シリーズ平成の「変」-ガソリン暫定税率の廃止は「地球環境問題」に逆行?の場合
3月28日、08年度予算は参議院で否決されたものの、衆議院の優先性により成立した。
しかし、道路特定財源問題については、27日、福田総理は、09年度予算での一般財源化を提案した。一般財源化に踏み込んだ点は評価できるが、08年度からの暫定税率廃止については、2.6兆円の税収不足になるほか、国民に「自動車に乗ってガソリンを大いに使って」と奨励する雰囲気となり、環境問題に逆行だと思われるようなことはしたくない」などとして拒否し、「地球環境問題」の取り組みのために新たな財源も必要との考えをにじませつつ、「少なくとも今の暫定税率の水準」は維持するとの意向を表明している。「少なくとも」である。
一方、民主党を中心とする野党は暫定税率の廃止を主張しており、3月末で暫定税率は廃止(ガソリン1リッター当たり25円強相当の減税)の見通しが濃厚になった。道路特定財源以外の税制関連法案は、2ヶ月間の「つなぎ法案」を採択することで与野党が合意しており、また新年度予算は成立しているので、少なくても5月末までは暫定税率問題を除き、国民生活には大きな混乱はなさそうだ。
これで4月1日より、ガソリンや軽油の価格が下がり、タクシー、バス、トラックなどの運輸・流通業やマイカー族、寒冷地の灯油利用者など、全国的に事業や家計が楽になる。手続き的に3月末までに仕入れた石油の税率が下がるわけではないが、地方を含め、消費者の負担は下がる。
だからと言って、「ガソリンを大いに使って」ということになるのだろうか。諸物価はじりじりと上がっており、年金不安などや後期高齢者(75歳以上)の医療費負担の引き上げなども考えると、国民が必要もないのに「ガソリンを大いに使って」などという気持ちになれないのであろう。確かにこの1,2週間買い控えがあるので、短期的には価格が下がれば需要は上がろう。特に、政府与党幹部が、4月末に暫定税率を衆議院で再可決したいとしているので、買い溜めに走るケースも出て来よう。だからと言って、不必要にガソリンが使われることはないであろう。そもそも、昨年に比し大幅な円高であるので、本来であれば円高還元があってもいいくらいだ。
「変」だ。「暫定」税率を1974年以来34年間維持し続けて、ガソリンを喰う有料高速道路を造り続け、更に「道路特定」の「暫定」税率を維持し、有料高速道路を造り続けることが、環境問題に貢献するとも思えない。暫定税率を維持する理由として、「地球環境問題」という新しい要素を持ち出しているが、暫定税率は法律上「道路特定」であり、環境は別の新たな問題だ。だからもはや「道路特定財源」などは不要で、一般財源化が小泉改革の下で進められ始めたのでしょう。
「自動車を使わない」ということであれば、地方を含め、官僚用の公用車を廃止し、また、議員用の車の使用も極力抑制し、国会、議員宿舎、議員会館、主要官庁などを周遊するシャトル・バス(出来れば電動バス)を利用し、通勤等は一般交通手段を使うようにしたらどうなのだろうか。ガソリン税を下げて「道路特定」の財源が減ることが環境問題に「逆行」するというのはしっくり来ない。
ガソリン代は欧州先進国より安いというのも一面的のようだ。米国よりも高いし、欧州では、ここ数年来、需要は価格の安いデイーゼルに移っている。何処の国でも消費者としては安い方が良いのであろう。更に欧米では、例外はあるが、道路は高速道路でも無料が原則であるのに対し、日本では、税金で高速道路を造り、その上高額の通行料を半永久的に課している。「変」である。
いずれにしても、1974年より34年間も維持されて来たかさ上げされた「暫定」税率が3月31日で廃止されることは歴史的である。平成の「ガソリン税の変」とも言えるだろう。また、1953年から膨張して来た「道路特定財源」が2009年度予算から「一般財源化」すると明言されているので、「平成の道路特定財源の変」と続く。問題は、財源の再配分であるが、その前に民意が問われなくてはならない。
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3月28日、08年度予算は参議院で否決されたものの、衆議院の優先性により成立した。
しかし、道路特定財源問題については、27日、福田総理は、09年度予算での一般財源化を提案した。一般財源化に踏み込んだ点は評価できるが、08年度からの暫定税率廃止については、2.6兆円の税収不足になるほか、国民に「自動車に乗ってガソリンを大いに使って」と奨励する雰囲気となり、環境問題に逆行だと思われるようなことはしたくない」などとして拒否し、「地球環境問題」の取り組みのために新たな財源も必要との考えをにじませつつ、「少なくとも今の暫定税率の水準」は維持するとの意向を表明している。「少なくとも」である。
一方、民主党を中心とする野党は暫定税率の廃止を主張しており、3月末で暫定税率は廃止(ガソリン1リッター当たり25円強相当の減税)の見通しが濃厚になった。道路特定財源以外の税制関連法案は、2ヶ月間の「つなぎ法案」を採択することで与野党が合意しており、また新年度予算は成立しているので、少なくても5月末までは暫定税率問題を除き、国民生活には大きな混乱はなさそうだ。
これで4月1日より、ガソリンや軽油の価格が下がり、タクシー、バス、トラックなどの運輸・流通業やマイカー族、寒冷地の灯油利用者など、全国的に事業や家計が楽になる。手続き的に3月末までに仕入れた石油の税率が下がるわけではないが、地方を含め、消費者の負担は下がる。
だからと言って、「ガソリンを大いに使って」ということになるのだろうか。諸物価はじりじりと上がっており、年金不安などや後期高齢者(75歳以上)の医療費負担の引き上げなども考えると、国民が必要もないのに「ガソリンを大いに使って」などという気持ちになれないのであろう。確かにこの1,2週間買い控えがあるので、短期的には価格が下がれば需要は上がろう。特に、政府与党幹部が、4月末に暫定税率を衆議院で再可決したいとしているので、買い溜めに走るケースも出て来よう。だからと言って、不必要にガソリンが使われることはないであろう。そもそも、昨年に比し大幅な円高であるので、本来であれば円高還元があってもいいくらいだ。
「変」だ。「暫定」税率を1974年以来34年間維持し続けて、ガソリンを喰う有料高速道路を造り続け、更に「道路特定」の「暫定」税率を維持し、有料高速道路を造り続けることが、環境問題に貢献するとも思えない。暫定税率を維持する理由として、「地球環境問題」という新しい要素を持ち出しているが、暫定税率は法律上「道路特定」であり、環境は別の新たな問題だ。だからもはや「道路特定財源」などは不要で、一般財源化が小泉改革の下で進められ始めたのでしょう。
「自動車を使わない」ということであれば、地方を含め、官僚用の公用車を廃止し、また、議員用の車の使用も極力抑制し、国会、議員宿舎、議員会館、主要官庁などを周遊するシャトル・バス(出来れば電動バス)を利用し、通勤等は一般交通手段を使うようにしたらどうなのだろうか。ガソリン税を下げて「道路特定」の財源が減ることが環境問題に「逆行」するというのはしっくり来ない。
ガソリン代は欧州先進国より安いというのも一面的のようだ。米国よりも高いし、欧州では、ここ数年来、需要は価格の安いデイーゼルに移っている。何処の国でも消費者としては安い方が良いのであろう。更に欧米では、例外はあるが、道路は高速道路でも無料が原則であるのに対し、日本では、税金で高速道路を造り、その上高額の通行料を半永久的に課している。「変」である。
いずれにしても、1974年より34年間も維持されて来たかさ上げされた「暫定」税率が3月31日で廃止されることは歴史的である。平成の「ガソリン税の変」とも言えるだろう。また、1953年から膨張して来た「道路特定財源」が2009年度予算から「一般財源化」すると明言されているので、「平成の道路特定財源の変」と続く。問題は、財源の再配分であるが、その前に民意が問われなくてはならない。
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