松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治基本条例推進委員会のあり方(戸田市)

2021-10-05 | 1.研究活動
 戸田市の自治基本条例推進委員会のあり方で、いろいろ議論が続いているが、ともかく、試してみようと提案してみた。

 全国で、自治基本条例が300以上あり、その多くに、推進委員会があるが、その現状はどうなっているのだろう。調べたことがないので、以下は推測である。

 多くの自治体では、年、1,2回開かれるだけだろう。自治の推進状況をチェックするのが役割であるが、これでは多くは、かたちだけになる。長い説明を聞いて、これはどういう意味ですかといった質問をして、論議らしい論議がなく、了承となっているだろう。

 こうしたなかで、戸田市の自治基本条例推進委員会は、年5,6回は開かれるが、そのあり方を模索している。

 いい機会なので、ちょっと、まとまった話をした。推進委員会のパターンと戸田市の試行錯誤を話してみた。

(1)本格的な政策提案機関
 私が、知る中で、最も権威があり、活躍しているのが、新城市の推進委員会である。この推進委員会では、新しい政策の内容を議論し、決定している。

 具体的には、最近の事例では、この推進委員会では公開政策討論会条例の検討と提案を行った。この条例は、市長選挙立候補予定者が、市民の前で、政策を語る公開政策討論会を「公設」で設置するという条例である。選挙は、公選法の縛りが厳しいが、そのすき間をすり抜け、こうした制度をつくったが、これを市民で構成される自治基本条例推進委員会が検討し、提案した。

 新城市の若者政策、若者議会条例もこの推進委員会の提案である。この推進委員会の審議がなければ、政策ができないくらい重要な役割を果たしている。

 戸田市に当てはめれば、戸田市は市民参加条例を持たないが、市民参加条例を条文まで含めて、ゼロから、推進委員会がつくるということである。

(2)実行型の推進委員会
 焼津市の推進委員会をイメージすると分かりやすい。焼津市は、にぎやかなまちづくり市民集会を持っているが、その後押しをこの推進委員会がやっている。

 戸田市では、最初に目指したのは、このパターンである。2年以上をかけて、自治基本条例をつくったが、その担い手たちが、自治基本条例によるお祭り(戸田市まちづくり集会)になだれ込むというイメージだった。

 ただ、実際には、条例制定時、所管変更等もあり、このあたりのイメージがうまく伝わらなかったために、これら有為な人たちを散逸させてしまった。アッと、気がついたときは、もう遅かった。

 新たなメンバーで、まちづくり集会を模索したが、熱量が足りず、屋上屋を架すようなイベントにとどまってしまった。しばらく、がんばってみたが、やはり、限界が見えてきた。

(3)身近で具体的な施策提案機関
 このなかで、次に試してみたらよいと思っているのは、身近で、具体的な施策を提案する機関である。市民参加条例そのもののような大きな政策提案ではなくて、市民参加や市民協働を進める具体的な施策の提案である。

 私が、話したのは、相模原市南区の区民会議がやったような、地域活動の活性化、地域への若者参加を推進するための、「トリセツ」づくりや「ファシリテーションスキル」を推進委員会がつくるというものである。市民参加制度一般ではなくて、自治会・町内会をターゲットに、そこでの議論が活発になり、若者が参加しやすくなるような手法を、この推進委員会で提案したらどうかというものである。

 そして、イベントをやるならば、抽象的なもの、一般的なものではなく、自治会・町内会のメンバーや若者を呼んで、ファシリテーション研修会のような、具体的、実践的なイベントをやったらどうかというものである。

 こうした実践を通して、自治基本条例とは、こういうことだったのか、確かに役に立つと、市民の間で共感や理解が進むと思う。テーマは、いろいろあるだろう。それは次に考えていけばいいと思う。

 紆余曲折はあるが、ここは新城ではなく、焼津ではなく、戸田なので、戸田らしい推進委員会の道筋が開けるように思っている。やってみて、うまくいったらどんどんやるし、うまくいかないとこがあれば、修正しつつ、やっていけばいいと思う。そういう試行錯誤が、自治を推進するということだと思う。がんばれ!
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