松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆『市民の力、地域の力』(小田原市)

2012-06-24 | 1.研究活動
 小田原市から、『市民の力、地域の力』(夢工房)を送っていただいた。
 この本では、この4年間に小田原市が取り組んだ総合計画や自治基本条例等の取り組みが紹介されている。
 このうち、自治基本条例は、私も参加して、それこそ、毎週のように熱い議論を交わした。10人ほどのメンバーであるが、みな前向きで気持ちの良い市民たちだった(いまでも一人ひとりの顔を思い出すことができる)。この本を監修された名和田是彦先生が、あとがきで、自治基本条例等の取り組みについて、「市民と行政の熱意と勇気が伝わってくる」と書いているが、本当にいいメンバーが集まったものだと思う。対岸から、批判や思いつきはいくらでもいえるが、そうではなく、みな現場を持ち、その実践を踏まえて、前に歩を進めるという発想で議論した。こうした市民の市民力と、さらには、おそらくさまざまな軋轢があったろうが、それを乗り越えてやり遂げた行政の職員力は、誇るべきものだと思う。それこそ毎週のように小田原に出かけるのは大変であったが、そうした現場に立ち会えたのは、ありがたいことだと思う。この本を読みながら、あらためて思うことができた。
 名和田さんも書いているが、小田原市の自治基本条例の意義は、余計な先入観や既成概念を取り払って、自治とは何かを基本から考えたことである。だから、結果として既存の条例とはずいぶん違うものになっている。
 伝統的な地方自治論では、住民自治は、行政や議会を住民が民主的に統制することとされている。もちろん、これも重要であるが、それだけでは自治にならない。市民一人ひとりが「まちのことをわがことのように思い、行動する」ことが、大事だということが自らの体験と通して口々に確認され、そこを基本に提言が書かれた(たとえば情報公開ではなくて情報共有など)。
 こうした小田原の取り組みをリードしたのが、加藤市長であるが、5月の選挙では圧倒的多数で再選された。多くの信任を得たということは、自信にもなるが、逆に難しさも倍加する。人は慢心するからである。これまでと同じような謙虚さと原点を忘れずに、頑張ってもらいたい。大いに期待したい。
 
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