松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆ぼっち社会の処方箋・対話への投資(焼津市)

2022-12-24 | まちづくりコーディネーター
 昨日の焼津市のやいづ未来まちづくり研修会の話は、まとめすぎてわかりにくいかもしれない。話した内容を敷衍して、再掲しよう。

 1.戦後につくられた日本の福祉制度は、おじちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、孫たちが同居するという家族の形態を前提に構築されている。

 もしおじいちゃんが、介護が必要になったら。この時は、おばあちゃん、おかあさん、孫たちが協力して、面倒を見る。だから政府による社会保障は、この保護の枠からはみ出た家族に対する例外的な措置になる。

 この過程の中で、お母さんは、おばあちゃんから育児を学び、孫は、おじいちゃんやおばあちゃんの死に出会う。

 2.そのうち、日本は核家族になった。お父さん、お母さん、子どもたちの家族である。

 お父さんは、仕事が忙しく、子育てはお母さん任せになる。どのように子どもを育てたらいいのか、お母さんは、一人悩むことになる。お父さんは、お母さんの気持ちが分からず、お母さんは、孤立化する。自分がダメだと思い込む。

 無理をしすぎて、お母さんが、病気になったら、面倒を見るのはこどもである。。ヤングケアラーである。時には、お父さんが会社を辞めて面倒を見ないといけなくなる。介護離職である。

 3.さらには、日本では二人所帯が増えてきた。ここでは老々介護が現実的な問題となる。かつては、奥さん、こども、孫の、3人、4人がかりを、今度は奥さん一人で面倒を見ることになる。

 付随してさまざまな不都合が起きる。買い物だって、ままならなくなる。病院に行くにも、バスが廃止になって交通手段がない。ゴミ出しだってままならなくなる。

 4.さらに進んで、これからはぼっち家族の増加である。一人なので、介護が必要になったとき、誰も面倒を見てくれない。どうしたらいいのだろう。買い物も、病院も、行けなくなる。死んだあと、数日後、気がつかれるという孤立死も増えてくる。

 これらは、孤立化の問題であるが、これは同時に、貧困の問題でもある。二人所帯、ぼっち家族とも、現役の時は問題ないが、年を取り病気になったら、即貧困になる。生活保護が増え、急速に、子ども食堂が増えた背景である。

 5.孤立化や貧困に立ち向かっていかなけれいけないが、国が示せるのは、地域共生社会の理念である。実践は、地域に丸投げになってしまう。それしか答えがないのはよく分かるので、地方は、その処方箋を急いで組み立てないといけない。自治体は、今、その位置におかれている。

 6.地方自治研究者、政策起業家としての私は、どうすべきか。

 提案・処方箋の一つが、支える人を支える政策である。孤立化や貧困防止を支えている人を支える政策である。この人たちは、孤立化し、疲弊している。がんばってもらうために、応援し、励ますのである。これが新城市の福祉従事者を支える政策である。

 もうひとつが、焼津市の対話によるまちづくりである。対話とは相手の言い分を理解し、相手の意見を受け入れ、それを止揚することである。つまり、他者の課題に、自分も当事者の一人として向き合うということである。対話は、つながりをつくるということでもある。
 焼津市は、話し合い、聴き合うことを基本に自治基本条例をつくってきた。その文化を延長させ、対話のまちづくりを進めようというのが、今回のプロジェクトである。

 支える人を支える政策と対話のまちづくりの2つをセットで実施すれば、住みやすく、人に誇れるまちになる。政策起業家としては、当面、この2つがセットになるように、焼津市の関係者に働きかけることが、仕事になるだろう。
 この前、市長さんとは立ち話で話をした。いい感じだった。焼津市の政策リーダーの飯塚戦略監には、折にふれ、また駅まで送迎の車の中でも、話している。今度は、関さんたち市民の人にも話をしよう。くどいと思われているかもしれないが、政策起業家は、しつこいくらいがちょうどいいのだろう。何か、楽しくなってきた。
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