少年事件
1.手続きの流れ
⑴ 14歳以上の少年の場合
ア 逮捕
逮捕されると,警察官から,①犯罪事実の要旨の告知及び②弁護人選任権の告知がされ,③弁解の機会が与えられ,警察署に連行されます。その後は,警察署内の留置場で身柄を拘束されます。
イ 検察官送致
逮捕から48時間以内に,身柄が検察庁に送られます。検察庁では,再度,①犯罪事実の要旨の告知及び②弁護人選任権の告知がされ,③弁解の機会が与えられます。
ウ 勾留請求
検察官送致から24時間以内に検察官により勾留請求がされます。
勾留請求がされた段階で,弁護人を選任することができます。
エ 勾留決定
裁判所によって勾留決定されると,勾留されることになります。
オ 勾留
勾留期間中は,拘置所又は警察署の留置場で身柄を拘束されます。勾留期間は最大で10日ですが,最大10日間の延長ができるので,勾留は最長で20日となります。成人の場合は,20日間勾留されるのが大半ですが,少年の場合は10日間の勾留で済む場合も多いです。
少年が逮捕・勾留されている間,捜査機関は,事件の捜査を行います。このとき,少年に対する取調べも行われます。
保護者や知人などは,接見禁止になっていなければ,少年と面会し,話すことができます。
カ 家裁送致
勾留が終わると,少年の身柄は検察庁から家庭裁判所に移されます。その際,観護措置がとられると,通常は少年鑑別所に入ることになります。
弁護人を選任している場合で,家裁送致後も弁護士を依頼したい場合は,改めて弁護士を付添人に選任する必要があります。
キ 観護措置
少年鑑別所では,技官との面接や行動観察を経て,少年のひととなりが調査されることになります。少年鑑別所の収容期間は原則として2週間ですが,4週間まで延長が可能です。一定の重大事件()では最長8週間まで延長できることになっています。観護措置がとられない場合は,在宅のまま手続がすすみます。
この間,家裁調査官による面接も行われます。
ク 少年審判
審判は,原則として家庭裁判所において非公開で行われ,少年に対する処分が決定されます。
審判には,裁判官,家裁調査官,少年,保護者,付添人(選任されている場合)が出席し,裁判官や家裁調査官から少年と保護者に対して質問がされます。
カ 処分
⑵ 14歳未満の少年の場合
行為時に14歳未満であった少年は,刑事責任能力がないので,刑事処罰を受けることはありません。
ア 児童相談所への通告
要保護児童を発見した者が,児童相談所に通告します。
イ 都道府県知事への報告
児童相談所長は,通告を受けた児童について,家庭裁判所の審判が必要だと判断した場合は,都道府県知事に報告します。
ウ 家裁送致
都道府県知事は,家庭裁判所の審判に付することが必要だと判断した場合には,児童を家庭裁判所に送致します。
エ 審判
家庭裁判所は,調査の上,審判を行います。14歳未満の少年については,検察官送致になることはありません。
2.終局処分
⑴ 処分の種類
ア 不処分
非行事実の存在が認められなければ,不処分となります。非行事実があったとしても,事案が軽微な場合には,保護処分の必要性なしとして,不処分になることがあります。
イ 保護観察
保護観察では,身柄拘束はされません。その代わりに,保護司のもとに月1回程度訪問し,行状を報告することになります。期間は,
保護観察では遵守事項があり(健全な生活態度の保持など),遵守事項を遵守しなかった場合に,その違反の程度が重大だと,少年院送致などの処分がとられることもあります。
ウ 少年院送致
㋐少年院の種類
①初等少年院
初等少年院は,心身に著しい故障がない,おおむね12歳以上おおむね16歳未満の少年が対象です。
②中等少年院
中等少年院は,心身に著しい故障がない,おおむね16歳以上おおむね20歳未満の少年が対象です。
③特別少年院
特別少年院は,心身に著しい故障がないが,犯罪傾向の進んだ,おおむね16歳以上おおむね20歳未満の少年が対象です。
④医療少年院
医療少年院は,心身に著しい故障のある,おおむね12歳以上おおむね26歳未満の者が対象です。
㋑少年院の収容期間
法律上は,少年院の収容期間は,少年が20歳に達するまでとされており,少年院送致時点で19歳の少年は,1年間とされています。
法律上は上記のように定められていますが,実際は,法律の規定とは異なる運用がされています。短期処遇であれば,4か月以内又は6か月以内ですが,長期処遇だと1年程度という運用です。
㋒どこの少年院か
少年院は全国にあり,どの少年院に入るかは…という観点から決定されます。ですから,茨城県在住の少年が茨城県内で事件を起こしても東京の少年院に入ることもあります。
エ 検察官送致(逆送)
㋐年齢超過
審判時に20歳以上である場合は,検察官送致されます。
㋑刑事処分相当
死刑,懲役又は禁錮にあたる罪の事件で,犯罪が重大である場合には,検察官送致される場合があります。故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件で,少年が犯罪時に16歳以上であった場合には,原則として検察官送致となります。検察官送致された後は,成人の場合と同じ刑事手続になります。
刑事事件
1.刑事手続の概要
捜査機関は,有罪判決を得ることを目標に活動していきます。有罪判決を得るためには,被告人が犯罪を犯したという証拠によって立証することになります。捜査機関は,犯罪を立証するのに十分な証拠を収集して初めて被疑者を起訴します。ゆえに,起訴前に捜査機関は犯人の捜索と証拠の収集をしており,この犯人捜索・証拠収集を捜査と呼びます。捜査機関が捜査している間,被疑者が逃亡したり,証拠を隠滅するおそれがある場合には,捜査機関は,被疑者を逮捕・勾留することで,被疑者の逃亡・証拠隠滅を防ぎます。被疑者が逃亡・証拠隠滅するおそれがなければ,被疑者は身柄拘束を受けない在宅事件となります。
2.手続の流れ
⑴ 逮捕
逮捕されると,警察官から,①犯罪事実の要旨の告知及び②弁護人選任権の告知がされ,③弁解の機会が与えられ,警察署に連行されます。その後は,警察署内の留置場で身柄を拘束されます。
⑵ 検察官送致
逮捕から48時間以内に,身柄が検察庁に送られます。検察庁では,再度,①犯罪事実の要旨の告知及び②弁護人選任権の告知がされ,③弁解の機会が与えられます。
⑶ 勾留請求
検察官送致から24時間以内に検察官により勾留請求がされます。
勾留請求がされた段階から,国選弁護人を選任することができます。
⑷ 勾留決定
裁判所によって勾留決定されると,勾留されることになります。
⑸ 勾留
勾留期間中は,拘置所又は警察署の留置場で身柄を拘束されます。勾留期間は最大で10日ですが,最大10日間の延長ができるので,勾留は最長で20日となります。通常は20日間勾留されることが多いです。
被疑者が逮捕・勾留されている間,捜査機関は,事件の捜査を行います。このとき,被疑者に対する取調べも行われます。
接見禁止になっていなければ,被疑者と面会し,話すことができます。
検察官は,勾留期間中に被疑者を起訴しない場合は,被疑者を釈放しなければなりません。このとき,不起訴又は処分保留により釈放されることになります。処分保留の場合,釈放後も捜査機関は捜査を継続します。
⑹ 起訴
起訴とは,検察官が,裁判所に対して,特定の刑事事件について審判を求めることを言います。
⑺ 被告人勾留
起訴により,被疑者は被告人と呼ばれるようになります。起訴によって,被告人の身柄は,
被告人勾留の場合は,保釈が認められ,身柄が解放される場合があります。
⑻ 公判期日の指定
裁判所によって公判期日が指定され,被告人又は弁護人に通知されます。
⑼ 公判期日
ア 人定質問
法定に出廷している人が,起訴状記載の被告人と同一人物であるか確認する手続です。裁判官が被告人に対して,氏名,生年月日,本籍,住所,職業を質問します。
イ 起訴状の朗読
検察官が起訴状を朗読します。起訴状には,公訴事実(具体的な犯罪行為の要約),罪名(窃盗罪など),罰条(235条など)が記載されています。
ウ 黙秘権の告知
裁判官が被告人に対して,被告人が言いたくないことは言わなくてよいなど,黙秘権があることを説明します。
エ 被告人・弁護人の陳述
起訴状のとおりの犯罪行為を犯したか否かについて,被告人に発言する機会が与えられます。
オ 証拠調べ
㋐冒頭陳述
検察官が,いかなる事実をいかなる証拠により立証するかを説明します。
㋑証拠調べ請求
検察官が,証拠調べを請求します。具体的には,証人尋問や証拠物・証拠書類の取調べを請求します。
㋒証拠調べ請求に対する意見
弁護人が,検察官の証拠調べ請求に対して意見を述べます。
㋓証拠調べ
証拠物の現物が示されるなどします。
㋔証人尋問
被害者や目撃者などが証人として証言することが多いです。証人は初めに宣誓をします。尋問の順序は,まず,証人尋問を請求した側が尋問し(主尋問),次に相手方が尋問し(反対尋問),再度請求した側が尋問します(再主尋問)。最後に裁判官が尋問します(補充尋問)。
弁護側として,被告人の家族や上司などが情状証人として証言する場合もあります。
㋕被告人質問
被告人質問も証人尋問と同じ手順で行われます。被告人は宣誓しません。
カ 論告・求刑
検察官が,事実及び法律の適用について意見を述べた上で,刑罰の種類及び量(懲役何年など)について意見を述べます。
キ 弁論
弁護人が,事件に対する意見を述べます。
ク 被告人の最終陳述
被告人及び弁護人に発言の機会与えられます。
ケ 結審
以上の手続が終わると,裁判官が,判決言渡し期日を指定します。結審の約2週間後に判決言い渡し期日が指定されることが多いです。事件によっては,その日のうちに判決を言い渡されることもあります。
コ 判決
裁判官が,判決言渡し期日に,判決を言い渡します。
⑽ 判決の確定
判決言い渡し期日の翌日から数えて14日以内に控訴しなければ,判決は確定します。
⑾ 刑の執行
3.弁護人の依頼の仕方(選任方法)
⑴ 弁護人の種類
刑事事件の弁護人には私選弁護人と国選弁護人の2種類があります。私選弁護人とは,私人が弁護人を選任する場合を言います。これに対して,国選弁護人は,被疑者・被告人に私選弁護人を選任するだけの資力がない場合に,国が弁護人を選任する場合を言います。
⑴ 私選弁護人
ア 選任権者
被疑者・被告人だけでなく,被疑者・被告人の法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族,兄弟姉妹も弁護人を選任することができます。
これに対して,内縁の妻は弁護人を選任することができません。
イ 選任方法
㋐弁護士への依頼
まずは,被疑者・被告人やその家族等が,自分で弁護士を探して依頼するという方法が考えられます。
㋑当番弁護士制度の利用
当番弁護士制度とは,弁護士会(茨城県弁護士会など)ごとに当番の弁護士を置き,被疑者やその家族などから弁護士会に接見依頼があれば,当番の弁護士が接見に応じる制度です。1回目の接見は無料となっています。
ウ 弁護士費用
弁護士費用についてはこちらをご参照下さい。
⑵ 国選弁護人
ア 被疑者段階(起訴前)の国選弁護人
㋐国選弁護人を選任できる事件
法定刑が,死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件(殺人,傷害,強盗,窃盗,詐欺,覚せい剤使用など多くの事件が含まれます)
㋑選任の時期
被疑者が検察官によって勾留されたか勾留中である場合に選任できます。
㋒資力要件
国選弁護人を選任できるのは,資力がない場合のみです。具体的には,50万円以上の現金や預貯金がない場合を言います。
㋓選任手続
㋔弁護士費用
国選弁護人に対する弁護士費用は,一旦は国が国選弁護人に対して支払います。その後,国が被疑者・被告人に対して,弁護士費用の負担を求める場合があります。判決で執行猶予判決を受けた場合には,弁護士費用の負担を求められ,実刑になった場合は,弁護士費用の負担を求められないことが多いようです。
イ 被告人段階(起訴後)の国選弁護人
㋐国選弁護人を選任できる事件
全ての事件で国選弁護人を選任することができます。
㋑選任の時期
起訴後はいつでも国選弁護人を選任することができます。
㋒資力要件
国選弁護人を選任できるのは,資力がない場合のみです。具体的には,50万円以上の現金や預貯金がない場合を言います。
㋓選任手続
㋔弁護士費用
国選弁護人に対する弁護士費用は,一旦は国が国選弁護人に対して支払います。その後,国が被疑者・被告人に対して,弁護士費用の負担を求める場合があります。判決で執行猶予判決を受けた場合には,弁護士費用の負担を求められ,実刑になった場合は,弁護士費用の負担を求められないことが多いようです。
4.保釈
5.判決の種類
1.手続きの流れ
⑴ 14歳以上の少年の場合
ア 逮捕
逮捕されると,警察官から,①犯罪事実の要旨の告知及び②弁護人選任権の告知がされ,③弁解の機会が与えられ,警察署に連行されます。その後は,警察署内の留置場で身柄を拘束されます。
イ 検察官送致
逮捕から48時間以内に,身柄が検察庁に送られます。検察庁では,再度,①犯罪事実の要旨の告知及び②弁護人選任権の告知がされ,③弁解の機会が与えられます。
ウ 勾留請求
検察官送致から24時間以内に検察官により勾留請求がされます。
勾留請求がされた段階で,弁護人を選任することができます。
エ 勾留決定
裁判所によって勾留決定されると,勾留されることになります。
オ 勾留
勾留期間中は,拘置所又は警察署の留置場で身柄を拘束されます。勾留期間は最大で10日ですが,最大10日間の延長ができるので,勾留は最長で20日となります。成人の場合は,20日間勾留されるのが大半ですが,少年の場合は10日間の勾留で済む場合も多いです。
少年が逮捕・勾留されている間,捜査機関は,事件の捜査を行います。このとき,少年に対する取調べも行われます。
保護者や知人などは,接見禁止になっていなければ,少年と面会し,話すことができます。
カ 家裁送致
勾留が終わると,少年の身柄は検察庁から家庭裁判所に移されます。その際,観護措置がとられると,通常は少年鑑別所に入ることになります。
弁護人を選任している場合で,家裁送致後も弁護士を依頼したい場合は,改めて弁護士を付添人に選任する必要があります。
キ 観護措置
少年鑑別所では,技官との面接や行動観察を経て,少年のひととなりが調査されることになります。少年鑑別所の収容期間は原則として2週間ですが,4週間まで延長が可能です。一定の重大事件()では最長8週間まで延長できることになっています。観護措置がとられない場合は,在宅のまま手続がすすみます。
この間,家裁調査官による面接も行われます。
ク 少年審判
審判は,原則として家庭裁判所において非公開で行われ,少年に対する処分が決定されます。
審判には,裁判官,家裁調査官,少年,保護者,付添人(選任されている場合)が出席し,裁判官や家裁調査官から少年と保護者に対して質問がされます。
カ 処分
⑵ 14歳未満の少年の場合
行為時に14歳未満であった少年は,刑事責任能力がないので,刑事処罰を受けることはありません。
ア 児童相談所への通告
要保護児童を発見した者が,児童相談所に通告します。
イ 都道府県知事への報告
児童相談所長は,通告を受けた児童について,家庭裁判所の審判が必要だと判断した場合は,都道府県知事に報告します。
ウ 家裁送致
都道府県知事は,家庭裁判所の審判に付することが必要だと判断した場合には,児童を家庭裁判所に送致します。
エ 審判
家庭裁判所は,調査の上,審判を行います。14歳未満の少年については,検察官送致になることはありません。
2.終局処分
⑴ 処分の種類
ア 不処分
非行事実の存在が認められなければ,不処分となります。非行事実があったとしても,事案が軽微な場合には,保護処分の必要性なしとして,不処分になることがあります。
イ 保護観察
保護観察では,身柄拘束はされません。その代わりに,保護司のもとに月1回程度訪問し,行状を報告することになります。期間は,
保護観察では遵守事項があり(健全な生活態度の保持など),遵守事項を遵守しなかった場合に,その違反の程度が重大だと,少年院送致などの処分がとられることもあります。
ウ 少年院送致
㋐少年院の種類
①初等少年院
初等少年院は,心身に著しい故障がない,おおむね12歳以上おおむね16歳未満の少年が対象です。
②中等少年院
中等少年院は,心身に著しい故障がない,おおむね16歳以上おおむね20歳未満の少年が対象です。
③特別少年院
特別少年院は,心身に著しい故障がないが,犯罪傾向の進んだ,おおむね16歳以上おおむね20歳未満の少年が対象です。
④医療少年院
医療少年院は,心身に著しい故障のある,おおむね12歳以上おおむね26歳未満の者が対象です。
㋑少年院の収容期間
法律上は,少年院の収容期間は,少年が20歳に達するまでとされており,少年院送致時点で19歳の少年は,1年間とされています。
法律上は上記のように定められていますが,実際は,法律の規定とは異なる運用がされています。短期処遇であれば,4か月以内又は6か月以内ですが,長期処遇だと1年程度という運用です。
㋒どこの少年院か
少年院は全国にあり,どの少年院に入るかは…という観点から決定されます。ですから,茨城県在住の少年が茨城県内で事件を起こしても東京の少年院に入ることもあります。
エ 検察官送致(逆送)
㋐年齢超過
審判時に20歳以上である場合は,検察官送致されます。
㋑刑事処分相当
死刑,懲役又は禁錮にあたる罪の事件で,犯罪が重大である場合には,検察官送致される場合があります。故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件で,少年が犯罪時に16歳以上であった場合には,原則として検察官送致となります。検察官送致された後は,成人の場合と同じ刑事手続になります。
刑事事件
1.刑事手続の概要
捜査機関は,有罪判決を得ることを目標に活動していきます。有罪判決を得るためには,被告人が犯罪を犯したという証拠によって立証することになります。捜査機関は,犯罪を立証するのに十分な証拠を収集して初めて被疑者を起訴します。ゆえに,起訴前に捜査機関は犯人の捜索と証拠の収集をしており,この犯人捜索・証拠収集を捜査と呼びます。捜査機関が捜査している間,被疑者が逃亡したり,証拠を隠滅するおそれがある場合には,捜査機関は,被疑者を逮捕・勾留することで,被疑者の逃亡・証拠隠滅を防ぎます。被疑者が逃亡・証拠隠滅するおそれがなければ,被疑者は身柄拘束を受けない在宅事件となります。
2.手続の流れ
⑴ 逮捕
逮捕されると,警察官から,①犯罪事実の要旨の告知及び②弁護人選任権の告知がされ,③弁解の機会が与えられ,警察署に連行されます。その後は,警察署内の留置場で身柄を拘束されます。
⑵ 検察官送致
逮捕から48時間以内に,身柄が検察庁に送られます。検察庁では,再度,①犯罪事実の要旨の告知及び②弁護人選任権の告知がされ,③弁解の機会が与えられます。
⑶ 勾留請求
検察官送致から24時間以内に検察官により勾留請求がされます。
勾留請求がされた段階から,国選弁護人を選任することができます。
⑷ 勾留決定
裁判所によって勾留決定されると,勾留されることになります。
⑸ 勾留
勾留期間中は,拘置所又は警察署の留置場で身柄を拘束されます。勾留期間は最大で10日ですが,最大10日間の延長ができるので,勾留は最長で20日となります。通常は20日間勾留されることが多いです。
被疑者が逮捕・勾留されている間,捜査機関は,事件の捜査を行います。このとき,被疑者に対する取調べも行われます。
接見禁止になっていなければ,被疑者と面会し,話すことができます。
検察官は,勾留期間中に被疑者を起訴しない場合は,被疑者を釈放しなければなりません。このとき,不起訴又は処分保留により釈放されることになります。処分保留の場合,釈放後も捜査機関は捜査を継続します。
⑹ 起訴
起訴とは,検察官が,裁判所に対して,特定の刑事事件について審判を求めることを言います。
⑺ 被告人勾留
起訴により,被疑者は被告人と呼ばれるようになります。起訴によって,被告人の身柄は,
被告人勾留の場合は,保釈が認められ,身柄が解放される場合があります。
⑻ 公判期日の指定
裁判所によって公判期日が指定され,被告人又は弁護人に通知されます。
⑼ 公判期日
ア 人定質問
法定に出廷している人が,起訴状記載の被告人と同一人物であるか確認する手続です。裁判官が被告人に対して,氏名,生年月日,本籍,住所,職業を質問します。
イ 起訴状の朗読
検察官が起訴状を朗読します。起訴状には,公訴事実(具体的な犯罪行為の要約),罪名(窃盗罪など),罰条(235条など)が記載されています。
ウ 黙秘権の告知
裁判官が被告人に対して,被告人が言いたくないことは言わなくてよいなど,黙秘権があることを説明します。
エ 被告人・弁護人の陳述
起訴状のとおりの犯罪行為を犯したか否かについて,被告人に発言する機会が与えられます。
オ 証拠調べ
㋐冒頭陳述
検察官が,いかなる事実をいかなる証拠により立証するかを説明します。
㋑証拠調べ請求
検察官が,証拠調べを請求します。具体的には,証人尋問や証拠物・証拠書類の取調べを請求します。
㋒証拠調べ請求に対する意見
弁護人が,検察官の証拠調べ請求に対して意見を述べます。
㋓証拠調べ
証拠物の現物が示されるなどします。
㋔証人尋問
被害者や目撃者などが証人として証言することが多いです。証人は初めに宣誓をします。尋問の順序は,まず,証人尋問を請求した側が尋問し(主尋問),次に相手方が尋問し(反対尋問),再度請求した側が尋問します(再主尋問)。最後に裁判官が尋問します(補充尋問)。
弁護側として,被告人の家族や上司などが情状証人として証言する場合もあります。
㋕被告人質問
被告人質問も証人尋問と同じ手順で行われます。被告人は宣誓しません。
カ 論告・求刑
検察官が,事実及び法律の適用について意見を述べた上で,刑罰の種類及び量(懲役何年など)について意見を述べます。
キ 弁論
弁護人が,事件に対する意見を述べます。
ク 被告人の最終陳述
被告人及び弁護人に発言の機会与えられます。
ケ 結審
以上の手続が終わると,裁判官が,判決言渡し期日を指定します。結審の約2週間後に判決言い渡し期日が指定されることが多いです。事件によっては,その日のうちに判決を言い渡されることもあります。
コ 判決
裁判官が,判決言渡し期日に,判決を言い渡します。
⑽ 判決の確定
判決言い渡し期日の翌日から数えて14日以内に控訴しなければ,判決は確定します。
⑾ 刑の執行
3.弁護人の依頼の仕方(選任方法)
⑴ 弁護人の種類
刑事事件の弁護人には私選弁護人と国選弁護人の2種類があります。私選弁護人とは,私人が弁護人を選任する場合を言います。これに対して,国選弁護人は,被疑者・被告人に私選弁護人を選任するだけの資力がない場合に,国が弁護人を選任する場合を言います。
⑴ 私選弁護人
ア 選任権者
被疑者・被告人だけでなく,被疑者・被告人の法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族,兄弟姉妹も弁護人を選任することができます。
これに対して,内縁の妻は弁護人を選任することができません。
イ 選任方法
㋐弁護士への依頼
まずは,被疑者・被告人やその家族等が,自分で弁護士を探して依頼するという方法が考えられます。
㋑当番弁護士制度の利用
当番弁護士制度とは,弁護士会(茨城県弁護士会など)ごとに当番の弁護士を置き,被疑者やその家族などから弁護士会に接見依頼があれば,当番の弁護士が接見に応じる制度です。1回目の接見は無料となっています。
ウ 弁護士費用
弁護士費用についてはこちらをご参照下さい。
⑵ 国選弁護人
ア 被疑者段階(起訴前)の国選弁護人
㋐国選弁護人を選任できる事件
法定刑が,死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件(殺人,傷害,強盗,窃盗,詐欺,覚せい剤使用など多くの事件が含まれます)
㋑選任の時期
被疑者が検察官によって勾留されたか勾留中である場合に選任できます。
㋒資力要件
国選弁護人を選任できるのは,資力がない場合のみです。具体的には,50万円以上の現金や預貯金がない場合を言います。
㋓選任手続
㋔弁護士費用
国選弁護人に対する弁護士費用は,一旦は国が国選弁護人に対して支払います。その後,国が被疑者・被告人に対して,弁護士費用の負担を求める場合があります。判決で執行猶予判決を受けた場合には,弁護士費用の負担を求められ,実刑になった場合は,弁護士費用の負担を求められないことが多いようです。
イ 被告人段階(起訴後)の国選弁護人
㋐国選弁護人を選任できる事件
全ての事件で国選弁護人を選任することができます。
㋑選任の時期
起訴後はいつでも国選弁護人を選任することができます。
㋒資力要件
国選弁護人を選任できるのは,資力がない場合のみです。具体的には,50万円以上の現金や預貯金がない場合を言います。
㋓選任手続
㋔弁護士費用
国選弁護人に対する弁護士費用は,一旦は国が国選弁護人に対して支払います。その後,国が被疑者・被告人に対して,弁護士費用の負担を求める場合があります。判決で執行猶予判決を受けた場合には,弁護士費用の負担を求められ,実刑になった場合は,弁護士費用の負担を求められないことが多いようです。
4.保釈
5.判決の種類