怪談の学校 京極夏彦、木原広勝、中山市朗、東雅夫
317頁を読む ★★★★ 151冊目
学校の怪談じゃあありません。
怪談の学校です。トイレにハナコさんも出て来ないし
理科室の人体模型君も踊りません。
だからといって怖くないかといえば、そうでもありませんが。。。
何故こんなタイトルかと申しますと、こちらはダヴィンチ、幽、の
人気コーナー。怪談を読者から投稿してもらいそれを選考員が
評したり解説したりするというものの連載をまとめたものです。
怪談というものはこれを読むと、素材も大事ですが、語りの技術や文章の推敲が結構大事なポイントであることがよくわかります。
例えば首吊りが目に飛び込んできた、という場合にはその何が怖い
のか?を語らずに、怖い首吊りという特異なシチュエーションを
取り出したことで満足してしまう作者が多いのではないでしょうか?
本当に怖いポイントは例えば伸びきったアンバランスな首、だったり。目が見開いているのか瞑っているのか?古いのが怖いのか新しいから怖いのか?など怖さのポイントがこの話のどこにあるのか?を
理解して表現することが必須だというのです。
この本の面白いのはそれぞれの投稿怪談もさることながら、それを
シビアに評価、採点しそれぞれの評者がコメント面白く加える
ところにあります。
なかでも面白かったのは木原さんの回で投稿オリジナルの怪談と
木原さんの手による、僕ならこう書くというアナザーバージョンの
怪談を併設する回の分です。
プロのものとアマチュア投稿者によるもの、そのシビアな
実力の違いと、技の完成度の差がしっかりと把握できて
楽しくもあり、怪談や物語の生成の瞬間というものはこのようで
あるのだな。と感じることができました。