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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
それに、内供はこの鼻によって自尊心が
傷つけられるために苦しんだ。
世間では、あの鼻だから出家したのだろうと
批評する者さえあったからである。
内供は、自分のような鼻を持つ人間を
注意して探したが見当らなかった。
書物の中に鼻の長かった人物を求めたが、
それも無駄であった。
ところがある年の秋、京へ上った弟子の僧が、
知人の医者から
鼻を短くする法を教わってきた。
内供は弟子の勧告に従ってその療治を施した。
療法というのは、湯で鼻を茹でて、
それを人に踏ませるという簡単なものであった。
茹でられた内供の鼻を踏んでいるうちに
粟粒のように吹き出てきた脂を、
弟子の僧はケヌキで抜き取った。
つづく