くろっぴと、甘いあまい時間を過ごしていた。
あちらこちら、くまなく触って点検した。
いちいち、「あぁ、くろっぴだ~」と、嬉しかった。
くろっぴは、あたしが階下に戻ると、すたこら迎えに来て、戸の前で鳴いた。
なんじゃ?と出ていくと、階段にとんとんとん、と上がって、途中で座り込んで
「こっちに来て~」と、呼んだ。
なんとも懐かしい、くろっぴの好きな遊びのひとつだった。
もうケージには入れていなくて、廊下の好きな場所で、のんびり過ごしていた。
階段の上の廊下に、大きめのホットカーペットを敷いてあって、そこに
「ころん」と横になり、あたしに添い寝しろ、と言う。
うんうん、と、あたしも横になると、くろっぴは、あたしのお腹に自分の背中を
ぴとっとくっつけて、すやすや眠った。
少しでも、あたしが動いたりすると、目を開けて、動くな、と目で合図した。
おかげであたしは、くろっぴの肉球をもんだり、毛並みを整えたり、本当に
昔のように可愛がることができた。
朝になって。
くろっぴは、ちょっと真剣な顔であたしに「外に出たい」と要求した。
その表情は、絶対に引かない、との決意が表れているのだった。
行くところが、あるのかい?
くろっぴは、そうだよ、と言う表情で、目を細めた。
悩んだ。
加熱で頭が禿げるのではないかと思うくらい、悩んだ。
せっかく戻ってきたくろっぴ。もう出ていって欲しくない。
でも、どうしても、どーうしても、出て行くというくろっぴに根負けした。
あたしは、玄関の戸を開けた。
くろっぴは、一呼吸して、あたしを振り返り、じー、っと見た。
優しい顔だった。
あたしも、つられて笑顔になった。・・・たぶん。
行ってらっしゃい。
必ず戻るんだよ?
くろっぴは、軽々とした足取りで、裏庭の方へと向かって行った。
あたしは、ずっと見送ったが、一度も振り返ることもなく、しっかりした歩調で
ずんずん、進んでいくのだ。
居なくなったのではない。
見送ったのだ。
そして、どこにいったのか解らないのではない。
すぐそこに、元気で生きているのだ。
帰り道が判らなくなって、泣いているのではない。
いつでも好きなときに、我が家に戻れるのだ。
くろっぴは、ここを「我が家」と認めているのだ。
今まで通り毎日、戸口にご飯を出しておくことにしよう。
いつだって毎日、無くなっているのだから、くろっぴは、食べに寄って、そして
その後の新しい生活の場所へと、また戻るだけなのだ。
気が向いたら、また戻ってくるだろう。
そうしたら、また笑顔で迎えてあげることができる。
もう、間違えないからね。
これは、別れでは無い、門出です。
くろっぴの前途を、神様が祝福してくださいますように。
あちらこちら、くまなく触って点検した。
いちいち、「あぁ、くろっぴだ~」と、嬉しかった。
くろっぴは、あたしが階下に戻ると、すたこら迎えに来て、戸の前で鳴いた。
なんじゃ?と出ていくと、階段にとんとんとん、と上がって、途中で座り込んで
「こっちに来て~」と、呼んだ。
なんとも懐かしい、くろっぴの好きな遊びのひとつだった。
もうケージには入れていなくて、廊下の好きな場所で、のんびり過ごしていた。
階段の上の廊下に、大きめのホットカーペットを敷いてあって、そこに
「ころん」と横になり、あたしに添い寝しろ、と言う。
うんうん、と、あたしも横になると、くろっぴは、あたしのお腹に自分の背中を
ぴとっとくっつけて、すやすや眠った。
少しでも、あたしが動いたりすると、目を開けて、動くな、と目で合図した。
おかげであたしは、くろっぴの肉球をもんだり、毛並みを整えたり、本当に
昔のように可愛がることができた。
朝になって。
くろっぴは、ちょっと真剣な顔であたしに「外に出たい」と要求した。
その表情は、絶対に引かない、との決意が表れているのだった。
行くところが、あるのかい?
くろっぴは、そうだよ、と言う表情で、目を細めた。
悩んだ。
加熱で頭が禿げるのではないかと思うくらい、悩んだ。
せっかく戻ってきたくろっぴ。もう出ていって欲しくない。
でも、どうしても、どーうしても、出て行くというくろっぴに根負けした。
あたしは、玄関の戸を開けた。
くろっぴは、一呼吸して、あたしを振り返り、じー、っと見た。
優しい顔だった。
あたしも、つられて笑顔になった。・・・たぶん。
行ってらっしゃい。
必ず戻るんだよ?
くろっぴは、軽々とした足取りで、裏庭の方へと向かって行った。
あたしは、ずっと見送ったが、一度も振り返ることもなく、しっかりした歩調で
ずんずん、進んでいくのだ。
居なくなったのではない。
見送ったのだ。
そして、どこにいったのか解らないのではない。
すぐそこに、元気で生きているのだ。
帰り道が判らなくなって、泣いているのではない。
いつでも好きなときに、我が家に戻れるのだ。
くろっぴは、ここを「我が家」と認めているのだ。
今まで通り毎日、戸口にご飯を出しておくことにしよう。
いつだって毎日、無くなっているのだから、くろっぴは、食べに寄って、そして
その後の新しい生活の場所へと、また戻るだけなのだ。
気が向いたら、また戻ってくるだろう。
そうしたら、また笑顔で迎えてあげることができる。
もう、間違えないからね。
これは、別れでは無い、門出です。
くろっぴの前途を、神様が祝福してくださいますように。
ずっとずっと、毎日欠かさず待っていたのに
せっかく手に入った幸せだったのに
あたしはバカだ 大馬鹿者だ
おーーーいおいおいおい( T△T)
きっと、こんな風な気持ちに似た感じの感想を持つのでは?と思ったっす。
子どもには、前(将来のこと)しか見えてないけど
いつも、母は後から見守っているんだな~、って。
いまさらながら、母に感謝、です。(-人-;)
もう、伝えられないけどさ。