「まずは私がポニ子ちゃんを回復します!」
そう言ってミレナパウスさんはポニ子の為に魔法を発動した。やっぱりだけど、ポニ子のやつはそれなりのダメージをおってたらしい。まあかなり頑張ってミレナパウスさんを守ってたからね。てかポニ子アーマーの特性上、すべての攻撃はまずはポニ子が受けることになる。
てかポニ子が受けきらないとミレナパウスさんが危ない。ミレナパウスさんは普通の人間よりはその体は頑強だ。そういう世界に生まれたからね。けど……それでも生身なのはかわりない。いくら頑強だと言っても、ちぎれた腕が生えてくる……みたいな再生能力があるわけじゃない。
そこら辺は人間を逸脱はしてない。だからちゃんとポニ子が守らないと、すぐに死んじゃいそうだからね。まあでもだからこそ、ポニ子はかなりボロボロだった。ちゃんと守ってた証だ。そしてそのポニ子をミレナパウスさんは回復できる。なかなかに相性いいなあの二人って思った。
でもなんでミレナパウスさんの魔法がポニ子に適用されてるのか? それはちょっとした疑問ではあった。まあ魔法なんだからどんなに存在が違っても、その不思議パワーで魔法は効くんじゃないか? って思う人もいるだろう。実際、勇者とかはそこに疑問を持ってはなさそうだ。
だってミレナパウスさんが使ってるのは魔法だからね。実際攻撃魔法とかなら、次元とかが隔たってない限りは普通にその効力を発揮するだろう。けど回復魔法ってそうじゃない。
厳密には全く持って本当の『魔法』ならば、それはきっと本当の『奇跡』を起こせると思う。だってそれが本当の『魔法』だからだ。私の……いやG-01の中にある『魔法』の知識はまさにそういう『奇跡』を起こす力なんだ。
それに対してそれぞれの世界の人達が『魔法』とよんで使ってる力はG-01の体系的には『魔術』なんだ。魔術は『奇跡』じゃない。それは理論と技術の上に立つ、人の知識の結晶。
それに対して奇跡は世界を変容させるだけの超常を起こす現象だ。
まあつまりは何が言いたいかというと、魔法と言ってるがミレナパウスさんの魔法は魔術であって、その魔術はその世界に最適化されてるわけだ。てか他の世界を考えて作ってる魔術なんてのはそうそうない。
そして回復魔法とかの体に作用するタイプの魔法は、その生命力を操作したり、体の構造的な部分を理解して使ってるところがあるということだ。
大体生命体には自己回復の能力がある。けどそれにも限度があるわけだけど、その限度の上限を上げて通常ではありえない傷さえも直せるようにするのが回復魔法……回復魔術というものだ。
つまりはある程度の知識というのが体内というか、その生命に対してあるのが前提条件だね。同じ世界の生き物なら、人間と動物という違いがあっても、ある程度はわかってるから意識しなくても回復できるってこともある。
でも今、ミレナパウスさんが回復魔法を使ったのはポニ子である。ポニ子の構造なんてのはミレナパウスさんは全くわかってない。つまりはただの魔術ではポニ子を回復するなんて事はできるわけはない……ということである。