大阪芸大の学園祭2023『ビヨンド×リバウンド』で、大阪芸大ジャーナリズム研究会が企画展示「各国首脳はどこまで被爆の実相に触れたのか〜メディア報道で読み解く広島G7〜」を行いました。2日間で約80人が会場を訪れ、広島・長崎の被爆の実相を伝える写真などに改めて向き合っていました。<学園祭企画班>
(写真:「各国首脳はどこまで被爆の実相に触れたのか」の会場には、学生のほか会社員や教員も訪れた 2023年11月4日15時00分 ※画像は一部加工しています)
ロックのステージ音楽が遠くに聞こえ、模擬店のソースの匂いから少し離れた9号館3階303教室。静かな雰囲気のこの教室で、大阪芸大ジャーナリズム研究会と放送学科住田ゼミの合同企画展「各国首脳はどこまで被爆の実相に触れたのか〜メディア報道で読み解く広島G7〜」が行われました。
100人弱が入る中規模教室の3分の2のスペースに、展示用のパーティション16枚が並べられ、広島と長崎の平和団体から借用した約60枚の写真や解説のパネルが並べられました。
被爆直後の記録写真には、ぼう然と橋のたもとにたたずむ市民や、救護所でやけどの手当てを受ける人々の生々しい様子が写っています。
教室前方のスクリーンには、地元の富田林市で中学生らに体験を語ってきた、小田園枝さん(88歳)と上本保彰さん(82歳)の証言ビデオが流されました。2人は原爆投下直後、広島市郊外に大粒の雨が降ってきたという話や、戦後市内の川でシジミを取っていたら人の骨を見つけたという体験を、今年7月下旬にインタビューした映像の中で語っています。
教室の一番後ろには、「被爆の実相 各国首脳に伝わったか メディア報道で読み解く広島G7」のパネルが並べられています。ジャーナリズム研究会と住田ゼミの学生たちが、今年5月に行われた広島G7について、「各国首脳は原爆資料館の40分間で、被爆の実相に触れることができたのか」、「彼らは、被爆者の遺品やメッセージをどう受けとめたのだろうか」と議論した、その元になった報道を引用・解説したパネルです。
初日は、他大学の学生や、留学生、小学校の教員ら30人近くが会場に訪れました。来場者の声です。
【奈良県 小学校教員】
平和学習の参考になるかなと思ってきた。知らないことの方が多かった。いろいろ勉強になりました。
【大阪府 大阪芸大生の母親】
こういう機会がないと見ることができない内容だった。特に長崎のパネルの、溶けたガラスに手の骨が混ざって残った生々しい写真には驚いた。
【大阪府富田林市 50代男性】
芸大の学園祭には初めて来た。パンフレットを見て会場に来た。広島と長崎の訪問経験があるため、復習する機会になった。
【大阪府茨木市 20代(中国からの留学生、追手門学院大学学生)】
パンフレットを見て来た。中国では日本の戦争の歴史を知ることがなかった。とても悲しく感じた。
【大阪府吹田市 男子大学生】
広島出身。小学校のときに学んだ原爆についての記憶も曖昧になっていたので、今回の展示で大切なことを思い出した。
【堺市 30代男性】
パンフレットで興味をもった。(被爆の惨状は)トラウマなためこれまで避けてきたが、今日は新たな学びを得られた。
【滋賀県 会社員男性】
重音テトのファンで、学園祭に来場。せっかくの機会なので全てのブースを周りたいと思って来た。新鮮な経験をした。
【明石市 男性40代 小学校教師】
これから行く修学旅行の勉強のために見に来た。(原爆のことを)詳しく学ぶことができて良かった。
【奈良県 20代女性 会社員】
たまたま通りかかった。教科書でしか見たことがなかったから、勉強になった。結構ショッキングでした。
【小学生 男児(家族とともに来場)】
たまたま通りかかった。核爆弾は恐ろしいと思った。
(写真:2日目の午後には多くの人が会場に訪れた 2023年11月5日16時17分 ※画像は一部加工しています)
2日目に会場に訪れた市民や学生53人に聞きました。
【奈良市 芸大生の母親】
日常で使うものが原爆で破壊された様子が詳しく展示されていた。勉強になった。
【家族と訪れた10代】
(焼けて)黒いお弁当箱の写真が印象に残った
【兵庫県 46歳の息子と訪れた82歳の母親】
息子が大阪芸大の卒業生で、学園祭に来てみたいと思っていた。今回は教員のTwitterを見て来た。
息子が中学低学年の時に広島に行ったときに見た写真を、改めてこの会場で見た。胸が痛む。
令和の今も戦争が起こる世の中だ。日本は、絶対に(戦争を)やってはいけない。
【広島県 芸大生の母親】
夫や娘ら家族と学園祭に来た。次男がデザイン学科の学生。
被爆者の描いた絵が印象に残っている。
私たちが(広島で)普通に習っていたことを他県の方は知らない。こういったものを見て、(被爆の実態を)広く知ってくれたらと思う。G7のことに関しては関心が薄かったので、パネルを見て知ることができた。
【神戸市 27歳男性、29歳女性】
通りかかったので立ち寄った。
被爆者の描いた絵がショッキングだった。
【大阪府貝塚市 45歳男性、32歳女性】
学園祭は好奇心で来た。
まとまっていて、(被爆)当時の様子がよくわかった。
【大阪 高校生女子】
芸大に興味があった。時間があったから立ち寄った。
写真に映る人々は、何を考えていたのだろう。
戦争は怖いなと改めて感じた。
【堺市 夫婦 49歳男性、51歳女性】
娘が芸大放送学科生。
全身火傷の写真が印象深かった。順序通りまわることで分かりやすかった。
【大阪 42歳男性、70歳女性】
''戦争''という言葉に興味をもって、パネル展示を見に来た。
原爆資料館などは、もっと現実を見せるべき。
写真についての来場者の感想も入れるべき。写真の羅列で、ただの展示になってしまっている。
【芸大OBと芸術計画学科4年生の男子学生 2人組】
広島県出身ということで関心があって来た。
やっぱ破壊力はやばい。(広島の街が破壊されて)こんな更地になってたんだって。
原爆のインパクトや、頭に残ってしまうような感覚がもっとほしい。
【芸大生とその友人 24歳、21歳、21歳】
通りがかって会場に来た。
遠い(昔の)話ではない。身近に感じないといけない話だなと思った。
合宿を行って、調べて、こういった感じにまとめていて、すごいなと思った
【堺市 高3の男女2人組】
学園祭を回っていてこの場所にたどり着いた。
ショッキングなもの(被爆者や遺品の写真)も多くあった。
テレビで流すには、子どもたちには刺激が強めだとは思うが、流していくべきだと思った。
【男子芸大生と高知から来た女子大生】
いろいろ回っていてこの場所に来た。
夢に出てきそうだなと思った。
【男子芸大生 放送学科4年生】
声優コースの卒業公演に特攻隊のシーンがあるので、(戦争関連のことを学ぼうと思い)この会場に来た。
写真と違って、絵にはあまり信ぴょう性がないのではないかと思っていたが、広島と長崎の両方に同じような構図の絵があり、絵には(被爆者が目撃した)真実が描かれていると感じた。背中に大やけどを負った長崎の郵便配達の少年の写真が印象に残った。息子の姿を見た親は、本当に辛かっただろうと思う。撮影日の夜に亡くなったという、横たわる兵士の表情も印象的だ。
【守口市 30代の男女2人組】
隣の教室からの流れで来た。
今も同じことを繰り返してるなと、人って変わらないなと思った。
(写真下:「各国首脳はどこまで被爆の実相に触れたのか」のポスターが貼られた会場入り口 2023年11月4日午後)
了