『それよりも……いいのですか?』
『何が?』
そんな事を野々野足軽はいった。するとアースが爆弾発言をする。
『貴方の血の繋がった生命体が家から脱出しようとしてますよ』
『それって……』
厄介な言い方をしてるが、それが何を意味してるのか、野々野足軽はすぐにわかった。意識を野々野小頭の方に移す野々野足軽。すると視界の中で小頭を映してる部分が大きくなった。色々なところを同時に見れるが、それでもやっぱり野々野足軽というのは一人しかいないわけで、その脳のリソースだって一つだ。それをどう振り分けるか……が大事なわけで、やっぱり見える事とそれを把握出来ることはイコールではないということだ。
きっと経験ある人もあるだろう。確かに食べた筈の昨日の夕飯とか「なんだったっけ?」という経験。確かにやったことであろうに、思い出すことが難しいと言うやつ。きっとそれと似たようことだ。
言われて野々野足軽が小頭の部屋をみると、小頭は窓から脱出しようとしてた。実際2階なら覚悟を決めれば飛び降りれない高さでもない。まあ流石に飛び降りる……なんてしてないが。
一応壁沿いに引っかかりを見つけて慎重に地面を目指してる。けど――
「あっ……」
そんな事をいったと同時に、野々野小頭はとっかかりから足を踏み外した。そしてそのまま地面に……ドスン――と落ちた。
「いたた……くない?」
けどなぜかそんなに痛くない。自分のおしりをさすりながら上を見る野々野小頭。
「そんなに距離なかったのかな?」
そんな風に考えた。けどそんなわけはない。流石に全く痛くないなんておかしい。けど野々野小頭はラッキーとしかおもってない。
「あのバカ」
思わずそんな風な言葉が口をついて出る。それは野々野足軽である。力で見てた野々野足軽はとっさに落ちた小頭をまもったのだ。だからこそ、ダメージは皆無だった。本当なら外になんて出したくなかった。
『見逃したな……』
本当ならちょっと強引にでも部屋に閉じ込めておくつもりだった。だって野々野小頭が外に行こうとしてたのは気づいてたからだ。でも他の部分に気を取られてた。簡単に窓の鍵とかに力を使って開けられないようにしよう……とか野々野足軽は思ってたんだ。
不自然だが……建付けが悪くなったかな? くらいで済ませられるかもしれない。そもそも鍵が開かないから、なにかの力が働いてる……と思う方が少ないだろう。だからそれで野々野小頭はこの家に閉じ込めて置くつもりだった。
夕飯まで持たせれば、そのまま家の中にいるしかなくなる……と野々野足軽は思ってた。けどちょっとした油断がこの事態を招いてしまった。野々野足軽は見るところが多くなってしまったことに頭を抱えてる。
そしてそんな事はつゆ知らず、野々野小頭は走り出した。
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