松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆審議会の作法⑮公募委員の選定体験から

2019-01-08 | 審議会の作法
 公募委員の選定委員会を頼まれることがある。

 かつて、外郭団体の総務課長をやったとき、職員採用の責任者をやったことがある。その時の体験では、私は、人を見る目がないということがよくわかった。数人で、決めるが、私がいいと思う人は、決して選ばれないということである。簡単に言うと、私は、変わった人が好きで、ちょっとみんなとは違うという人を選ぶ傾向があるということである。いつも多勢に無勢で、私の案は採用されない。

 学生も、そうで、みんなから弾かれ気味の学生が、私にやたらとなついていた。私のゼミは、チームで動くゼミなので、ゼミ生の選定では、心して、協調性のある学生を選ぶようにしたが、ゼミに入れることができなかった分、キャンパスで声をかけ、一緒にお昼を食べた。おそらく、彼女たちに、自分の持っていないものを見て、惹かれたのだと思う(協調性のある学生も、みな魅力的で、私にはない良さを持っていると、感心していた)。

 その私が選定委員で選定委員長なので、心がけたのは、自分の性向を注意し、みんなの意見を尊重しながら、選ぶようにした。自治体の附属機関では、自己主張が強すぎると浮いてしまい、結局、その人の思いも実現できないことになるからである(研究機関ならば別だろう)。

 小論文を書いてもらい、それをもとに審査することになるが、内容以前に、字が汚くて読む気がしない小論文がある。これは相手に対して、読んでもらうという姿勢がないということで、私は☓をつける。自分の思いは、そう簡単には他人には伝わらない。そうした大人の体験が乏しいと思うからである。

 高齢者を中心に、手書きのものもあるが、今の60代、70代は、職場にワープロやパソコンがあった時代なので、普通はパソコンで書いたものが多い(私の職場に、初めてワープロが入ったときの話は、すでに書いた。横浜市では一番早い方だと思う。総務の行政調査にいたときで、報告書をたくさん書くからである。ワープロはとても大きく、それだけで机一つを占有した)。

 本来は、手書きのほうが、その人の姿勢や人柄まで垣間見れるので、手書きのメリットもあるが、もうそんな時代ではない。

 今では、添付ファイルでも、提出もできるようだ。かつて、役所の職員採用担当は、願書を持ってくる時点で、その立ち振舞で、事実上の採否を決めていたが、パソコンで書き、ネットで送るとなると、その判断ができなくなった。文書だと、いくらでも書きようがあるので、本当に適任者かどうかは、十分に判断できない。横須賀市は、市民公募でも面接をやるという仕組みになっているが、パソコン+添付ファイルでは、人柄がわからないという弱点を補う試みなのだろうか。
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