やっぱ、変だよね。子どもの頃はこんなの見なかった。
午前中、出先までの電車で驚いた。隣りに座ってきたのは、若い女性2人。チラ見しただけだが、けっこうかわいい部類の20代前半だろう。座先区切りの柱をはさんでいたので、オレはオレなりの考え事をしていたが、彼女らの声は大きいので、聞きたくなくても聞こえるほど。
話は、ほかの友だちのことらしく、「こないだのバイトの打ち上げのあと、由美ちゃん(仮名)が、あのオトコの家に行ったんだって」「え! 誘われてるのはあの場で聞いてたけど、嫌がってなかった?」「それが行ったらしいんだよ。どういう流れか知らないけど」。通勤帯は過ぎていたが、座席は埋まり、吊り手につかまって立っている人も多かったが、彼女らの話は止まらなかった。
「で、ヤッちゃったんだって」。隣に座るオレだけでなく、周辺にいる人に聞こえるくらいの声の大きさ。まったく、そんなことは意識にないらしい。「で?」「それきりだってさ。バイトも終わっちゃったし」。お互いにケーケンを重ねただけだったようだ。「わかるよね。そういう歳ごろだもん。ヤリたくなっちゃうよね・・・」。そうか、“ヤリたくなっちゃう”のか・・・。若いころもっと玉を打つべきだったな。それとも令和の流行りか?
つけ爪をチラッと見て、オレは次の駅で降りた。どういう話の展開があったか分からない。しかし、“そういう歳ごろ”でも、公衆の面前で大きな声で話すことかね。
「暴れん坊将軍」に欠かせない3人娘の話はしたが、その一人・お葉(伊藤つかさ)は幕府が設置した貧乏人を無料で診療する小石川療養所にも医師見習いとして勤めている。
そこにいる長崎で勉強してきた若い医師・辻弥一郎(沖田浩之)と恋仲になっていた。ところが、弥一郎は実は下野の矢之倉藩の嫡子で跡継ぎにもかかわらず、ワケあって養子に出されていた人物だった。五万石というから、きのうの糸魚川藩の一万石と比べれば、それなり大きいのだろう。加賀藩は六十万石だったが。
その藩で、藩政を我が物にしたい家老が藩主を銃殺し、藩主の弟を傀儡藩主にしようと画策していた。邪魔であるのが正当な後継である弥一郎。彼を殺そうとするが、弥一郎は何とか逃れる。弥一郎の悩みは、無料の療養所を増やしたいというという医師としての願いと藩主の跡目という自分の運命の選択だった。吉宗は、医療は大切だが、藩政は数万人の命を預かる重要な職務だと矢之倉に帰ることを諭す。
弥一郎は「お葉さんを連れてなら帰る」と返答した。弥一郎がお葉にそれを告げると、大名の奥方にはなれない町民であることをわきまえて、涙する。
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ワルモノ成敗のあと、弥一郎は下野に帰り藩政を切り盛りして、”医師大名”として庶民の人気を集めたという。
伊藤つかさは「金八先生」の初代アイドルだよね。オレの部屋にも大きなポスターが張ってあった。沖田浩之も金八つぁん出。声が若すぎたが、演技はしっかりしていた。
お葉さん、これからも頑張ってね。