最近、肉のエイジング技術が見直されています。専用の冷蔵庫を店に持ち、エイジングを売りにしているお店をテレビで見ると、コックさんとしてはとてもうらやましい。
皆さまに知って頂きたいのは、エイジング自体は昔から知られている方法で、我々コックさんは、それぞれのお店でやってきている、ということです。
基本的に今日使う肉を、今日仕入れる、というレストランは少ないのではないかと思います。
<旧オステリア白樺の料理ノートから転載>
ごちそうといえばやはり「ステーキ」をあげる人が多いようです。
せっかくの外食、ということで一番人気のメニューです。
何でもないようなメニューですが、
焼肉と違って、満足感のある、完璧な焼き上がりは、やはりお店でないとできないものです。
当店では、正直に言いまして、原価、肉の掃除、
自家熟成の期間などを考えるとほとんど利益のない、まったくのサービスメニューです。
日本の黒毛和牛は、その脂肪交雑度(いわゆる霜降りですね)、甘い香り、と世界に誇れるものです。
信州で育つ黒毛和牛はリンゴを食べておいしい空気の中、のびのびと育ちます。
残念ながら市場での最高級の等級はなかなかもらえないのですが、大事に育てられたお肉です。
そこからはシェフの出番です。
お肉屋さんから塊で運ばれる和牛を、屠畜日、肉の状態を見ながらチルド状態でじっくりと寝かせます。
その時々で違いますが1日で済むこともあれば、1週間以上かかることも。
こうして熟成させることで和牛特有の甘い香りがしっかりと出てきます。これでようやくお客様に出せる状態になります。
熟成期間の読みを間違えると品切れになってしまうことも。どうしても、という方はご予約いただければと思います。
分厚く切った和牛はグリルと余熱など、慎重に火入れします。せっかくの香りもここを間違えると飛んでしまいます。
こうして、甘く柔らかい香りを残しつつ、噛み締めるたびに肉汁が口の中にあふれる和牛のグリルが出来上がるのです。
単純に見えるけれど、手間のかかった和牛のグリル、ぜひ、ご賞味下さい。
※2009年現在は休止中です。ご了承ください。
諸事情で、現在は休止中です。現在、黒毛種以外でも、肉質の良い牛肉が出回ってきています。良い出会いがあれば、また再開したいと思います。期待してお待ちいただければと思います。