「レッドタートル ある島の物語」 絵本 –
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット(原作)
池澤夏樹(著) セル画(スタジオジブリ)
去年の夏休み、映画館では新海さんの君の名は?🌠が超満員の陰でひっそりと始まりいつの間にか終わっていたジブリ史上初の客の入りの少なさを記録した作品。
こちらはその映画のパンフレットではありません
池澤夏樹さんが映画のセル画に文章を付けた絵本です。
映画がセリフ無しの無声映画の体をなしていて
音楽や動き、効果音などで作品として成立させて
いるものですから、絵があるとはいえ文章をつけて
物語として完結させるのはかなり難しかったのでは
ないでしょうか?
ということで小説家の池澤さんは、語り手の主体を
男が流れ着いた無人島の擬人格として構築しています。
無人島として流れ着いた人間をいとおしみ、守り、
島から出すことを良しとしない人格としての島。
不思議な雰囲気の、セリフのない物語の唯一の語り手は
本来語るはずのない島。
お陰で絵本でありながら大人の思索本のような
長いお盆休みに妙にしっくりとはまる一冊になりました。