
神奈川県下の職員による研究会である。第2回目となった。テーマは、神奈川県でも人口が減っている県西地区、三浦半島地区を取り上げて、その対応策を研究している。
今回は、まず、全国で人口が増えてる町とその理由を考えた。全国で約1割の自治体で、人口が増えている。
いくつかの要素がある。まずは、三大都市圏あるいは地方の大都市へのアクセスの良さ。ベットタウンとして開発されるからである。だからと言って、すべての自治体ではなく、多くは可居住面積が広い自治体である。正確には、家を建てられる新たな土地があることが条件である。ある意味、納得である。
これは働く場所があることを意味する。茨城県の神栖市などは、利根川の向こうの銚子市から人を呼んでいるが、鹿島工業地帯というが、化学工業を中心とする働く場所があることも要因である。
こういった条件は、ある程度与えられたものなので、運不運が付きまとうが、問題は、政策的要因によって人口を増やすことができるかである。
北海道のニセコ町は、北海道の中でも(別に札幌のベットタウンでもないのに)人口が増えている。特に冬のスキー客を中心に、外国人観光客の増加が著しいが、飲食業や宿泊業を行おうと移住してくる人も多いようだ。ニセコにスキーに来て、観光客の多さに注目し、ここで新たな商売をしようと考える人もいるのだろう。交流人口の多さが、定住人口を増やす例と言えよう。ニセコのような条件を備えた町はほかにもあるので、いいヒントになるだろう。
横須賀市は、ファーストマイホームという「住んだら24万円くれる」という補助金を打ったが、長くは続かなかった。転入支援のために、金銭的補助をする施策は定番であるが、実際の効果は、どれだけあるのだろうか。中学生まで医療費が無料だから引っ越そうと思う人がどれだけいるかである。あるいは、横須賀市のように、金額がいくらお金が出たら引っ越そうと思うだろうか。横並び的に、無料化や補助金を出すが、その効果をきちんと総括しておく必要があるだろう。
私とすると、市民性の高さや町の品格が、ボデーブロー的に人口増加につながると説明したいところである。例えば、同じ三浦半島でも逗子市や葉山町は、東京方面からの転入者を呼び込む力があるが、これは町のブランド力がなせる業であるからである。論証するのは容易ではないが、まったく的外れではないだろう。
自治基本条例づくりなどもその一環で、そのほか、新しいシャープな政策を提案することによって、まちもブランド価値をあげることなども実践しているが、せっかく、そういったまちづくりのいい流れを減殺する動きもあったりで、簡単にはいかないようだ。
ともかく、研究会のメンバーは積極的で、面白い研究になりそうだ。