ミーンミンミン、ミーンミンミン、ミーンミンミン
「あつ……」
野々野足軽一家は田舎に来てた。九州の長崎の方だ。そこに父方の祖父たちがいるのだ。だから夏休みに一年に一回父方か母方の田舎へと帰省する。それはローテーションで野々野一家の中では回ってる。だから正月は今度は母方の田舎に行くことになるだろう。
因みにこの前に既に平賀式部との二回目のデートはこなしてる。二人のデートは今回は上手くいったと野々野足軽はおもってた。今でも世界中で超能力者は増え続けてる。
けど新たな策を野々野足軽はとったのだ。流石に物理的に考えてすべての超能力者を感知して介入するなんて野々野足軽一人では不可能だ。それに実際うまく最初からなじんだ力とかは野々野足軽だって感知してない。
あの自宅に侵入してきた男の事だって野々野足軽は知らなかったわけだからな。だから下手に暴走しなければ別に野々野足軽がわざわざ出張る必要はなくなるのでは? と考えた。
大体今まで野々野足軽が飛んで行ったのは超能力が暴走して甚大な被害を出してしまいそうな場所だった。てか暴走までするほどに力が高まってないと野々野足軽にもわからないってことだ。
だから実際、野々野足軽が把握してないほどに超能力者は目覚めてるんだろう。でもその全ては暴走してないわけで……実際アメリカで数件、ヨーロッパで一件とか、中東でも一件の暴走事件が起こるだけで、その移動距離的にめっちゃ大変なんだ。
流石に野々野足軽もワープまでは習得してない。けどもしかしたらそのうち、そんな力に目覚めた超能力者が出現する可能性はある。でも今はないから、飛んでいくしかない。戦闘機よりも速く飛べる野々野足軽だが、世界中を毎日飛び回るとなると、疲れてしまう。
それに実際、一日たった数件の事件しか起きない……なんてのはなかった。暴走状態に陥った事件は十件くらいは毎日起きてしまってた。だからこそ、いつだって野々野足軽は寝る間も惜しんで世界中を飛び回る羽目になってた。
でもそんな生活は長くは続かない。だからこそ、どうにかしないといけなかった。アースと相談して、野々野足軽はこの地球全体を覆うだけの結界的なものを張ることにした。
今ならそれが出来そうだったのだ。そんな提案をしたアースによれば。それに実際、国ごとに……なんてのもやってられなかった……てのもある。だから地球を丸々囲い込む結界を構築したのだ。
そしてそれが稼働しだしたことによって、突如発現した力によって心身のバランスが崩れての暴走状態になる――という事態は劇的に減った。何をやってるのか? と思うだろう。その結界はなんでそんな事ことが出来るのかと……
野々野足軽とアースは結界の内部にある潜在的な力……それを抑えるような結界を張ってる。それは普通の人にはなんの影響もない。それに力が覚醒してない超能力者にも影響はない。
だってまだ覚醒してない潜在的な力にしか影響してない、いうなればとてもうっすい力を地球全体にかけてるみたいなものだ。だから誰も気づきはしない。けど潜在的な力、それだけはいきなり飛び出るってことがなくなったのだ。
いうなればその結界は栓なのだ。『正しい時』に力が『正しく発現』するようにしてる栓。それのおかげで野々野足軽の稼働は大きく減ったのだ。なにせ力が暴走するのはいきなり目覚めて、そしてそれに体がびっくりしてしまうからだ。
だから力が目覚め潜在的な時間的猶予……それを作るための結界。それが野々野足軽とアースが作った結界だ。