暇な弁護士の暇つぶし日記

若手弁護士の日常を書いていきます。

裁判員制度の存在意義

2014-07-24 21:23:52 | 暮らしと法律
今日、最高裁で、裁判員裁判によって審理された判決を破棄差戻しする判決が出た。

事件の内容は、1歳の三女を虐待し死亡させたというもので、傷害致死罪に問われていた。

検察官は、懲役10年を求刑したのに対し、判決では懲役15年が言い渡された。

二審はこの判決を維持したが、最高裁は今日同判決を破棄差戻しする判決を下した。

まだ、判決文まで読んだわけではないが、「公平性が失われるような刑を選択すべきと判断したのなら、説得力ある根拠を具体的に示すべきだ」といった内容が判示されているということだ。

裁判員裁判は、平成21年5月21日から始まったが、それ以来、従前の裁判官裁判よりも重い判決が下されることも増えている。

そもそも、裁判員裁判はどういう目的で始まったのか。普段働いている人を丸々数日間拘束して協力させるのだから、それなりにちゃんとした理由があるはずだ。

司法制度改革審議会の意見書では、「一般の国民が、裁判の過程に参加し、裁判内容に国民の健全な社会常識がより反映されるようになることによって、国民の司法に対する理解・支持が深まり、司法はより強固な国民的基盤を得ることができるようになる」との記載がある。

もっとも、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律1条では、「司法に対する国民の理解とその信頼の向上に資する」とあるが、裁判内容に国民の社会常識を反映させるとは書いていない。

まぁ、同法律も、裁判内容に国民の社会常識を反映させる趣旨を含んでいるんだろう。

そうすると、裁判員裁判の目的には、裁判内容に国民の健全な社会常識を反映させることも含まれていると考えられる。

そうすると、裁判員制度を始めた目的が、国民の社会常識を裁判内容に反映することであるから、裁判員裁判を始めた以上は、裁判員の意見は尊重されるべきだろう。

その結果、量刑が重くなるのは、想定されていたはずだ。

しかし、いざ裁判員が合議に加わり、従来より重い判決が下されると、その判決が、控訴審で覆されることが増えてきた。

その理由は、やはり同様の事件との公平ということだろう。同じような事件を起こして、裁判員裁判だと重くて、裁判官裁判だと軽いというのでは、不公平だ。

そして、従来の判決と公平か否かは、従来行われていた裁判官裁判と比較される。

考えてみると、裁判員の意見が反映した結果、重くなった判決を、従来の裁判官が下していた判決より重いという理由で、破棄するのであれば、裁判員裁判をやる意味はないのではないか、との疑問がわく。

しかし、裁判員が参加して破棄されていない判決も多くあるし、一部の判決で量刑が重くなりすぎて公平を欠いてしまった場合は控訴審でそれを修正するというのは、そこまで悪いことだとは思わない。

とはいえ、刑事事件の影響の大きさからすれば、始まったばかりの制度だ、という言い訳は許されない。


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一日一曲 その1

2014-07-24 20:31:35 | 最近聞いている曲
ブログに書くことがないので、最近聞いている曲を1日1曲ずつ書いていこうと思う。

最近聞いていると曲いっても、最近の曲は全然知らないので、結構古い曲になると思うが。

記念すべき第1回は、SMAPの「Dear woman」。

資生堂のTSUBAKIのCMに使われていた。

最近の曲だと思って調べてみたら、2006年リリースで結構前だった。

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時効制度

2014-07-23 21:12:50 | 法律
時効制度はよくわからない。不合理な結果を生む制度であることは間違いないと思うが。

時効と一括りに言っても、その中には、短期取得時効、長期取得時効、消滅時効の3種類がある。

そして、これら3つの時効はもともとは別の制度だったものを、日本民法上は時効として一括りにしたものであるらしい。

短期取得時効は、もともとは、取引の安全を保護するための制度で、不動産の短期取得時効と動産の即時取得ということで、即時取得と対比してとらえられていた。現に旧民法では、短期取得時効の適用は不動産に限られていた。

長期取得時効は、所有権取得の立証困難の救済。

消滅時効は、弁済の立証困難の救済だろう。

これらのもともと違う経緯で成立した制度を無理やりまとめて説明しようとするのは無理なのではないだろうか。
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被害届・告訴・告発 その2

2014-07-23 17:50:11 | 法律
・被害届と告訴・告発の違い
 被害届は,犯罪被害に遭ったという事実を捜査機関に申告するものである。
 これに対して,告訴及び告発は犯罪事実の申告のみでなく,処罰を求める意思表示を含む。

・告訴・告発は口頭でできるか
 告訴及び告発は,書面ですることもできるが,口頭ですることもできる。

・告訴・告発に期間制限があるか
 告訴告発について,親告罪の場合は一定の期間制限があるが,その他の場合については条文上制限はない。しかし,犯罪が時効にかかれ ば,告訴告発のみを認めても意味がないから,できなくなると考えられる。

・告訴・告発を代理人がすることができるか
 告訴は代理によってすることができると刑訴法上規定がある。これに対して,告発についてはそのような規定がなく,解釈に委ねられて おり,一般的に代理によってすることができないと考えられているようである。文書作成の代行というかたちでやればほとんど同じなの で問題ないと思われる。
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被害届・告訴・告発 その2

2014-07-23 17:50:11 | 法律
・被害届と告訴・告発の違い
 被害届は,犯罪被害に遭ったという事実を捜査機関に申告するものである。
 これに対して,告訴及び告発は犯罪事実の申告のみでなく,処罰を求める意思表示を含む。

・告訴・告発は口頭でできるか
 告訴及び告発は,書面ですることもできるが,口頭ですることもできる。

・告訴・告発に期間制限があるか
 告訴告発について,親告罪の場合は一定の期間制限があるが,その他の場合については条文上制限はない。しかし,犯罪が時効にかかれ ば,告訴告発のみを認めても意味がないから,できなくなると考えられる。

・告訴・告発を代理人がすることができるか
 告訴は代理によってすることができると刑訴法上規定がある。これに対して,告発についてはそのような規定がなく,解釈に委ねられて おり,一般的に代理によってすることができないと考えられているようである。文書作成の代行というかたちでやればほとんど同じなの で問題ないと思われる。
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