絵じゃないかおじさん

言いたい放題、自由きまま、気楽など・・・
ピカ輪世代です。
(傘;傘;)←かさかさ、しわしわ、よれよれまーくです。

あ@仮想はてな物語(逸話) 屋久島、吹田より、またもメール、2通  (1/3)

2019-02-04 13:08:38 | 仮想はてな物語 



逸話(いつわ、英: anecdote)とは、
Wikipediaによりますと、
世間や世人にあまり知られていない興味深い話、
世人の目から逸した(逃れた)話のこと。
のようですが・・・・


これらのお話は、
世間や世人にあまり知られていないと思われますが、
興味深いかどうかは分かりませんお話です。
(傘;傘;) カサ、カサ、よれよれ
(40+40=80)マークです。


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 * 屋久島、吹田より、またもメール、2通(046)


 ある夜、私のワープロにパソ通のメールが2通届いていた。
 もちろん相手はあの2人縄文ジィさんと太陽の塔である。
 やれやれ、今度は何を言ってきているのだろう。

(縄文ジィさんのメール)
 カラオケは楽しい。
 是非その成果をアンタに聞いてもらいたい。
 風の強い夜、大神神社の巳の神杉の所へ行って欲しい。
 杉族同士は日本国内はおろか、世界中の杉族と密接に
花粉を通して繋がっている。
 ワシみたいに長年生きていると世界中の杉林に
子孫を送っているし、
 神杉の子孫もワシの枝に住みついている。
 北山杉の子孫もいる。

 その枝を通して通信が可能だ。
 神杉のワシの子孫は、幹に近い南の日当たりのよい所を、
 陣取っている。
 そこへサヤカ殿のマフラーを当てれば聞こえるだろう。
 この年になって人に意見を聞くのは気恥ずかしいのだが、もし、
 それ相応のレベルならCDに吹き込んで記念に残したいと
 思っている。

 そうそう、Oさんの花粉症の具合はどうですか?
 もうしばらくの辛抱です。
 このジィさんに免じて許してやって欲しい。
 無理な頼みとは分かっているが、ご協力願う。

                ジョジィより



つづく

あ@仮想はてな物語 屋久島、吹田より、またもメール、2通  (2/3)



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(太陽の塔のメール)
 コンピュータ・ゲームは面白い。
 1つのゲームは96面全面クリアーしたし、
もう一つのゲームもハイスコアに達した。
 是非、サヤカさんに見てもらいたいので、天気の
 良い日にお二人でお出下さい。
 新しいソフトがあれば、ついでにお持ち下さい。
 今のソフトはお返しします。

               タイタイより

 あーあ、羨ましい。
 ヤツら何と贅沢なのんびりとした生活を送っているのだろう。

 いい年こいて、何じゃ、それ!!

 深刻な悩みちゅうモンがないんかいな? 

 私は、これでも結構忙しい生活送っているんだぞ。
 ニックネームまで作りやがって。

 何がジョジィだ!
 何がタイタイだ!

 しかし、パソ通に巻き込んだのは、この私。
 付き合いもある。
 面倒だが仕方あるまい。
 二人の要求を聞いてやることにしよう。

 ジョジィの為に、毎朝テレビの天気予報を見た。
 まあ、雨が降れば大体が風が強い。
 向こうが雨で、こちらが晴れ、残業が無い日か休みの夜。
 簡単なようでも、中々条件に合う日は来なかったが、
 気をつけていればそんな夜もあった。
 ジョジィの言う通りにして、付き合ってやった。

 なかなか旨いもんだ。
 貫禄がある。
 渋い太い声だ。
 哀調も帯びている。
 もしかして、歌手になっても姿を見せなければ
 通用するのではないか?

 ふうん。
 大したもんだ。
 伊達には年取ってない。
 そんじょそこらの顔・スタイル歌手とは違っている。
 それにしても、次から次へとよく歌うヤツだ。

 暇なジョジィめ!
 コロのヤツも、さぞ閉口していることだろう。
 夜も遅いので1時間ぐらいで帰ってきた。

 Oさん、一発。

 「何時だと思っているの!
 ご近所の手前もあるでしょ!」

 誰だ!
 あの可愛くて優しかったOさんを、
 こんな中年オンナに引っ張りこんだのは!!


 ジョジィにメールを送る。
 誉めすぎてCD出版などと言われたら、また金が要るし、
 かといって、旨いものを誉めてやらない訳にはゆかないし
 難しい。
 何でこんな些細な悩みを取り込まなければならないのか?
 損な性分!



 《 われ好む木のいきおいは地にそらに縄文杉の
   何千年(とわ)に生きるしつっこさ   地宇 》


つづく



あ@仮想はてな物語 屋久島、吹田より、またもメール、2通  (3/3)



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 太陽の塔にも行ってやる。
 晴れてないとダメだし、新作ソフトの手渡しは夜にならないと
 出来ない。
 面倒なヤツだ。
 サヤカもヤツがゲームをする姿など見ても、
 何も面白くはないだろうし、
 ストレスが溜まる一方だろう。
 中国自動車道の吹田入口のヤツの正面で15分ぐらい
 駐車した。
 彼らにはそれで十分通信が出来るのだ。
 暗くなるまでドライブする。

 宝塚インターで降り、甲山周辺を走った。
 私の青春が詰まっている、なつかしい所だ。
 夜になったのでソフトを渡す。
 前のソフトを持ち帰っても、子供も同じものを持っているし、
 中古屋に売りにゆくのも面倒なので置いておく。

 ヤツを早く歩けるようにしてやりたい。
 そうすれば、私もヤツに振り回されることも無くなるだろうし、
 一石二鳥となる。
 いつ見ても憎めないヤツだ。
 嬉しがる姿を見ているとこちらまでほのぼのとしてくる。
 ありがたいヤツだ。

 サヤカ、ゴメンな!
 嫌な事に付き合わせて。


 パソ通の 便利・非便利 使い分け 
  文明列車に 居眠り乗車
                   ち ふ


                  
   この項おわり



あ@仮想はてな物語(逸話)蒲生野紫野にあかねさす (1/3)

2019-02-04 13:06:56 | 仮想はてな物語 

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あ@仮想はてな物語(逸話) 蒲生野紫野にあかねさす (1/3)



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 * 蒲生野紫野にあかねさす(045)


 あかねさす 紫野行き 標野(しめの)行き
  野守(のもり)は見ずや 君が袖振る

                  額田王 (万葉集・巻1・20)



 私は、この歌が好きだ。
 紫草は初夏に咲くという。
 この歌は琵琶湖の近くの蒲生野で詠まれたものらしい。
 蒲生野の野と言っても、今では特定できない。
 とにかく、安土町のあたりに行ってみることにする。


 24号から京滋バイパスを通って8号に入る。
 24号の木津のあたりの渋滞には毎度泣かされている。
 バイクでも巻き込まれるのだ。
 バイパスもあるにはあるのだが、
 いつも見過ごして通りすぎてしまっている。


 蒲生郡に入った。
 何処でもいい。
 走っていれば野もあるだろう。
 水田が多かった。

つづく

あ@仮想はてな物語 蒲生野紫野にあかねさす (2/3)



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 初々しい早苗を渡る風が心地よい。
 昔は一番草と呼ばれた草取りの季節だろうか? 


 「はじめは浅く、なか深く、終りはそっとなでておけ」でいう、
 はじめの草取りにあたる頃である。
 田植え後、2週間ぐらいをメドに、
 女の人が這いつくばって手で草を取っていた。

 今は化学肥料の普及で誰もあんなきつい仕事はしなくなった。
 田植えも草取りも、見る分には何とも風情があって
 いいものだが、自分がするとなると誰もが嫌がる。
 嫌がる仕事を化学肥料と機械に押しつけるのだから、
 いつか彼らのしっぺ返しを食らったとしても自業自得だ。
 今の所、彼らの反乱を小さくする以外には手はないのだろう。


 休耕田の脇にサヤカを止め畦道に腰を下ろし麦茶を飲む。
 メットを脱いだ頭を風が撫であげてくれる。



 額田王の歌が思い出される。私は、勝手に解釈を施す。


 「朝日輝く、紫草咲き乱れる通行禁止の道を、
  あなたは、白いバイクで帰ってゆく。
  取得禁止通学禁止の掟を破り私の為に、
  毎朝毎朝会いにやって来てくれる。

  私は高校生。
  あなたも。
  しかし、二人の通う高校は違っている。
  一秒でも一緒にいたい。
  話したい。

  そんな私の気持を察してか、
  あなたは、時間ぎりぎりまで出かけない。
  でも時間が迫ってくる。



つづく



仮想はてな あ@仮想はてな物語 蒲生野紫野にあかねさす (3/3)
 


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  あなたは、紫草の咲き揃う通行禁止の公園の近道を通って、
  高校へと走り去ってゆく。
  少し茶目っ気のあるあなたは、
  ハンカチにLOVEと書いて腕に巻いて、
  大きく振りかざしながら、遠ざかってゆく。

  公園の管理人や交通警官に見つかりはしないでしょうか?

  ああ、あんなに手をふって。
  大丈夫かしら?
  気をつけてね」

 主人公は、もちろん、かっての私とOさん。
 これは、あくまでも私の想像である。

 この歌は、中年のオバはんが詠んだものとは思いたくはない。
 私が言う中年とは、二人の男に心を許すような、
 垢汚れた人間をさすのだ。


 それも一つの生き方だとは思う。
 思いはするが、淋しい。


 朝日さす ラベンダーの野を 走りゆく
  北海原野 君初々しき
                    ち ふ


                     

  この項おわり 

..


あ@仮想はてな物語(逸話) 屋久島にCDカラオケ (1/3)

2019-02-04 13:05:32 | 仮想はてな物語 

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 * 屋久島にCDカラオケ(043)


 縄文杉のジィさんから、パソ通でカラオケの
催促メールが入った。
 おまけに金の工面の仕方まで教えてくれている。

 私が、ファミコンで株式売買をしていることまで知っていた。
 ホントに油断もスキもあったもんじゃない。
 でも、私が、ファミコンで株式売買をしていることなんか、
 Oさんと証券会社の人しか知らない筈だが・・・
 何処で情報が漏れたのだろう?

 私のパソコンネットとファミコンネットとは、何の関連性もないし、
 ジィさんの超能力は、私の家の中までは及ばないように
思うのだ 
 が、・・・



つづく

あ@仮想はてな物語 屋久島にCDカラオケ (2/3)



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 ハハァ、もしかして、コロの奴が教えたのだろうか?
 それとも、私のワープロ日記を、ジィさん、
 盗み見したのだろうか?

 私は、ジィさんの指摘通りファミコンで株式売買をしている。
 成績はガタガタ! とはいうものの資金など
 あるわけがないので、
 損得の額も大したものではない。
 新しいものが出るとすぐ飛びつく悪癖を持っているので、
 そのサービスが始まるのと、 ほぼ同時に加入した。
 初期費用を別にすれば、月1,000円+電話代+アルファで、
 計1,500円もは掛からない。
 自己資金などない。
 すべて借り入れである。

 ジィさんは、薬品銘柄を今すぐ買えという。
 ご丁寧に、4XXXとコードナンバーまで指定してくれている。
 成り行きで買い、1,000円を越えた時点で、
 指し値で売れとのご指導。
 細かい。
 資金は、いま年利率13%の銀行の個人ローンを使えという。

 大丈夫かいな!
 もし、値下がりしたらダブルパンチを食らうではないか!

 株は下がるは金利は要るはで、わが家の赤字家計が
 また膨らむ。
 けど、ジィさんの言うことに乗ってやれ!
 と飛び乗った。
 買ってから数週間も経たないうちに、上がるわ上がるわ、
 面白いほど上がった。
 7XX円で買った株が、1,000円を少し越えた時点で、
 ジィさんの指示通りに
 売り払った。
 売買手数料、取引税、消費税、借入金利などを差し引いても、
 CDカラオケを買うには十分である。
 おまけに、太陽の塔の欲しがっている、
 スーパー・ファミコンまで、買ってやれるではないか。




つづく

あ@仮想はてな物語 屋久島にCDカラオケ (3/3)



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 感謝、ジィさん。
 ジイさんの言うことに間違いはなかったので、
 すっかり信用してしまった。

 その数日後、コンポ型のCDカラオケを買い、
 スーパー・ファミコンの予約をしておいた。
 カラオケ用のCDは、ジィさんが好きそうなナツメロを
 5枚買った。
 残念ながら、ご指定の「別れの一本杉」は、2~3店回って
 見たが見当らなかった。

 ジィさんの分は、パソ通友達の鹿児島のNさん宅宛てに、
 宅配便で送っておいた。
 屋久島まで、こちらより近いとはいうものの、
 本当にご苦労なことである。
 休みには色々と予定もあるだろうに、
 とんだ友人を持ったものだと、
 Nさんもさぞかし嘆いていることだろう。

 一月ほどして、スーパー・ファミコンも入荷した。
 入ったら電話しますと言ってくれたが断っておいた。
 Oさんに知れると、また追求が始まるからである。
 こちらの方は人気ソフトを2本つけておいた。
 ある土曜日の夜、持っていてやった。
 ヤツときたら、憧れのサヤカには会え、
 その上念願のコンピューター・ゲームが
 出来るものだから、ダラリと汚い涎を出して泣いて
 喜びやがった。

 図体は大きいが単純で素直で憎めない奴だ。
 ヤツも、私に遠慮してか、前ほどサヤカにしつっこくは
 言い寄らないみたいだ。
 半分は諦めているのだろうか。
 そんなわけで、サヤカも前ほどは毛嫌いは
 しなくなったみたいだ。

 良かった、良かった。


 さわやかに 風よ吹け吹け この国に
 諍(いさか)い争い 吹き飛ばすまで
                        ち ふ


                            
  この項おわり


 ジィさんに、株で億万長者にしてくれと言ったら、
 きついお叱りを受けた。
 いい年してアホなこと言うな、アンタには今の生活が
 合っているのだ、
 不必要な余分な金など持つとロクなことはない、とのことでした。
 なお、あの株は、私が売って4~5日後に下がり始め、
 今では800円前後で静止している。 





あ@仮想はてな物語(逸話) 吉野下市ピンクの彼岸花 (1/3)

2019-02-04 13:04:31 | 仮想はてな物語 


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 * 吉野下市ピンクの彼岸花(042)


 吉野の下市町のYにピンクの彼岸花が咲いているという
 新聞記事を読んだ。
 あの毒々しい赤色と、髪を振り乱したような姿には、
 どうも馴染めぬ。
 イメージも悪い。
 その花がピンク色だという。
 私は、珍しいもの見たがり屋の一員でもある。
 野次馬根性が旺盛なのだろう。

 165号、168号を通って下市町にゆく。
 Yに着いたが、2~3人の人に聞いても、誰も知らないという。
 道端に咲く花の場所など、
 よっぽど花好きでないと知らないのだろう。
 薬局があったので入った。
 ちょうど目薬を切らしていたので、
 「OA用の目薬を下さい」と言った。
 「そんなものは、置いていても売れないので無い」という。
 残念なようで、ホッとしたような気分。
 まだ、ここまでは、OA化の波は押し寄せては
来ていないようだ。
 ついでに、記事のことを聞いてみたが知らないと言う。
 この村に、そういう事に詳しい人がいるので、
 聞いてあげると電話を掛けてくれた。





つづく

あ@仮想はてな物語 吉野下市ピンクの彼岸花 (2/3)



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 その場所は、私が、つい先程素通りした所だった。
 数100m手前の道路脇である。
 赤い彼岸花の群れの中に小さくなって、
 所々に固まって咲いている。

 本当に淡いピンク色であった。
 誰かが既に数本折って持ち去っていた。
 観賞用に飾る国もあるらしい。
 所変われば、である。
 最近では、種子も特許の対象になっているので、
 私もスケベ心を出してその球根を一つ頂こうと思った。
 しかし、道具は何も持っていなかった。
 素手で茎の根元を掘ろうとした時、滑って転んだ。
 一瞬、電流のようなものが走った。

 さわらぬ神に祟り無し。
 もう、掘ることは止めて写真だけ撮って帰ることにした。
 サヤカに跨がり来た道を一目散、帰るのみである。
 見た満足感が、ほんのりと拡がる。
 快適な気分である。

 おかしい!
 サヤカが、だんだんと山奥に入って行くではないか。
 来た道には少なくとも人家が視界内にあったはずなのに、
 それが全然見当らなくなってきてくる。

 道路が舗装されているのが、せめてもの気休めとなる。
 そのうち、小雨もパラついて来た。
 すぐに引き返せばよいものを、道があれば行ってヤレという、
 アホな性分が擡げてくる。

 気が付いたときには、何処をどう走っているのか、
 検討がつかなかった。
 もちろん、地図など持ってない。
 だんだんと日も暮れてくる。
 人にも車にも会わない。
 周囲1km以内に人は居ない筈なのに、
 サヤカに話しかけても応えがない。



つづく

あ@仮想はてな物語 吉野下市ピンクの彼岸花 (3/3)


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 しまった!
 もう少し前に引き返すべきだったと悔やんだが後の祭り。
 4~5時間も、雨の山中をウロついていたのだろうか?

 [ああ、凄い魔力!]
 突然、サヤカが話し掛けてくれた。
 彼女も、ピンクの彼岸花の魔力に翻弄されていたと言う。

 [私は切れたが、人間の貴方には数日残るだろうから、
  気をつけなさい。
  帰りは、私がOさんの許へ連れ戻してあげましょう]
 と言ってくれた。

 サヤカのお蔭で何とか無事に家に辿りついた。
 それから、2~3日は、会社でも家でもチョンボばかり。
 上司からは白い眼で見られるし、Oさんからは、
お目玉食らうし、
 40越えても惑うことのオンパレード。

 あーあ!


 彼岸花 ピンクの姿も ご一興 
  そぼ降る小雨を ひっそりキャッチ
                        ち ふ


                      
  この項おわり



あ@仮想はてな物語(逸話) 五ヶ所湾太平洋は、きらめきて (1/3)

2019-02-04 13:03:36 | 仮想はてな物語 


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 * 五ヶ所湾太平洋は、きらめきて(041)


 165号、23号を通って伊勢道路に入る予定であった。
 季節は初夏。
 夏休みに志摩の民宿に一泊する家族の為に、
 下見に行くことにしたのだ。

 内宮のあたりで道を間違えて、
 とんだ峠越えの山路に入りこんでしまった。

 途中サイクリング中の二人の中学生に出会ったので、
 道を聞くと、このまま進めば五ヶ所湾に出られるという。


 舗装もしていない道が続く。
 木々がうっそうと茂っていてうす暗い。
 道幅も狭い。
 軽自動車同士でも、すれ違いは難しそうだった。



つづく

あ@仮想はてな物語 五ヶ所湾太平洋は、きらめきて (2/3)


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 五十鈴川沿いに走っている。
 ひんやりとして寒い。
 20kmぐらいのスピードで、ゆっくりゆっくりと進んでいく。
 対向車にも会わない。

 中学生の言葉を聞いていなかったら、
 即、引き返したいような道だ。
 蝮や蛭が、今にも飛び付いて来そうな感じがして、
 そんなことを想像するだけでも、
 背筋がぞくぞくとしてくる。
 何としても抜け切らなければならない。

 [行くぞ、サヤカ]
 サヤカは答えない。
 こんな山のなかにでも1km以内に人が居るのだろう。
 誰かが山仕事でもしているのだろうか?
 わずか20kmあまりの道程なのに1時間以上かかった。
 目の前に五ヶ所湾が見えた時には、ホッとした。
 ドライブ・インでカツカレーを食べ時間を見たが
1時過ぎであった。

 民宿を見て帰っても、十分時間が余りそうだったので、
 国道260号を離れて、海岸沿いの小道に入った。

 太平洋は穏やかだった。
 海面がキラキラキラッと光り輝いている。
 私は、サヤカのエンジンを切り、海岸を歩いてみようと思った。

 その時である。
 [キー切らないで!]



つづく

あ@仮想はてな物語 五ヶ所湾太平洋は、きらめきて (3/3)



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 サヤカが、突然叫んだ。
 [私、泳いでくる]
 ぱっと女性になった。

 ワッ、裸だ!
 見てはならない。
 そう思ったが遅かった。
 サヤカは、15~6才の感じがした。
 乳房がこんもりとしか盛り上がっていない。
 すぐに目を逸らす。

 私は、目が潰れるのではないかと思った。
 Oさん以外の女性のそういう姿を見るのは悪いことだと、
 思っている。

 何故、悪いのか?
 それは、私自身よくは分からない。
 しかし、Oさん以外の女性に女性を感じるのは
悪いことだと思う。
 そういう心の動きはコントロールすべきものだと
思い込んでいる。
 それがOさんに対する私のせめてもの礼儀だと
思っているのだ。



 でも仕方なく、サヤカの裸を見てしまった。
 見てしまったものは、どう仕様もない。
 サヤカも悪いのだ。
 私がオッさんでも、男であるのを忘れてしまって、
 あんな事するものだから。


 サヤカは、私がOさんを初めて知った年頃の女の子だった。
 私は、その頃のOさんの裸の姿を知らない。
 きっとあんなものだったのだなと思って、
 鼻の下を長くして想像する。


 イヤらしいオッさん、そのもの!
 許せ、Oさん。


 サヤカは、キラメク太平洋の海面を、
 スイスイと飛び跳ねるように泳ぎ回っている。
 あんなことも出来るのか、と感心して見ていた。
 顔と足先が見えるだけである。

 遠くで車の音が聞こえたように思ったので左の方へと
振り向いた。
 顔を元に戻すとサヤカがいない。
 アレッと思って、右後を見ると、
 黒いバイクのサヤカが海水を滴らせながら、
 キラーッとヘッドライトを光らせていた。

 さあ、水洗いをしてやらなくては、とゆっくり腰をあげた。



 きらきらと 零れんばかりの 宝物
  太平洋の ハイ・プレゼント
                       ち ふ


                      
  この項おわり