NHKのクローズアップ現代で取り上げられてた。
奨学金が返せなくて破産する若者が増えており、社会問題になっているということだ。
学費の増加により奨学金を借りる人が増え、他方で、不況により収入が減ったため、というのが原因らしい。
仕事してて自己破産申し立ての依頼を受けることもあるけど、確かにおまけみたいな感じで300万くらいの奨学金があることもある。
奨学金メインの破産はやったことないけど。
奨学金だと、必ず保証人がついてるから、保証人にも迷惑がかかる。
機関保証という手段もあるが、機関保証だと保証委託料が高いから、親戚に頼んで保証人になってもらってる人が多いのではないか。
自己破産との関係ではこれが厄介だ。
機関保証の場合は、まあ、破産しても保証会社に請求が行きますね、と説明して終わる。
これが、親戚が保証していると悩ましい。
本人が破産すれば保証人になってもらった親戚に請求が行ってしまう。
しかし、本人の経済状況を考えると自己破産以外に手段はなく、問題を先延ばしにしてもいいことはない。
したがって、保証人にあらかじめ破産すること、請求が行ってしまうことを説明した上で破産することになる。
保証人にも全く資力がない場合は、保証人も破産せざるを得ない場合もある。
クローズアップ現代では、破産が連鎖するとか言ってたけど、現実にそうなる場合もある。というか、そうせざるを得ない。
少し話がそれるが、破産するのもタダではない。申し立てするのに弁護士に依頼すれば、30万円以上はかかるし、負債増加の経緯や借り入れの使い道等から問題がある事案では、裁判所が、免責の可否等について調査する破産管財人を選任し(通常は弁護士)、その管財人弁護士の報酬も破産を申し立てする人が負担しなければならず、それも25万円以上はかかる。申立代理人弁護士の費用については、法テラス使えば総額15万くらいで月5000円の分割にできるけど。
お金がないから破産するのに、お金がなくて破産もできない、ということもある。
現実にお金がないので、破産もできず、ほったらかしにすることもある。
高齢で働いておらず、資産もないという場合には、裁判を起こされて敗訴しても差し押さえる財産がないので、コワイものはない。
そうすると、ほっとくのも経済的には合理的とも言える。
その人が亡くなった際には、相続人が死亡を知ってから3か月以内に相続放棄するというのを忘れてはならないが。これは子が放棄すると、兄弟に行ったりするから注意が必要だ。このリスクを考えれば、やはり破産しておくべきだろう。
クロ現では、東大法学部の4年生が、弁護士を目指してますが、ロースクールに行かなければならず、奨学金200万円を借りるのに躊躇があります、と言っていた。4年間の学生生活ですでに200万円くらい奨学金を借りていた。彼は、修習でさらに300万円の借金を背負わされることを知っているのだろうか。ロースクールに行っても司法試験に受かる保障はない。
ちなみに、弁護士になる場合の一例について借金額を計算してみよう。
私大4年、ロースクール3年(大学院。2年コースと3年コースがある)、修習1年(司法試験合格後に1年間研修があり、これを受けないと弁護士、裁判官、検察官になることはできない)を例とする。
大学 奨学金100万円×4年=400万円
大学院 奨学金100万円×3年=300万円
修習 貸与金300万円×1年=300万円
合計 1000万円!!!
司法試験の合格平均年齢が28歳ちょいだから、弁護士になるのは29歳くらい。1000万円のマイナスからスタートだ。司法試験に一発で受かってもこのざまだ1回落ちれば1年延び、大学受験で浪人とか、大学時代に留年とかあればどんどん延びる。それ込みの平均だけど。
ちなみに、みなさんご存知の通り、弁護士は無駄に増えてるから、弁護士になっても地方の新人だと収入500万円前後くらいの人も多い。それに行かない人もいるだろうし、就職先がなくて即独する人もいる。ちなみに即独とはどこの事務所にも入らず、いきなり自分で事務所を借りて法律事務所を開業することだ。司法試験に受かっても弁護士の業務はやったことがなく、ノウハウはないから普通はどっかの事務所に入ってOJT的な感じで学ぶわけだが、弁護士が増えすぎてどこにも入れず、いきなり開業する人もけっこういる、最近は。知り合いではほぼいないけど。それで業務ができてたらすごいと思う。できてたらだけど。
30歳くらいになると、大学時代の同級生とかは、バンカーとかだと大台を超えてたりする。羨ましい。
ロースクールに入ったときは、ロースクールを目指す後輩になんてアドバイスするかみたいな話題になったときに、ロースクールだけはやめといたほうがいいよ、と伝えることが、俺たちにできる唯一のアドバイスだとか話してた。だけど、今はそんなアドバイスしなくていいくらい、クソだってのが周知されつつあるから、そんなアドバイスも不要になった。
弁護士も修習終わった時点で、自己破産してきれいにして、借金のないきれいな弁護士になってから業務を開始するのもありだと思うんだが、どうだろうか。そんなの聞いたことないけど。
給費制復活とか訴訟起こすより、自己破産しまくったほうが、メッセージとしては強い気がする。
弁護士だから稼げるって時代でもないし、負債1000万円あれば弁護士でも破産できんじゃないかな。
まだ聞いたことないけど誰かやってくんないかな。
どんどん話題がそれてるな。
ちなみに、破産すると、その後7年間は破産できない。なぜ7年なんだろ。