『えっと、もっと簡単にお願いできますか? ほら、皆さんにもわかりやすいように』
とりあえず私はG-01としての威厳? って奴を保たないといけない。だから素のままに「もっと簡潔に」とかいうのはどうかと思った。だってそんな事をいったら私も分かってないってバレるじゃん。実際もう勇者には私がそこまで賢くないとバレてそうではあるが……それでも勇者なら私をたててくれるだろう。
尊敬だってきっと今までのようにしてくれると思う。良い奴だからね。流石は勇者である。アイは言わずもがなだ。あいつは私を知ってるからどうでもいい。問題はミレナパウスさんだ。彼女は私を本当の神のように崇めてる。まあいつかは? いつかはそんな誤解は解きたいところだ。
けどそういうのは段階が必要じゃないかな? いきなり宗教に傾倒してる人に『神なんていないんだ!』――なんていってその人は納得するか? しないだろう。つまりはそういう事だよ。
私はミレナパウスさんの幻想をぶち壊すなんてできないのだ。私のその言葉を聞いて彼はこう答えてくれた。
『新たに生まれ変わろうとしてる』
最小からそういえ……と思ったのは胸にしまっておいた。でも生まれ変わりって……実際私が思ってる生まれ変わり……とかでもきっとないだろうね。だって生まれ変わりって魂が輪廻して新たな姿になる……みたいなイメージがある。でもさ、彼もいってたがメタリファーは概念的な存在でそこに魂とかをもってはない。という事は生まれ変わりといっても魂が輪廻してるとかじゃないってことだよね?
つまりは魂までも創造してる事になるのでは?
『あなたは神になったのですか?』
だって魂まで創造するなんてそれは神の領域では? いや、でも神も彼の世界の人たちに頼ってたな。一度会ったし。となれば、神に等しくなっててもおかしくない?
『魂の解明。それは俺の命題だったからな。それの集大成がユアの卵だ。神になったかどうか、ではなってはない。あれは存在としてちがうからな。だが、神にできることが俺達にはできないと誰が決めた?
手を伸ばす権利は命ある物全てにあるべきだろう?』
どうやらこの人はどこまでも研究者みたいだ。自身の中で課した一つの命題。その為にずっと邁進し続けたのだろう。たった一人になったとしても……そういえばこの船の世界で色々な動物がいた。
それこそ色々と組み合わさったような……さ。あれは多分、どこかに所属してたら命を冒涜してるとか……そんな事を言われるようなことだと思う。そして今、彼の目的をきいて、ああやっぱり……と思ったもん。きっとこの船の世界の者たちは彼によって改造されてる。
『必要なデータと触媒はそろった筈だ。あとは上手く反応をすれば……この中でメタリファーは新たな命として誕生するだろう。さあ、見せてくれ。俺の生きた証を!!』
そういう彼の声に反応するかのようにユアの卵にヒビが入っていく。
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