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戦後70年首相談話、誰のためのお詫びか? (総合編)

2017-02-25 | Weblog
戦後70年首相談話、誰のためのお詫びか? (総合編)
 戦後70年を迎えたのに際し、8月14日、安倍首相は閣議において首相談話を承認し、同日夕、発表した。首相談話については、安倍首相は、かねてより未来志向の内容にしたいとの意向で発表に意欲を示していたが、同首相が国会審議の場において、従軍慰安婦問題や大東亜・太平洋戦争について‘侵略の定義はない’などとして‘侵略戦争’を否定する答弁などをしており、また‘戦後レジームからの脱却’を標榜するとともに、靖国神社参拝を‘内閣総理大臣’として行うなどから、中国や韓国などから懸念が表明されていた。
8月15日の終戦の日には、戦後50周年(1995年)に村山首相談話、60周年(2005年)に小泉首相談話が出されている。その中で、‘過去への反省’については安倍首相自身も既にいろいろな形で表明しているので問題視されることはないが、注目されている歴史認識は、‘侵略戦争’と‘植民地支配(統治)’、及び‘お詫び’である。この表現については、自民党や一部保守系知識人・マスコミ・評論家を中心とする保守層から根強い反発があることも事実である。
 今回の談話では、過去の談話を踏襲し、この3つの表現が入っており、‘過去への反省’を踏まえ、不戦を誓い、国際平和に積極的に貢献して行きたいとの姿勢が表明されたことは評価されるところであろう。しかしこれらの言葉は、歴代内閣で表明されたことを引用し、継承するとしており、いわば第三者的な表現となっており、また‘お詫び’についても、‘次の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない’として謝罪から解放されたいとの気持ちをにじませているとも言えよう。
 しかし、大東亜・太平洋戦争に関する‘お詫び’とは一体誰に対するものなのだろうか。談話には必ずしも明示されていない。
 1、中・韓両国を含むアジア諸国のためだけではない‘お詫び’
 中・韓両国を含むアジア諸国については、日本軍の侵攻、統治を通じ多くの死傷者や各種の被害、損害を与えたことは事実であり、時代的、歴史的な背景があったにせよ私達の先達が行ったことであるので、それに対し真摯に‘お詫び’するしかないであろう。国家間においては、戦後賠償として物的な償いは行われている。
 しかし私達の先達が主導した大東亜・太平洋戦争により、沖縄が陸上決戦地となり、広島、長崎が原爆投下被害に遭った他、東京ほか主要都市が集中的な空爆被害に遭い、南太平洋に展開されていた軍人の他、一般民間人、女性や子供を含め約310万人もの日本人が犠牲となり、都市が焦土と化し、多くの悲劇を生んだことなど、日本人自体に甚大な被害を与える結果となったことを忘れてはならない。
 首相が改めてアジアの関係諸国の国民に‘お詫び’をするのであれば、日本国民、特にご遺族の方々にも‘お詫び’をすべきではないのだろうか。
 昭和天皇の責任についてはなかなか難しい。昭和天皇が危険を冒して1945年8月15日に終戦宣言を行っていなかったら、第3、第4の原爆の犠牲が出たであろうから、その悲劇から救ってくれた。また日本の天皇制は、日本統一の基礎を築いた神武天皇以来の約2500年の長期にわたる文化的、社会的な遺産であり、世界でも類のない人間遺産であり、また象徴として多くの国民に親しまれている。更に実体的に昭和天皇は、専制君主ではあったが、軍事政権に服さざるを得なかったのであろう。だが昭和天皇は軍事大権を持っており、軍の最高指揮者であったので、全般的な監督責任や結果責任は残る。
 この点は、時の政権や軍部が伝統的な権威者を祭り上げて政権を牛耳じることになると、専横化しあらぬ方向に暴走するという歴史的な教訓ともなる。

 2、 原爆投下による広島、長崎での大量殺りくへの責任    
原爆被爆後に広島(当時人口42万人)で死者、行方不明合わせて12万人強、長崎(人口24万人)では7万人強であったが、被爆後5年間に広島で約20万人、長崎で約14万人死亡し、広島で人口のほぼ50%、長崎では50%以上が死亡し、その多くは子供や女性を含む一般市民であったと記録されおり、凄惨な殺りくであった。このような被害は、日本が降伏後米国などの連合国の関係者も現地に入り、詳細に観察、記録しているので、厳然とした歴史的な事実である。
 米国は、この原爆使用を‘対日戦争を早期に集結させ、米国の被害を最小にするため’に必要だったとし、今日でも多数意見のようだ。1995年の太平洋戦争終結50周年に当たり、米国でも広島、長崎への原爆投下は必要なかったとする‘修正主義’と言われた主張があったが、全体の世論は原爆投下を止むを得なかったとする意見が多数を占めた。そして首都ワシントンのスミソニアン博物館に、原爆を投下した爆撃機‘エノラゲイ’が展示されることになった。
 確かに日本は、長崎への原爆投下から6日後に天皇の「玉音放送」により戦争を終結しているので、太平洋戦争の終結を早めたことは事実であろう。そしてそれにより米国は、沖縄を除き本土決戦を回避できたので、米国の被害を最小にしたことも事実であろう。しかし戦争とは言え、そのために原爆だけで34万人もの女性子供を含む一般市民を殺してもよいということになるのであろうか。これは今日的な表現をすれば、一般市民の大量虐殺と言えるのであろう。数字上でも、太平洋戦争における米国側の死者は16万人強と言われているが、日本側は310万人にも上る。因みに米国側の対独戦争での死者は約25万人と言われ、米国側の死者は欧州戦線の方が遥かに多い。大量虐殺ということであれば、沖縄戦での日本側死者数約20万人(半数以上が一般市民)、また東京空爆については1945年3月10日の大空襲(下町大空襲)だけでも死者数は約8万から10万人、106回ほどの空爆で累計100万人とも900万人とも言われる死傷者を出したと言われており、東京は焦土と化した。数字から見ても、日本への攻撃は度を越した過剰防御、過剰攻撃ではなかったのではないだろうか。特に、当時の戦争法規(ハーグ陸戦法規、1899年採択、1907年改訂)などでも、非戦闘員である一般民間人や軍事目標以外の民用物への攻撃を禁じており、一定の人道性を規定している。
 ロシアのナルイシキン下院議長は、8月5日、原爆問題に関する専門家等との会議において、‘広島、長崎への原爆投下はまだ国際法廷で裁かれていない。しかし人道に反する罪に時効はない’との持論を展開したと伝えられている。現在の米・ロ関係を反映した米国へのけん制と見られるが、原爆は非人道兵器と認める発言であれば核不使用に繋がる認識とも受け取れ、注目に値する。
 ここで70年も昔の行為を国際法廷で裁くなどと言う積りはない。日・米間においては、経済関係や日米安全保障取り決め、両国間の幅広い交流などを通じ和解が進展している。そして日本政府は過去の戦争について、関係アジア諸国等に対し‘お詫び’の気持ちを今回も表明している。米国がもし日本の同盟国であると言うのであれば、米国側より広島、長崎への原爆投下による市民の大量殺害に対し、またその後放射線障害により苦しみ続けている多くの被害者に対し、お詫びの気持ちが表明されてもよいのではなかろうか。
(2015.8.14)(All Rights Reserved.)
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賭博と麻薬まみれの読売ジャイアンツ!

2017-02-25 | Weblog
賭博と麻薬まみれの読売ジャイアンツ!
2015年11月、読売ジャイアンツの3人の投手が賭博に関与したことが明らかとなり、更に2016年3月、1投手の関与が明らかになったが、4月29日、警視庁は、笠原投手(事件発覚後契約解除)と開帳容疑で飲食店経営者を逮捕した。
これら4投手は、球団側から契約解除され、また野球連盟から資格停止処分を既に受けていたが、賭博事件として司直手に委ねられることになる。これより先、野球連盟は、4投手以外に関与した選手がいれば、処分を軽減するので名乗り出るように促していたが、名乗り出るものはいなかった。予想通りとも言える。
このような影響の大きな不祥事に対し、読売ジャイアンツの‘渡邉恒雄最高顧問、白石興二郎オーナー、桃井恒和球団会長の3首脳が辞任’した。しかし今回の選手の逮捕である。
このような複数の選手による事件が起これば、選手自身や監督責任のある球団幹部の処分に止まらず、チームの試合出場の自粛や出場停止処分が行われてもおかしくはないし、そのような論調があっても良いのであろう。高校野球や大学野球などでは、恐らくチームの出場の自粛や停止処分となろう。読売ジャイアンツの選手の賭博関与問題についてはそのような論調が起こっていない。野球連盟の対応も、選手の資格停止などだけで、実に手ぬるく映る。野球ビジネスを優先させるということなのだろうか。
読売ジャイアンツについては、清原氏の麻薬使用問題もある。同人については、有罪(執行猶予)となって罰を受けている。しかし同人の麻薬使用は、巨人軍の現役時代からで、読売ジャイアンツの同僚の投手にダッグアウトやロッカールームで麻薬の注文などをしていたようだ。野球賭博にしても麻薬にしても、いずれも複数の選手が関与しており、誰も知らなかったでは済まされない。特に読売ジャイアンツについては、最大手のマスコミの読売新聞グループが実質的なオーナーである。マスコミの論調や社会意識形成などへの影響も大きい。
球団首脳が球団の役職を辞任しても、親会社である読売新聞グループでの地位を未だに維持しているとすれば、社会的にはそれ程反省していないと映っても仕方がない。トカゲのしっぽ切りに終われば、それだけのことで終り、事件の不適切性についての諸選手や社会の意識への浸透は薄れ、いずれ同じような事件が繰り返されるだろう。新聞としての説得力も失う。
他方、バドミントン選手の闇賭博への出入りやスキー選手の海外での大麻吸引については、不適正であり厳重な注意や一定期間の謹慎処分、再教育は必要としても、プロ野球選手が野球賭博に関与したり、麻薬をやっているのとは重大さが異なる。出直す機会が与えられるべきであろうし、その方が抑止効果や教育効果が上がるであろう。(2016.4.29.)
(All Rights Reserved.)
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インフレターゲット2%は破たん、必要なった政策転換

2017-02-19 | Weblog
インフレターゲット2%は破たん、必要なった政策転換
 総務省は、2月17日、2016年の総世帯の家計調査の結果として、1世帯当たりの消費支出(平均24万2千円/月)が実質で前年比1.8%減となったことを公表した。前年割れは3年連続で個人消費の不振が長期化している。
 中央銀行は、2013年1月から、インフレターゲットを2%とし‘異次元の通貨供給の量的緩和’を実施し、デフレマインドを払拭し、経済成長を促す政策をとって来た。1世帯当たりの消費支出の前年比実質1.8%減、そして3年連続の前年割れは、インフレターゲット2%目標の破たんを意味する。インフレターゲット2%を目標とする量的緩和は、アベノミクスの第一の矢であり、同時に第二の矢である円安を誘導するものであるので、アベノミクス自体が成果を出しておらず、破たん状態となっていることを意味する。財政再建と言いながら、予算節減は行わず、補正予算に赤字国債まで使っている。
 また2016年前半に、中銀が窮余の策としてマイナス金利を導入したが、それで進んだのは借り入れの切り替えであり、貸し出しは進んでおらず、逆に預金者のデフレ感を煽ると共に、金融機関の収益を圧迫するなど、逆効果となっている。更に、米国が一昨年より金利引き上げを含む金融、通貨の正常化に向かおうとしている時期に、日本がマイナス金利を導入することは米国の動きに逆行する政策と言える。黒田中銀総裁は、意地でもこれまでの金融、通貨政策の継続を主張するであろうが、日本も金利の正常化が必要になっている。そもそも同総裁は、法学部出身の財務官僚であり、実体経済を知らず、法律や規則を定めれば物事が規制できると考えているのではなかろうか。
 アベノミクスは4年を経過して目標を達成出来ないばかりか、言葉や説明とは反対に、事実上破たんし、デフレ下の景気停滞であるスタグフレーションに入っていると言えそうだ。金融政策頼みの景気対策には限界があり、実体経済は各種規制に縛られ停滞しており、これまでの政策を継続しても好転は望めそうもない。政策の抜本的転換と消費者、国民の年金給付減や医療・介護などへの負担感と世代横断的な将来不安への真摯な対応が望まれる。
(2017.2.19.)(All Rights Reserved.)
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インフレターゲット2%は破たん、必要なった政策転換

2017-02-19 | Weblog
インフレターゲット2%は破たん、必要なった政策転換
 総務省は、2月17日、2016年の総世帯の家計調査の結果として、1世帯当たりの消費支出(平均24万2千円/月)が実質で前年比1.8%減となったことを公表した。前年割れは3年連続で個人消費の不振が長期化している。
 中央銀行は、2013年1月から、インフレターゲットを2%とし‘異次元の通貨供給の量的緩和’を実施し、デフレマインドを払拭し、経済成長を促す政策をとって来た。1世帯当たりの消費支出の前年比実質1.8%減、そして3年連続の前年割れは、インフレターゲット2%目標の破たんを意味する。インフレターゲット2%を目標とする量的緩和は、アベノミクスの第一の矢であり、同時に第二の矢である円安を誘導するものであるので、アベノミクス自体が成果を出しておらず、破たん状態となっていることを意味する。財政再建と言いながら、予算節減は行わず、補正予算に赤字国債まで使っている。
 また2016年前半に、中銀が窮余の策としてマイナス金利を導入したが、それで進んだのは借り入れの切り替えであり、貸し出しは進んでおらず、逆に預金者のデフレ感を煽ると共に、金融機関の収益を圧迫するなど、逆効果となっている。更に、米国が一昨年より金利引き上げを含む金融、通貨の正常化に向かおうとしている時期に、日本がマイナス金利を導入することは米国の動きに逆行する政策と言える。黒田中銀総裁は、意地でもこれまでの金融、通貨政策の継続を主張するであろうが、日本も金利の正常化が必要になっている。そもそも同総裁は、法学部出身の財務官僚であり、実体経済を知らず、法律や規則を定めれば物事が規制できると考えているのではなかろうか。
 アベノミクスは4年を経過して目標を達成出来ないばかりか、言葉や説明とは反対に、事実上破たんし、デフレ下の景気停滞であるスタグフレーションに入っていると言えそうだ。金融政策頼みの景気対策には限界があり、実体経済は各種規制に縛られ停滞しており、これまでの政策を継続しても好転は望めそうもない。政策の抜本的転換と消費者、国民の年金給付減や医療・介護などへの負担感と世代横断的な将来不安への真摯な対応が望まれる。
(2017.2.19.)(All Rights Reserved.)
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インフレターゲット2%は破たん、必要なった政策転換

2017-02-19 | Weblog
インフレターゲット2%は破たん、必要なった政策転換
 総務省は、2月17日、2016年の総世帯の家計調査の結果として、1世帯当たりの消費支出(平均24万2千円/月)が実質で前年比1.8%減となったことを公表した。前年割れは3年連続で個人消費の不振が長期化している。
 中央銀行は、2013年1月から、インフレターゲットを2%とし‘異次元の通貨供給の量的緩和’を実施し、デフレマインドを払拭し、経済成長を促す政策をとって来た。1世帯当たりの消費支出の前年比実質1.8%減、そして3年連続の前年割れは、インフレターゲット2%目標の破たんを意味する。インフレターゲット2%を目標とする量的緩和は、アベノミクスの第一の矢であり、同時に第二の矢である円安を誘導するものであるので、アベノミクス自体が成果を出しておらず、破たん状態となっていることを意味する。財政再建と言いながら、予算節減は行わず、補正予算に赤字国債まで使っている。
 また2016年前半に、中銀が窮余の策としてマイナス金利を導入したが、それで進んだのは借り入れの切り替えであり、貸し出しは進んでおらず、逆に預金者のデフレ感を煽ると共に、金融機関の収益を圧迫するなど、逆効果となっている。更に、米国が一昨年より金利引き上げを含む金融、通貨の正常化に向かおうとしている時期に、日本がマイナス金利を導入することは米国の動きに逆行する政策と言える。黒田中銀総裁は、意地でもこれまでの金融、通貨政策の継続を主張するであろうが、日本も金利の正常化が必要になっている。そもそも同総裁は、法学部出身の財務官僚であり、実体経済を知らず、法律や規則を定めれば物事が規制できると考えているのではなかろうか。
 アベノミクスは4年を経過して目標を達成出来ないばかりか、言葉や説明とは反対に、事実上破たんし、デフレ下の景気停滞であるスタグフレーションに入っていると言えそうだ。金融政策頼みの景気対策には限界があり、実体経済は各種規制に縛られ停滞しており、これまでの政策を継続しても好転は望めそうもない。政策の抜本的転換と消費者、国民の年金給付減や医療・介護などへの負担感と世代横断的な将来不安への真摯な対応が望まれる。
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インフレターゲット2%は破たん、必要なった政策転換

2017-02-19 | Weblog
インフレターゲット2%は破たん、必要なった政策転換
 総務省は、2月17日、2016年の総世帯の家計調査の結果として、1世帯当たりの消費支出(平均24万2千円/月)が実質で前年比1.8%減となったことを公表した。前年割れは3年連続で個人消費の不振が長期化している。
 中央銀行は、2013年1月から、インフレターゲットを2%とし‘異次元の通貨供給の量的緩和’を実施し、デフレマインドを払拭し、経済成長を促す政策をとって来た。1世帯当たりの消費支出の前年比実質1.8%減、そして3年連続の前年割れは、インフレターゲット2%目標の破たんを意味する。インフレターゲット2%を目標とする量的緩和は、アベノミクスの第一の矢であり、同時に第二の矢である円安を誘導するものであるので、アベノミクス自体が成果を出しておらず、破たん状態となっていることを意味する。財政再建と言いながら、予算節減は行わず、補正予算に赤字国債まで使っている。
 また2016年前半に、中銀が窮余の策としてマイナス金利を導入したが、それで進んだのは借り入れの切り替えであり、貸し出しは進んでおらず、逆に預金者のデフレ感を煽ると共に、金融機関の収益を圧迫するなど、逆効果となっている。更に、米国が一昨年より金利引き上げを含む金融、通貨の正常化に向かおうとしている時期に、日本がマイナス金利を導入することは米国の動きに逆行する政策と言える。黒田中銀総裁は、意地でもこれまでの金融、通貨政策の継続を主張するであろうが、日本も金利の正常化が必要になっている。そもそも同総裁は、法学部出身の財務官僚であり、実体経済を知らず、法律や規則を定めれば物事が規制できると考えているのではなかろうか。
 アベノミクスは4年を経過して目標を達成出来ないばかりか、言葉や説明とは反対に、事実上破たんし、デフレ下の景気停滞であるスタグフレーションに入っていると言えそうだ。金融政策頼みの景気対策には限界があり、実体経済は各種規制に縛られ停滞しており、これまでの政策を継続しても好転は望めそうもない。政策の抜本的転換と消費者、国民の年金給付減や医療・介護などへの負担感と世代横断的な将来不安への真摯な対応が望まれる。
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 中央銀行は、2013年1月から、インフレターゲットを2%とし‘異次元の通貨供給の量的緩和’を実施し、デフレマインドを払拭し、経済成長を促す政策をとって来た。1世帯当たりの消費支出の前年比実質1.8%減、そして3年連続の前年割れは、インフレターゲット2%目標の破たんを意味する。インフレターゲット2%を目標とする量的緩和は、アベノミクスの第一の矢であり、同時に第二の矢である円安を誘導するものであるので、アベノミクス自体が成果を出しておらず、破たん状態となっていることを意味する。財政再建と言いながら、予算節減は行わず、補正予算に赤字国債まで使っている。
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 アベノミクスは4年を経過して目標を達成出来ないばかりか、言葉や説明とは反対に、事実上破たんし、デフレ下の景気停滞であるスタグフレーションに入っていると言えそうだ。金融政策頼みの景気対策には限界があり、実体経済は各種規制に縛られ停滞しており、これまでの政策を継続しても好転は望めそうもない。政策の抜本的転換と消費者、国民の年金給付減や医療・介護などへの負担感と世代横断的な将来不安への真摯な対応が望まれる。
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マスメデイアの限界!既成政治へのノーを読めなかった世論調査!(その1)

2017-02-19 | Weblog
マスメデイアの限界!既成政治へのノーを読めなかった世論調査!(その1)
 1月20日、第45代米国大統領としてドナルド・トランプ大統領が就任した。同日の就任演説では、まずワシントンの‘既成政治’は自らの利益を追求し、‘国民の利益’にはならなかった、トランプ政権では、‘権力を国民の手に返す’としてワシントンの既成政治を否定した。その上で、同政権は、唯一の判断基準として‘アメリカ・ファースト’を掲げ、アメリカの製品を購入し、アメリカ人を雇用するなど、米国の国益追求の姿勢と対外的にはイスラム過激派の排除を明らかにした。
 しかし同国のマスメデイアは、トランプ大統領の就任直前の世論調査の人気では、オバマ前大統領やブッシュ元大統領などに比して低く、40%であることを伝え、また就任式では、一般参加者の数がこれら前、元大統領に比して少ないことを、解説や映像を通して伝えた。これに対しトランプ大統領自身や大統領報道官は、2016年11月の大統領選挙の際、マスメデイアは予測を誤り、今回も正しくない報道に終始したとしてマスメデイアの報道姿勢を強く批判した。
 またトランプ大統領は、就任後矢継ぎ早に大統領令を出し、米国の国土安全保障のためとしてシリア、イラク、イラン、イエメン、リビア、スーダン、ソマリアの国際テロ支援国を含むテロ脅威国7か国からの米国への入国を90日間停止し、また難民受け入れを120日間停止する大統領令に署名した。これに対し多くのマスメデイアや評論家等が国籍による差別や人道上などの理由で批判している。
 なお、この7か国に対する入国停止の大統領令については、カリフォルニア州の連邦控訴裁判所において取り下げの判決が確認され、効力を失ったが、トランプ政権側は別の大統領令を出すとしている。先の大統領令は既にオバマ政権下で発給されたビザ保持者にも適用されることから、配慮に欠ける面があり、取り消しも止むを得なかったと言えよう。しかし現在の世界は、国境を有する国家を前提とし、外国人への渡航ビザ発給はそれぞれの国家の主権に属することであるので、外交関係や国家安全保障、疫病対策等で、渡航を制限することは可能であるので、何らかの新措置が取られる可能性がある。
 確かに、戦後のマスメデイアによる報道に親しんで来た多くの人にとっては、こうした米国の報道振りに余り疑問もなく接して来た。しかし米国のほとんどのマスメデイアは、大統領選挙前の世論調査においてクリントン候補50%超、トランプ候補約40%とし、予想を誤った。そして大統領就任に際して公表したトランプ大統領の人気(支持率)も40%であり、大統領選挙前の誤った数値とほぼ同じであるので、この数値は信じて良いのか疑問が持たれても仕方がない。
 今回米国マスメデイアは、1月20日の大統領就任式典への参加者が少なかった一方、多くの抗議デモが行われたなどとして、トランプ同大統領の‘不人気振り’を報道した。しかし既存の映像メデイアには、それぞれのアングルがあり、全てを伝えているとは思えないと同時に、建物に物を投げ、自動車に火を付けるなどの暴力行為を行っていた一部のデモ隊などを見ると、一概に反対している群衆が正しいとも言えそうにない。どちらかと言うと政争の色彩が強い。
 既成のマスメデイアやそれによる‘世論調査’は、国民に何を見せ、何を見せていないのか。大統領報道官は、‘もう一つの事実(Alternative Facts)’としているが、これまでマスメデイアにより伝えられていなかった’事実‘とは何か。
 1、結果を予想出来なかった世論調査―英国のEU脱退と米国大統領選
 英国は、EU(欧州連合)からの脱退か残留かを問う国民投票において、2016年6月23日、離脱支持が投票総数の約52%、1,740万票、残留が約48%、1,610万票で、EU離脱を選択した。投票率は約72%で、高い関心の中での選択と言えるが、同国の主要マスメデイアの世論調査や予想に反する結果となった。日本のマスメデイアも、いわゆるコメンテータや専門家等を含め、‘僅差ではあるが残留支持’が大方の見方であった。株式市場もそのようなマスメデイアの予想に基ついて楽観していたが、英国のEU離脱というショックウエーブが広がり株価やポンドは大幅に下落した。英国のEU離脱が日本のメデイアでは予想外の結果となり、市場は方向感覚を失い、欧州市場に追随した形だ。
 そして11月8日の米大統領選挙において、米国は主要マスメデイアの世論調査や予想に反し、共和党ドナルド・トランプ候補を次期大統領として選んだ。州ごとに選ばれた選挙人数は、トランプ氏が306人、民主党のクリントン前国務長官が232人をそれぞれ獲得し、トランプ候補が選挙人数では過半数を制した。投票率は、不人気同士の大統領選挙と言われていたが、54%台で、各候補の得票率はそれぞれ46%台、48%台であり、劣勢とされていた。トランプ氏が優勢との報道が流れると日本の株価は大幅に下落した。しかしトランプ次期大統領が、大統領補佐官はじめ大統領府の布陣に加え、財務長官や商務長官などの主要閣僚の人事を発表し始めると、米国の株価及びドルが大幅高となっており、‘トランプ・ショック’は‘トランプ効果’となった。そして1月20日の大統領就任後は、選挙戦中に約束した事項につき矢継ぎ早に大統領令が出されるたびにマスメデイアは一様に戸惑いを示した。選挙後のトランプ効果は後退し、トランプ不安が広がり、右往左往の状態となった。
 また2016年12月4日、イタリアで実施された憲法改正のための国民投票では、否決され、憲法改正を推進していたレンツィ首相が辞任した。目まぐるしく政権が変わるイタリアにおいて、政権を安定させるために上院の権限を大幅に縮小することを目的とした憲法改正への国民投票であったが、大衆の不満に率直な賛同を表明する人民主義政党(ポピュリズム)として行動する「五つ星運動」などに押され、予想に反する結果となった。
 世界の既成マスメデイアの世論調査は、何故予想に失敗したのか。
 2、既成の世論調査の問題点
 戦後欧米で採用されている世論調査は、多くの場合、無作為で一定数の回答者を選択し、回答があった数を基に賛否などの比率を出している。無作為で回答者を選択しているので、‘公平’、‘中立’とみなされているが、これまでの方法ではカバー出来ない層がある。
 1)まず回答率の問題がある。個々の調査により差はあるが、回答率はせいぜい60%前後で、概ね40%前後は無回答であるが、意見を持っていないということではない。賛否の比率等は回答者数で行われるが、4割前後ほどの無回答者の動向如何では、結論が大きく変わる可能性がある。
 調査は特定のメデイアが実施するが、各メデイアが既成政党を支持する等、一定の傾向を持っていることが多く、そのような偏向に好感を持っていない対象者は、調査に応じないであろう。一般的に有権者の約4割前後は無党派層、或いは無関心層であり、選挙やこのような世論調査を敬遠、拒否する傾向が強いが、意見を持っていないということではない。米国でも同様だ。他方調査メデイアに好意的な対象者を中心に回答することになり、調査メデイアの傾向がより強く反映されるのは当然のことであろう。事実、保守系メデイアが行う世論調査では、保守党支持が顕著に高くなる傾向があることは衆知のことだ。
 このような無党派層、無回答層を排除した統計は、世論の全体を反映せず、調査主体により偏向が出やすくなる。
 少なくても賛否の比率は、調査対象者(所在が分からなかった者を除く)をベースとして出すべきであろう。
 2)情報伝達メデイアの変化
 情報伝達の手段は、戦後マスメデイア化した新聞やテレビを媒体とするものから、デジタル媒体に移っている。既成の新聞やテレビは、巨大化、商業化すると共に、既成社会の一部となり、読者や視聴者に影響を与え、類似性の高い‘既成世論’とも言うべき世論やいわゆる‘常識’といわれる意見を形成している。従って、それがあたかも広く共有された‘常識’とみなされ、それと異なる意見を表明し難くしている。マスメデイアの調査に対し、そのマスメデイアが期待している意見に近い意見が述べられることが多いのもその一例であろう。またコメンテーターや専門家、有識者なども、マスメデイアが期待する意見に反しないコメント等をすることが多い。それに反することを言えば姿が消える。
 マスメデイアの更なる巨大化で、より多くの多様性を伝達すると思われたが、政治的には、特定政党を支持するか、支持政党の立場を代弁している場合が多いので、一定の方向性を持つと共に、類似性が高まることになり、それが繰り返し、繰り返し伝えられることにより、一定の世論や‘常識’が形成されて行く。そのメデイアによる調査では、結果が一定の方向性を持つことは不思議ではない。
 米国の、ニューヨークタイムズは民主党支持であり、ワシントンポストやウオールストリートジャーナルは共和党支持であるし、日本の主要都市新聞やテレビ局も同様である。
 このような中で、4割内外の無党派層や不回答層の意見は、選挙においても、マスメデイアによる世論調査などでも、ほとんど相手にされず、対象外とされて来たと言えよう。いわば場外世論だ。
 しかしデジタル情報手段の普及により、これらマスメデイアに依存することなく、ツイッター、フエイスブック、ユーチューブ、インスタグラム、ラインなどのWebやSNSメデイアを通じ意見やコメントの発信、拡散が可能になった。その拡散力は瞬間的で広範に及ぶ場合がある。トランプ氏は、大統領候補の時からこれを巧みに活用していたと言えよう。
 従来気にも止められなかった無党派層や不回答層をどのように世論に反映させるかが今後の課題だ。そのため世論調査等の方法や手段も工夫が必要になっている。
 2016年当初は、不動産王の泡沫候補とマスメデイアを通じ報道されていたトランプ候補があれよあれよと言う間に共和党の大統領候補となり、そして3回のテレビ討論などを経て、クリントン候補優勢と諸‘世論調査’が伝えていたが、大統領選挙ではトランプ候補が選挙人の過半数を制した。そして選挙人による最終投票においては、トランプ支持の選挙人の何人かはクリントン候補に寝返るなどと報道されていたが、これら報道は見事に外れた。読者や視聴者にその理由を説明する責任がありそうだ。
 3.既成政治の否定とポピュリズム    (その2に掲載)
 4、戦後の既成政治で多くの問題が未解決 (その2に掲載)
 
(2017.2.17.)(All Rights Reserved.)
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‘天才’田中角栄は一時代の人でしかない!

2017-02-19 | Weblog
‘天才’田中角栄は一時代の人でしかない!
 1972年7月、田中角栄議員は、自民党最大派閥を率い、官僚出身である福田赳夫議員を破り首相の座に就いた。地元の新潟で土建業を行っていたこともあり、「日本列島改造論」を展開し、日本の東西南北を結ぶ高速道路網や新幹線、ダムや橋などの整備に大きな役割を果たし、自民党の公共事業依存の基礎を築いた公共事業のドンとも言える。外交面でも、1972年に訪中し、日中国交正常化を図るなどの功績がある。
 他方、その公共事業を中心とした政策が狂乱物価を招くと共に、業界との田中金脈問題、金権政治への批判によって首相を辞職し、特に米国の航空機大手のロッキード社の航空機売込みに絡んだ贈収賄事件(ロッキード事件)で逮捕され、晩年は不遇な日々を送った。
 江戸時代中期の幕府の老中田沼意次によく似ている。田沼意次は、幕府の財政赤字の中で改革に取り組み、商業資本、高利貸などが発達し始めていたことを背景として、重農主義から重商主義政策に転換を図り、「田沼時代」を作り権勢を振るった。鉱山開発、蝦夷地の開発、俵物などの専売による貿易拡大、印旛沼の干拓等の政策を遂行した。その結果、幕府の財政は改善し、景気も良くなったが、社会が全般的に商業主義化し、インフレが進むと共に、武士、商人を問わず金銭収入が不可欠となったことから贈収賄が横行し、金権政治への批判が強まった。
 老中田沼意次は、初期資本主義の発展の他、印旛沼、手賀沼の干拓などにより地元では絶大な人気があるが、贈収賄、金権主義が幕政を歪め、腐敗した。
 田中元首相は、エネルギッシュで‘政界のブルトーザー’と言われ、地元新潟では絶大な人気があり、出色の魅力ある政治家と言えよう。しかし、自民党の金の掛かる政治体質、金で勢力拡大を図る金権政治、公共事業依存の経済財政運営、政・官・財の癒着体質を招くと共に、狂乱物価を招いた。
 田中元首相の手法は、1929年の米国の金融恐慌に際し、米国全土に亘る公共事業を実施したニューデイール政策や欧州復興計画に用いられているもので、時代の流れに乗った素晴らしい業績を残してはいるが、‘天才’云々ということではない。他方、老中田沼意次同様、インフレの他、腐敗、金権主義という公人としてあってはならない負の遺産を残したのであり、政治家としての手本とはならず、歴史的には負の遺産、悪例として残るのではないか。
どのような偉業と思われる事を行っても、国民の目を騙し、不正、不適正な手段、手法を使って達成されたことであれば、それを偉業とは言わない。ましてやそのような人を‘天才’などとは言わない。ルール違反、コンプライアンス違反であり、不正でしかない。
 現在でも、各種の政治と金の問題が、年中行事のように報道されているが、有権者としては政治家が提唱、宣伝する目先の政策や言葉だけではなく、コンプライアンスを含む政治家の資質や公平、公正さなどを見極めることが重要なようだ。経済界でも、消費者の目を騙し、コンプライアンス違反や不正を行って業績を上げても、不正でしかない。
(2016.6.17.)(All Rights Reserved.)
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アベノミクスの正体は円安でしかなかった!

2017-02-19 | Weblog
アベノミクスの正体は円安でしかなかった!
 英国のEU離脱の賛否を問う国民投票が、52%の多数で離脱という結果となったニュースが世界を駆け巡った途端、日本円は1ドル100円を割り込み、株価(日経平均)は暴落し1万5千円台を割り込んだ。
 アベノミクスの指標の一つになっている株価は、2016年2月12日、急速な円高を受けて大幅に下落し、1万5千円を割り込み、約1年4カ月振り(2014年10月21日以来)の低さとなった。日銀は2月16日にマイナス金利を実施したが、円高傾向に歯止めが掛からず、1ドル110円台を割り込むまで円高となっていた。そこに英国のEU離脱という事態により、更に円高となり、株価がまた2014年10月21日の水準に逆戻りした格好だ。
 アベノミクスは、‘異次元の金融緩和’で円安誘導し、輸出関連産業と観光を中心とする産業の収益改善により株価が上がり、プチバブルとなり局部的に潤ったが、円高、株安に逆戻りし、見通しも暗い。
アベノミクスは、通貨供給の大幅緩和、2%のインフレ目標によるデフレからの脱却、賃金・物価の好循環を訴えて来たが、その正体は円安、株高でしかなかったことが明らかになった。マイナス金利の実施は、通貨供給の大幅緩和、2%のインフレ目標によるデフレからの脱却、賃金・物価の好循環というアベノミクスの失敗を意味している。
米国は、昨年まで円安を容認し、アベノミクスの推移を注視して来たが、円安、株高に依存するだけで、見るべき経済・行政制度の改革は行われず、大統領選挙の年でもあり、これまでの寛容な為替政策は取り難くなっている。円は米国の監視通貨に指定されており、これまでのような円安は望めそうにない。
そうなると公共事業予算に頼りたくなる。バブル経済崩壊後、歴代内閣は公共事業予算に依存し、経済・行政改革を先送り、ひたすら世界経済の回復を待ち続けて来た。しかし、毎年7~8兆円前後の公共事業を継続してきているので、それを継続しても経済の押し上げ効果は失っている上、削減すれば経済に震えが来るようになり、公共事業がいわば麻薬化している上、国民の公的借金が1,000兆円を超える状態になっている。公共事業予算はもはや景気回復要因にはならない。公共事業を打てば打つほど、公的借金が増えるだけだ。何時かは公共事業漬けから抜け出さなければならない。
(2016.7.1.)(All Rights Reserved
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