松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治基本条例の後景

2012-06-25 | 1.研究活動
 自治基本条例に最初に取り組んだのは、街づくり系のシンクタンクの人たちである。すぐに何人かの顔を思い浮かべることができるが、自治の基本に関する事項を定める条例づくりを門外漢の人たちが取り組んだということは興味深い(地方自治系のシンクタンクは何をしていたのだろうか)。
 街づくり系のシンクタンクの人たちは、当然、地方自治法や法制執務に詳しくない分、自分たちのフィールドに引きこんで、条例づくりを始めることになる。それが徹底した市民参加型の条例づくりである。普通の市民を条例づくりに巻き込むなどという所業は、なまじ法務に詳しいものにとっては、想像の範囲外で、思いもつかないし、踏み出せもしないが、瓢箪から駒というか、あるいはコロンブスの卵というか、素人の怖さというか、ともかく条例づくりの世界に、新しい地平を開くことになった。街づくりをやっていたがゆえに、地方分権を言葉ではなく、体で感じていたのだろう。
 他方、条例の内容については、彼らは法務に詳しくない分、先発条例に引きずられることになった。本来ならば、フィールドがあり、街づくりの領域から、自治とは何かを考えていけば、結構勝負になったように思うが、法務の呪縛が強かったのであろう。実務体験があれば、「条例づくりは条文をづくりではない」ことは、自信を持って言えるが、その点が、いま一歩、吹っ切れなかったのではないか。
 どんな改革でも、はじめるのは中心からやや外れている人たちである。詳しくなればなるほど、新しいことを受け入れるのは億劫になるが、自分とは違う立場からの発言の中に、ヒントがあるのだという姿勢を忘れないようにすることなのだろう。改めて心しよう。
 それと、いつも感心するのは、街づくり系のシンクタンクの人たちの柔和な笑顔である。そういう人がここに集まるのか、あるいは仕事がそうさせるのか。いずれにしても、仕事のパートナーとしては、とてもよいということである。
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