民がネットで煽るので、敵か味方かのような二項対立的な国際政治になってしまった。これは国力を弱めるばかりなので、トランプ大統領も長くは続かないと思う。

 こうしたなかで、地方自治ができるのは、価値の多様性を基本とする民主主義の学校の機能を地道に実践することしかない。おじさんたちは、ちょっと厳しいが、今日の若者は、多様で柔軟で、実に期待が持てる。したたかで 壊れにくい、柔構造のような社会を作っていく、その一部を担っていくのが、私の仕事だと思う。
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