シリーズ平成の本音―築地市場跡地は適正に売却すべし
10月11日、築地市場は正式に豊洲市場に移転し、同月17日に築地市場は閉鎖され解体工事が開始された。
豊洲市場については、東京湾に放流している汚染水への対応など、なおいろいろな課題が出てくると予想されるが、総費用が6,000億円を越える大規模事業である上に、汚染土壌の問題や築地よりは離れており不便感があることから、空きスペースの活用などによる収益性の向上が課題となろう。
小池都知事は、食のワンダーランドとするなど、築地市場跡を都が保有しその収益で相当の赤字が予想される豊洲市場の赤字を補てんするなどの提案をしているが、次の理由で、築地市場跡地は、当初の計画通り、一定の条件の下で売却すべきである。
1) 債務の利子支払いが巨額で早期の返済が不可欠
東京都の企業債(借金)の利息負担が370億円内外の高額に達しており、早期の返済が不可欠となっている。豊洲建設に当たっては、当初から築地市場跡地の売却が前提となっていたところであり、債務の額を考慮すると、それを変更する必要性は全くない。
築地の跡地は、公示価格をベースとして2,3千億円と見られているが、実勢価格は5千億円内外とも言われており、土地売却により一気に債務を返済出来ることになる。
跡地については、再開発地域に指定し、競争ベースで複数社のコンソーシアムなどによる開発計画を応募させ、広く意見を求め決定、売却することが望ましい。
2) 築地の跡地活用容認は豊洲の赤字継続を永久容認するに等しい
豊洲の赤字を埋めるために築地の跡地活用による利益で埋めるという考え方は、豊洲の赤字は永久に続くことを容認し、それを前提にすることになり、東京都が今後豊洲の赤字にあぐらをかくことを意味する。本来的には、東京都は豊洲市場自体の赤字解消に全力を傾注すべきである。
3) 跡地活用で東京都がどれほどの利益を上げられるか疑問
築地の跡地活用による利益で豊洲の赤字を埋めるとしているが、東京都がどれほどの利益を上げられるかは全く疑問。恐らくは都の職員の食い物にされ、大した利益は上げられないのであろう。他方、豊洲の債務の利子支払いと営業赤字は累積し、穴埋めとして補助金(都民の税金)などが使われる危険性が非常に高い。2重のリスクがある。
4) 豊洲自体の黒字化努力とその間の都の土地、施設や基金の整理
豊洲市場の営業・運営経費については、東京都の試算では赤字が年間98億円ほどに上るとしている。この試算(豊洲市場が2018年度開場の場合)では、市場使用料などの収入が68億円になるのに対し、経費は166億円。豊洲市場は低温管理施設や空調設備を備え、衛生面や労働環境面では改善となるが、吹きさらしの築地市場の経費(44億円)の約4倍になる見通しだ。市場以外の空きスペースの収益性が鍵になるが、一定期間後(例えば10年後)の豊洲の民営化を視野に収益向上努力が望まれる。
東京都については、女性の職業進出の増加や核家族化の中での超高齢化に伴う保育所・幼稚園や擁護施設・介護施設の需要増、独居年長者の増加などの新たな需要を勘案し、都の余剰予算でバブル経済時代に乱立された基金や財団、諸施設の抜本的な整理が必要になっている。また戦後建設された都公務員住宅や諸施設についても、交通・通信の飛躍的な発展に伴い必要性が無くなっていると共に、現在では至便な場所になっており贅沢とも見られる公務員宿舎や施設が多いので、これらを廃止し、豊洲の赤字補てんへの対応を含め、上記の新たな需要に振り向けるべきであろう。新たな時代への転換を図るべきだ。(2018.10.19.)
10月11日、築地市場は正式に豊洲市場に移転し、同月17日に築地市場は閉鎖され解体工事が開始された。
豊洲市場については、東京湾に放流している汚染水への対応など、なおいろいろな課題が出てくると予想されるが、総費用が6,000億円を越える大規模事業である上に、汚染土壌の問題や築地よりは離れており不便感があることから、空きスペースの活用などによる収益性の向上が課題となろう。
小池都知事は、食のワンダーランドとするなど、築地市場跡を都が保有しその収益で相当の赤字が予想される豊洲市場の赤字を補てんするなどの提案をしているが、次の理由で、築地市場跡地は、当初の計画通り、一定の条件の下で売却すべきである。
1) 債務の利子支払いが巨額で早期の返済が不可欠
東京都の企業債(借金)の利息負担が370億円内外の高額に達しており、早期の返済が不可欠となっている。豊洲建設に当たっては、当初から築地市場跡地の売却が前提となっていたところであり、債務の額を考慮すると、それを変更する必要性は全くない。
築地の跡地は、公示価格をベースとして2,3千億円と見られているが、実勢価格は5千億円内外とも言われており、土地売却により一気に債務を返済出来ることになる。
跡地については、再開発地域に指定し、競争ベースで複数社のコンソーシアムなどによる開発計画を応募させ、広く意見を求め決定、売却することが望ましい。
2) 築地の跡地活用容認は豊洲の赤字継続を永久容認するに等しい
豊洲の赤字を埋めるために築地の跡地活用による利益で埋めるという考え方は、豊洲の赤字は永久に続くことを容認し、それを前提にすることになり、東京都が今後豊洲の赤字にあぐらをかくことを意味する。本来的には、東京都は豊洲市場自体の赤字解消に全力を傾注すべきである。
3) 跡地活用で東京都がどれほどの利益を上げられるか疑問
築地の跡地活用による利益で豊洲の赤字を埋めるとしているが、東京都がどれほどの利益を上げられるかは全く疑問。恐らくは都の職員の食い物にされ、大した利益は上げられないのであろう。他方、豊洲の債務の利子支払いと営業赤字は累積し、穴埋めとして補助金(都民の税金)などが使われる危険性が非常に高い。2重のリスクがある。
4) 豊洲自体の黒字化努力とその間の都の土地、施設や基金の整理
豊洲市場の営業・運営経費については、東京都の試算では赤字が年間98億円ほどに上るとしている。この試算(豊洲市場が2018年度開場の場合)では、市場使用料などの収入が68億円になるのに対し、経費は166億円。豊洲市場は低温管理施設や空調設備を備え、衛生面や労働環境面では改善となるが、吹きさらしの築地市場の経費(44億円)の約4倍になる見通しだ。市場以外の空きスペースの収益性が鍵になるが、一定期間後(例えば10年後)の豊洲の民営化を視野に収益向上努力が望まれる。
東京都については、女性の職業進出の増加や核家族化の中での超高齢化に伴う保育所・幼稚園や擁護施設・介護施設の需要増、独居年長者の増加などの新たな需要を勘案し、都の余剰予算でバブル経済時代に乱立された基金や財団、諸施設の抜本的な整理が必要になっている。また戦後建設された都公務員住宅や諸施設についても、交通・通信の飛躍的な発展に伴い必要性が無くなっていると共に、現在では至便な場所になっており贅沢とも見られる公務員宿舎や施設が多いので、これらを廃止し、豊洲の赤字補てんへの対応を含め、上記の新たな需要に振り向けるべきであろう。新たな時代への転換を図るべきだ。(2018.10.19.)