娘へ
明日ですねぇ、四十九日…。
娘ちゃんがお家を離れて
ある意味一人暮らしを始める日でもありますね。
お兄ちゃんが教えてくれたよね?
虹の橋に持っていけるものは
飼い主さんの愛情だけだ、って。
でも娘ちゃんは5つのキラキラの球と
サンキャッチャーの”虹のひかり”も
こっそり持っていかないとね?
わすれもの、ないかな?
大丈夫かな?
お引越し、ワクワクしますか?
ちょっぴり楽しみですか?
心配なんてしてないよね、
だって虹の橋にはお兄ちゃんたちがいるんだもの。
でもボスとママが見てないからって
いいようにお兄ちゃんで遊んだりいじめたりしないこと。
いいね?
お引越しが落ち着いた4日後にはお盆です。娘ちゃんの初盆。
お兄ちゃんに「虹のした行き」のバスの乗り方を教えてもらって
2人で「ハコ」を持って帰っておいで?
久しぶりに4人で集まれることを
ボスと2人で楽しみにしているからね。
お帰りのときは娘ちゃんはかぼちゃの馬車ね?
わかってるよお姫様だもん、
シンデレラのやつよりきらっきらの馬車ね?ハイハイ。
ママね、いろいろ考えてたの。
明日22時15分くらいから
普段より高い位置にサンキャッチャーを飾って
サイリウム振って虹を出して
暗い夜空でもまるでライブ会場のようにして送ってあげよう、とか
アイドルだったあなただけは特別扱いで…とか。
リビングから虹の橋の袂まで本当にキラキラの虹でつながって
向こうにいるみんなが「なんだなんだ?!」って驚いて見上げると
満面の笑みの娘ちゃんがふわりと降り立つの。
「お出迎えありがと!
みんな私がアイドルだって知ってるのねー♪」
っていう状況を
お膳立てしてあげちゃおう、とかね。
…でもね。
娘ちゃん気付いてると思うけど
ママはまだ一度もあなたの御骨を抱いていません。
なんかどこかで認めてないっていうか
そんな気持ちがあるんでしょうね…
いい機会って言ったら変だけど
あなたを静かにギュッと抱きしめながら
またもう一度同じことを言って旅立たせてやったほうが
お互いのためなのかなぁという気持ちもあるから
多分明日は、後者を選択すると思う。
ごめんね。
最後はアイドルとしてではなく
「ママの娘」として送っちゃうと思うけど許してね。
ママ、昨日のことみたいに覚えてる。
初めて娘の写真を見たときのこと、
初めて娘を抱いたときに感じた
湧きあがってくるような「可愛い!」の気持ち、
ようやく初めて娘が笑ってくれて嬉しくて泣いた日のこと、
初めて娘が”わん!”って泣いた
ママ抱っこ、って甘えた
嬉しいね、楽しいねって
ママを見上げて笑った
コマンド教えてたときに二人とも追い詰められて
「そんなにいっぺんにいろんなこと言われても、わかんないよ!」
って娘が泣きそうな悲しい悲しい顔をして
一度だけ”わん!”って泣いたあのときのこと…
ああそうか…
あれが娘ちゃんの言ってることをはっきり理解できた
初めての瞬間だったんだろうなぁ…
全部全部、しっかり憶えてる。
この9年間、
ママと娘ちゃんお互い言ってることがわかり合えてる瞬間が
たくさんあったよね?
たくさんあったと、思っていいよね…?
ボスは娘ちゃんに遊ばれることが大好きだった。
HANDって言ってるのにSWINGしたり
抱っこ、って言ってるのにごろーんしたり
待てやで?って言われるまでは待つけど
その一言が出た瞬間にすかさずおやつ奪って食べたり…
ニコニコしながらわざと言う事を聞かない娘に
「も~~ぅ娘~~~ぇ、ちゃうやろ~~?」
って言いながら二人で毎日遊んでたね。
すぐそばで二人がキャッキャしてる姿を見ながら
”…娘は私の最高最強の恋のライバルやわ。”
って思うくらい、ママがヤキモチ焼くほどボスと仲良しだった。
娘ちゃん、
「ボスはママと違って言うこと聞かなくても大丈夫だもーん」
「ボスとはこうやって一緒に遊ぶのが楽しいんだもーん」
って思ってたでしょ。
ボスもちゃんとわかってたよ。
だいすきの気持ちはしっかり繋がってたもんね。
ママはね、
黙ってその様子を見ている時間が最高に幸せだったんだ。
ボスはきっと、もっと幸せだったはず。
だから今
お家に帰ってきても娘に遊んでもらえなくなって
楽しかった時間を思い出すごとに
ちょっぴり悲しくて泣いちゃうことも、あったと思うよ。
娘ちゃんの初七日の日、手帳を開けました。
6月28日には丸印がついていて
「カルドメック」
と書いてありました。
7月に入ってまた手帳を開くと今度は
「娘歯医者(去年10月)」
「6/13娘シャンプー」
と書いてありました。
カレンダーも一緒。
フロントラインの日にはシールが貼ってあるし
9.10月なんて
「娘冬コートチェック、売り切れる前に必ず!」
とか
「年賀状の写真撮影。晴れた日曜日に早めに!」
とか書いてある。
ママは手帳やカレンダーを買うと
すぐに1年間の大事な予定は書き写していたから
今年いっぱい延々娘ちゃんの予定を見なければならないことになりました。
結構、つらいよ。
ボスなんて7.8月に変えるときは
”ずーっと娘の予定が書き込んであるな”って苦笑いしてた。
来年の手帳やカレンダーには
娘ちゃんの予定が書き込まれることはないんだね…
さびしいね…
さびしい。
もう心配してあげられないし
気にかけてあげられない。
まだまだ
いっぱいいっぱい
やってあげたいことも
連れて行ってあげようと思ってた場所もあったのに。
もっと3人でいたかった。
ママもっと娘ちゃんのこと抱きしめたかったよ…
最後はぎゅって出来なかったから
余計にそう思うよ。
亡くなってからボスと話してたときにね、
ボスこんなことママに言ったの。
「こんなこと言ったられいがどう思うかわかんないけど…
俺最後にみんなでお参りしたとき
”娘がそっち行くときは最後は苦しまんようにしたってください”
って言うてもうた…」
ママは力なく笑いながら
「夫婦だねぇ~」
って答えた。ボスが”お前もか??”って言って
二人で笑いながら声あげて泣いたの。
院長先生には
「喀血を起こすのは稀だから大丈夫だと思うけど」
って言われてたけど、ボスもママも喀血が一番怖かった。
上手に息が吸えない上に呼吸困難を起こすという事がどういうことか、
ボスもママも口に出さなくてもわかっていたから。
でも娘ちゃんは
背骨も骨折せずに済んだし喀血も起こさずに済んだ。
「多分一番いい形(で亡くなった)だったんだと思う」
ってボスは言ったけど
ママもそう思う…
普通に生きて年をとって
時々病院のお世話になったりお薬飲んだりしながら
足腰弱くなったり耳が遠くなったり
お目目が見えにくくなったりしながら老いて
老衰で静かに虹の橋を渡る。
我が子はそうして最期を迎えるものだと
飼い主さんなら誰もがどこかで信じきってる。
ママなんて
「は?何言ってんの?それ以外ありえないじゃない」
って鼻で笑ってるところがあった。
実際は違った…
全然違った。
今でもママの脳裏には
娘がお口をぱくぱくさせながらも
必死で息を吸おうと頑張ってる娘の姿が離れない。
最後の最後であんなに苦しい思いをさせてしまったという思いは
多分、生涯、消えない。
でもね、お兄ちゃんが教えてくれたことは
余すとこなく全部使うよ?
だから息子のためにも娘のためにも
絶対ペットロスにはならない。
泣いて
泣いて、
泣いて
泣いて。
息子のときと同じように
ラップくらいの薄さと透明度のベールが毎日かかっていって
少しずつ心の中心から
生活の中心から
記憶の宝箱におさまっていくよね。
”そういうもんや”って
お兄ちゃんが教えてくれたんだから
間違いないよね。
チームの皆さんも読者さんも
最後の最後までずっとずっと見守ってくれましたよ。
小さい体で一生懸命、必死に覚えてくれたたくさんのコマンドや
子供のころの懐かしい思い出話も聞いてくださいました。
山ほどの愛情と”かわいい!”をくれたから
明日は大きな声でアイドルらしく
「みんなありがとう!」
って伝えてくださいね。
明日、晴れるといいね。
キラキラのお星さま、いっぱい見えるといいね。
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