おげんきですか? れいです。
りとが
余命宣告をされた日、先生にお盆くらいまでですか?と聞きました。
先生の見立ての二週間を超え
私たちの見立てのお盆を超え
りとは盛大にトマトを食べ散らかしながら
変わらず私たちのそばで同じ時を過ごしてくれています
想像してはいたものの娘のパワーは本当に絶大で
お盆に入る1~2日ほど前からでしょうか、
りとはその細くなった体に見合わないほど元気になりました。
もう越えることができなくなったゲージの出入り口をひょいと飛び越えたり
「ボスおかえり~」と玄関先まで歩いて行けたり。
どちらからともなく「ちょっと元気すぎて怖いね」と話すほど。
ろうそくの前は一番よく燃えるって言うよなあ…と
縁起でもないことをぼんやり考えてしまいました。
いつ食べさせるか迷っていたチョイスは
お盆初日に初めて口にさせました。
「わあ~おいしい!」という声が聞こえてきそうな表情で食べ
目を丸くしながらもっともっと!とねだりました。
「りと、おいしいでしょ私のお菓子。」
という得意げな娘の表情も脳裏に浮かびました。
りとはこのお盆中、
お兄ちゃんと一緒に秋月を食べ
お姉ちゃんと一緒にチョイスを食べ
ボスの食べ物を横から元気よく強奪し
ボスとお話し中に私の足を元気よく踏んづけ
普段のそれよりずっと回数多く、
何度も何度も兄姉の写真をじっと静かに見つめながら送り火を迎え
2人が帰るのをそっと見届けました。
-うん、帰っちゃったからしまっておくね。
りとちゃん?
お姉ちゃんのペガサス覚えていてね。
これに乗って、帰ってくるの。
きゅうりとかおナスとかかぼちゃの馬車とかじゃなくてね、
お姉ちゃんはペガサスに乗って帰ってきて、また向こうに帰るの。
乗り方はお姉ちゃんが知ってるからね、
あのね、
いろいろ大丈夫。
ただちょっとだけこの綺麗な乗り物のこと覚えていてね?-
そんなことを言い聞かせながらしまいました。
何となくぼんやりと、何かを理解したような様子でした。
実は今日、午前中いっぱい体調不良が続き
そして元気ではあるものの明らかに食欲低下がみられます。
3.45kgまで増やすことのできた体重は現在2.95kg。
その内400gほどは腹水、もう少しあるかも…とのことでした。
こんなに痩せ細ったのに元気な頃の体重と大差なくなりました。
病気発症前よりフードの量は増やし、朝昼晩と食事の回数も増やし
欲しいものはトマトも梨も何でも食べさせているにもかかわらず
短期間でここまで減りました。
私たちはこれが何を意味するのかを理解している。
けれど
「戦わず、でもあきらめず。」
昨日3人で病院に行き、いつももらう1週間分の薬を2週間分もらいました。
今月末までです。
この薬は
8月末まで一緒にいられたらという、
病気に対する
私たちの
静かでささやかな
希望という名の挑戦状です。