「すごい……」
そんな声が野々野小頭から漏れる。こんな反撃をされるなんてあの巨大な腕の主も思ってなかったんじゃないだろうか? まあけど、あの巨大な腕の主はこっち側を観ることもできなさそうだし、なんとはなしに腕を突っ込んでただけ……ならちょっとと可愛そうでもある。
不用意……といえばそれまでではあるが、まさかこんなことになるなんて……だよね。きっとあの腕の主はワクワクしながら腕を突っ込んだと思うんだ。中身が見えないボックスに腕を突っ込んで中身を確かめるような……そんな心境だったんじゃなかろうか?
けどその中にはなんとも凶暴な動物が入ってて、今は腕を噛まれてしまった状態みたいな? まあ噛まれるよりも数段は酷い状態になってるが……
痛みのせいか、腕が一旦地獄の門に引っ込んでいく。これによって、あれだけ魑魅魍魎が跋扈しててこの世の光景とは思えなくなってたこの場所がようやくスッキリとしたように小頭には見えた。
そしてそれが待ち望んだタイミングなのは鬼男も鬼女も同じだ。この門の前がスッキリしたことであることができるようになったようだ。
「 「はああああああああああああああああああああああああああああ!!」 」
鬼男と鬼女の気合をいれる声が野々野小頭まで届いてた。二人の体からほとばしる……なにか。気とかかもしれないし、あれが魔力とかかもしれない。それか闘気といっても良いかもしれない。鬼男のそれは紫味が強くて、鬼女の方は赤色にオレンジが混ざってるような……そんな個性があった。
それは天に登って空の上の方で広がっていくように見える。空に天井なんてのは無いはずなのに、なにかにぶつかったかのように丸く広がっていく。内側から円にぶつかったように……まるで地球が丸いとわかるようにそうなっていく。けど普通は空が丸く見えるのは、それこそ地面に仰向けに寝転がって、空が広く見える場合だろう。
実際今は小頭には空が広くみえるし、条件はある程度整ってるといえる。でも……
「地球の丸さにはしては……狭いような?」
そんな気がしてた。二人は小頭にはわからない言葉を喋ってる。なにやら5・7・5みたいなリズムを刻みつつ、とても普通では回らないような……イスラム的な言葉にも聞こえるような、そんな言語。そして二人は中腰になった。そして頭を突き出す。
最後に「はっ!!」と二人の声が同時に重なった。するとその額の角が……計四本の角が地獄の門へと発射されたのだ。
(角ってなんだっけ?)
――と小頭は思った。
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