避けて切る……それは簡単なことのように感じるだろう。なにせやってることはそれこそ言ってる事をそのままやってるだけだからだ。けど、様々な工夫を向こうもやってくる。単純に殴るだけじゃない。
色々と機能があるようだ。それに……あれは機械。腕だけどただの腕じゃないとわからされる。肩口から伸びる二本の腕。その形自体は自分たちと何もかわらない。けど……その構造はきっと違う。いや……
(もしかして自分もできるのでは?)
そんな事を思った。だって確かに自分は人間の形をしてる。それに人間だと思ってはいる。でもこの体はもう生身ではない。それが最初は受け入れられない時期もあったが、でも今は割り切ってる。世界を渡る中で、この体のほうが便利だと言うことにも気づいたからだろう。
この体ならどの世界に行っても生きていくことができる。けど生身だったらそうはいかないだろう。自分は……人の部分にすがりついてるのかもしれない。でも戦いとなったら、そういうのを捨てたほうが強いのかもしれない。だってこの腕は、下手に見た目が自分たちの腕と構造的には変わらないから、まさかそんなことができるのか? ということをやってくる。
まずは関節はそれこそ見える部分では肘と手首だけと思うだろう。実際普段はそこしか動いてなかった。肩のところはそもそも輪っかにくっついてるわけじゃない。その輪っかに沿って移動してるだけだ。でも、こっちがギリギリで避けて切る……ということをしてたら、なんと関節が一つ増えた。
何を言ってるのかわからないと思うが、つまりは通り過ぎた側面へと攻撃をできるように、手首と肘の間の部分が稼働するようになったのだ。そこに亀裂が入って90度曲がる様になりやがった。元からそんな機能があったのか、最初からそんな機構だったのかはわからない。
けど確かにそれが可能になったのだ。それによって再び聖剣で受け止める事になった。こっちも蓄積されるダメージ。更に追撃しようとしてくる腕にアイ殿が砲撃を放って足止めしてくれる。その間に足に力を込めて、背後を取る。一瞬の動き。でもそんな動きも完璧に把握してるのか、腕は肘で聖剣の軌道に反撃をしてくる。
鋭い動き……聖剣と肘がぶつかり合って大きく自分の身体がのけぞることになる。そこに側面から迫る拳。けどそれは三重の防壁に阻まれ……阻まれ……
バリンバリンとあっという間に二重の障壁が壊された。けど最後の一個は数秒は耐えてくれた。それで十分! 聖剣を素早く振るって一気に腕とクロスする。その間に20は切った。後から斬撃の炸裂する音が幾重も響く。でもそれで終わる相手じゃない。更に力を込めて聖剣の輝きをまさせる。そして更に……分身させた聖剣が両肩の上に出てきた。