■【正倉院展ニテ 御物・瑠璃坏ノ語レル】 を読んで 長歌を詠ず
はるばると 時空を超えて たどりつく 地の果ての島。
見上げれば はるかに続く 蒼い空。心がうずく。
浮かんでは 消え去る笑顔。もう二度と 会う事はない。
望郷の 思い虚しく、胸の中 流れる涙、
飲み込んで 思いはつのる。時既に 千数百年。
今ここが、我が故郷(ふるさと)と 思い定める。
反歌
気高くも心哀しきモノローグ
故郷をつなぐ 天(あま)翔ける道
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これも、知人が書いた、正倉院の宝物、瑠璃杯を貴婦人に
見立てて、時間的、空間的に離れてしまった故郷ペルシャの
人々、国、青い空への郷愁と、今いる日本の地を新たな故郷
としてこれからを生きるという決意を述べるモノローグ詩を
読んで、作ったものです。
元の詩をアリアとするなら、こちらはバックに静かに流れる本人
の心情を歌ったコーラスの様なものです。この長歌は万葉の形式
ではなく、五七五七調のクプレ(二行連詩)で現代口語を使って
書き、句読点をつけています。
元の詩では、故郷は遠く離れてしまったと綴られているので
こちらでは青い空でつながっているのだよ、という返事で
結んでいます。「天翔ける道」は元の詩が「シルクロード」を
はるばるやってきた、と述べていることへの返事にもなっています。