少し前になりますが、宝塚をずっとけん引し続けてきた専科の轟悠さんが、静かに退団されていきました。
退団のニュースは、まさに
「青天の霹靂」
以外の何ものでもなく、今でも信じられない気持ちでいっぱいでした。
組子の時から穏やかでちょっと不器用そうで、他のスターと比べても一歩引いた印象。でも一言一言に芯の強さを感じる、「孤高のスター」という印象でした。
退団の特集で、専科に行ったばかりの頃の20年前のインタビューを初めて見ました。
穏やかさは変わりませんが、専科での今後の立ち位置、残ったことの意味、まだまだ模索中で、どこかピリピリした緊張感があり、決意に満ちた印象を受けました。
舞台上では、決して素を見せない。上演後のカーテンコールでも常に「轟悠」を意識している。それまで見てきた舞台の余韻、「夢の世界」を壊さない、本当にプロ意識の塊の人でした。
今更ながら、強い意志と緊張感を持って長年過ごしてこられたのだな、と頭が下がる思いです。
退団インタビューでは、重圧から解放されて、表情もとてもスッキリした印象を受けました。
存在自体が「THE宝塚」という稀有な人だった。ご本人も、それを目指した年月だったかと思われます。
一宝塚ファンとしては本当に残念でなりません。
一部には「衰えた人は退団が当たり前」みたいな声もあるようですが、彼女のどこが衰えてる
多少声が出なくても、もっともっと増すであろう重厚感のある芝居や舞う姿、立ち居振る舞いをずっと見ていたかった。
彼女の後姿を見て育ってきた後輩たちも、きっと同じ気持ちの人が多いと思います。
ラストも、サヨナラショーでもなく、はかま姿の挨拶もなく、ディナーショーという、一つの「仕事」をこなして、誰にも見送られることもなく静かに去っていった、こだわり、潔さ。
特定のファンに媚びることなく、派手なパレードもなく、「宝塚の一出演者」としての卒業。
カッコ良すぎる。
今後の動向はわかりませんが、第二の人生が幸せでありますように、心から願っています。
珠城りょうさんも退団し、いろんな意味でなんだかポッカリ穴が開いちゃった気分。
どんどん新しいスターが登場するは嬉しく、それも宝塚の楽しみの一つですが、個人的にはちょっと休憩モードかな?
ここからは愚痴になりますが・・・
以前も書きましたが、古い人間は必ず後進に道を譲り、表舞台から去らなければならないのでしょうかねぇ。
意味合いは少し違うかもしれませんが、とっぷより上級生の2番手スターが相次いで退団。これからますます渋さを増すであろう時期だっただけに残念。中堅以上は劇団に残りづらい事情、「肩たたき」が増えてるのかと、勘ぐってしまう思いです。
限度や節度はありますが、多少いろんなことが衰えても、生き方や立ち居振る舞いから学ぶべきもの、得られるものがたくさんあると思うのですが・・・
世の中「45歳定年節」が出てきてるようですが、そうなると、私も隠遁生活を送らないといけませんね
先日誕生日を迎えましたが、最近特に「歳を重ねても、この先何もいいことはないのか」と思うことの繰り返しです
若いか、賢くて要領のいい人が生き残っていく、そんな時代なんですかね。
愚痴っぽくなるって、歳をとった証拠ですが
また最近、長寿番組が次々と終っています。
「ぴったんこカンカン」の終了は、仕方ないこととはいえ、慣れ親しんだ番組の終了は「いいとも」同様寂しい限りです。
46年続いた「アタック25」も、「おしゃれイズム」も終わってしまったし。
視聴率とか関係なく、ユルユルと楽しめる番組がどんどん終わり、リアリティとか瞬発的なスピードばかりが求められる時代なんですね。ダメならすぐ切り捨てる「使い捨て」みたいなことがますます進んでいくのかな?
こういう混とんとした時代だからこそ、じっくりと話を聞くトーク番組とか、のんびりした「ぴったんこ」みたいな番組が必要だと思うのですが・・・
また余談になりましたがとにかく「一時代」が終わりました。
ますます、自分にとっての「良い時代」がどんどん過ぎ去っていくようで、何ともいえない気持ちの、寂しい秋です。