シリーズ平成の本音 主婦への年金救済でまた国民に負担転嫁か? (その1)
11月22日、政府は国民年金改正法案を決定し、夫が会社を辞めるなどした際に国民年金への切り替えを忘れた専業主婦への年金給付を可能にすると共に、5万人を超える過去の過払いについては返済を求めないなどの救済策を決定した。但し給付額は10%を限度として減額する。
この問題は、被扶養者である主婦年金問題として検討されて来た問題であり、救済策を講じること自体は理解できるところであるが、次の3点において決定的な誤りがある。
1. 過払い分は一定期間での返済を求めるべし
国民年金は納付率が下がり、既に破綻状態にある中で、過払い分の返済を求めないことは、随分と寛大だが、国民年金の運営を更に困難にすると共に、不公平となり、野党も反対している。年金受給者の約60%が年金収入だけに依存しており、返済は困難などとしているが、夫の収入もあるであろうし、過払いは過払いとして返済を求めることは当然であろう。過払い分を3年間程度に分けて給付額から控除するなど、短期間に負担が掛からないようにすることは可能であろう。
過払い分の返済免除は、いずれ消費税増税などで穴埋めされるということであろうが、国民への安易な責任転嫁であり、望ましくない。厚労相も「行政の不行き届き」があったことを閣議後の記者会見で認めているので、返済免除というのであれば日本年金機構の職員給与を一定期間減額するなど、まず責任部局が弁済するのが筋であろう。
また国民年金への切り替えを忘れた専業主婦への年金給付を一定割合で救済することは止むを得ないが、国民年金への切り替えを忘れた側にも切り替えを怠った責任があるので、給付額の5割以上は救済するとしても、5割を限度として減額しても良いのであろう。国民年金も拠出型の年金であり、自己責任と受益者負担の原則に則って対処することが望ましい。そうしないと、正直に支払っている者がバカをみるというモラル・ハザードを起こす可能性が更に高くなろう。
このような結論を出す原因は、年金担当部局や内閣が国民年金も拠出型であるという制度への基本的な認識に欠けることと、受益者負担、自己責任という基本理念に欠けることであろう。軸がない。
(11.11.23.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
11月22日、政府は国民年金改正法案を決定し、夫が会社を辞めるなどした際に国民年金への切り替えを忘れた専業主婦への年金給付を可能にすると共に、5万人を超える過去の過払いについては返済を求めないなどの救済策を決定した。但し給付額は10%を限度として減額する。
この問題は、被扶養者である主婦年金問題として検討されて来た問題であり、救済策を講じること自体は理解できるところであるが、次の3点において決定的な誤りがある。
1. 過払い分は一定期間での返済を求めるべし
国民年金は納付率が下がり、既に破綻状態にある中で、過払い分の返済を求めないことは、随分と寛大だが、国民年金の運営を更に困難にすると共に、不公平となり、野党も反対している。年金受給者の約60%が年金収入だけに依存しており、返済は困難などとしているが、夫の収入もあるであろうし、過払いは過払いとして返済を求めることは当然であろう。過払い分を3年間程度に分けて給付額から控除するなど、短期間に負担が掛からないようにすることは可能であろう。
過払い分の返済免除は、いずれ消費税増税などで穴埋めされるということであろうが、国民への安易な責任転嫁であり、望ましくない。厚労相も「行政の不行き届き」があったことを閣議後の記者会見で認めているので、返済免除というのであれば日本年金機構の職員給与を一定期間減額するなど、まず責任部局が弁済するのが筋であろう。
また国民年金への切り替えを忘れた専業主婦への年金給付を一定割合で救済することは止むを得ないが、国民年金への切り替えを忘れた側にも切り替えを怠った責任があるので、給付額の5割以上は救済するとしても、5割を限度として減額しても良いのであろう。国民年金も拠出型の年金であり、自己責任と受益者負担の原則に則って対処することが望ましい。そうしないと、正直に支払っている者がバカをみるというモラル・ハザードを起こす可能性が更に高くなろう。
このような結論を出す原因は、年金担当部局や内閣が国民年金も拠出型であるという制度への基本的な認識に欠けることと、受益者負担、自己責任という基本理念に欠けることであろう。軸がない。
(11.11.23.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)