
自治基本条例のキーワードは、「市民による自治」と「さまざまな主体間での協働」である。それによって「幸せに暮らし続けることができるまち」をつくることである。
このうち、「市民による自治」であるが、その意味は、次のように考えるべきだろう。
まず、自治体の自治は、①市民個人による自治、②地域コミュニテイによる自治、③行政がイニシアティブをとる自治というように、階層的、段階的に、あるいは領域ごとに構成されている。これは補完性の原理といわれるものである。
なぜ、今、「市民による自治」を考えるのかであるが、これまでは、③だけを自治と考え、やりすぎ、頼りすぎてきた(だから、行政をコントロールすることを住民自治と考えてきた)。
しかし、地域を見るとすぐ分るが、自治体の自治は、行政だけが担っているわけではない。あちこちで①や②による自治が行われ、近年、その重要性が再認識されるようになってきた。改めて、それを思い出し、記述しようというのが、自治基本条例の制定である。
具体的には、地域の安全(子どもが安心して学校から帰ってくること)を例に考えると分りやすい。
最近では、定年した地域のおじさんたちが、②による子どもの見守りをやっている。さまざまな事件があって、当初は、父兄が、つまり①による自治(地域の見回り)をやっていた。ところが、彼らは現役世代のため、仕事や育児等で、続かなくなってしまった。そこで、地域のおじさんたちが出てきて、②の地域コミュニティによる自治(地域の見回り)が行われはじめた。まさに補完性の原理の通りである。
このように、地域には、市民が地域を治めている例が山ほどあり、こうした市民による自治を認め、尊重・感謝し、パワーアップしてもらおうというのが、自治基本条例の目的のひとつである。
「こうした地域の見守りは、本来ならば、役所がやるべきだけど、財政難で、すいませんけど、市民の皆様にやってもらいます」という議論はどうだろう。
補完性の原理、自治の原理から言えば、これは誤りになる。
「お金はたくさんあるけれど、この地域の見守りは、市民の皆様でやっていただくことなので、やっていただきます」というのが、自治の原理に合致する。
市民自治の原則を宣言し、さまざまな場面で実践するのが、役所のスタンスとなる。一見すると、役所側は楽になるように見えるが、そうではない。協働型行政という新しい世界に入るのである。職員一人ひとりの力量が問われ、せめぎあいの行政運営が求められることになる。これはしんどいことは承知しているが、このように方向を転換していかないと、次の100年は続かない。だから、思い切って舵を切ろうというのが自治基本条例である。
経済成長のなかで、私たちは、本来の自治力を失ってきた。それを再度、見直し、「市民による自治」から、自治の基本から考えていこうというのが、自治基本条例の検討である。
このうち、「市民による自治」であるが、その意味は、次のように考えるべきだろう。
まず、自治体の自治は、①市民個人による自治、②地域コミュニテイによる自治、③行政がイニシアティブをとる自治というように、階層的、段階的に、あるいは領域ごとに構成されている。これは補完性の原理といわれるものである。
なぜ、今、「市民による自治」を考えるのかであるが、これまでは、③だけを自治と考え、やりすぎ、頼りすぎてきた(だから、行政をコントロールすることを住民自治と考えてきた)。
しかし、地域を見るとすぐ分るが、自治体の自治は、行政だけが担っているわけではない。あちこちで①や②による自治が行われ、近年、その重要性が再認識されるようになってきた。改めて、それを思い出し、記述しようというのが、自治基本条例の制定である。
具体的には、地域の安全(子どもが安心して学校から帰ってくること)を例に考えると分りやすい。
最近では、定年した地域のおじさんたちが、②による子どもの見守りをやっている。さまざまな事件があって、当初は、父兄が、つまり①による自治(地域の見回り)をやっていた。ところが、彼らは現役世代のため、仕事や育児等で、続かなくなってしまった。そこで、地域のおじさんたちが出てきて、②の地域コミュニティによる自治(地域の見回り)が行われはじめた。まさに補完性の原理の通りである。
このように、地域には、市民が地域を治めている例が山ほどあり、こうした市民による自治を認め、尊重・感謝し、パワーアップしてもらおうというのが、自治基本条例の目的のひとつである。
「こうした地域の見守りは、本来ならば、役所がやるべきだけど、財政難で、すいませんけど、市民の皆様にやってもらいます」という議論はどうだろう。
補完性の原理、自治の原理から言えば、これは誤りになる。
「お金はたくさんあるけれど、この地域の見守りは、市民の皆様でやっていただくことなので、やっていただきます」というのが、自治の原理に合致する。
市民自治の原則を宣言し、さまざまな場面で実践するのが、役所のスタンスとなる。一見すると、役所側は楽になるように見えるが、そうではない。協働型行政という新しい世界に入るのである。職員一人ひとりの力量が問われ、せめぎあいの行政運営が求められることになる。これはしんどいことは承知しているが、このように方向を転換していかないと、次の100年は続かない。だから、思い切って舵を切ろうというのが自治基本条例である。
経済成長のなかで、私たちは、本来の自治力を失ってきた。それを再度、見直し、「市民による自治」から、自治の基本から考えていこうというのが、自治基本条例の検討である。