党内からも世襲批判=青木氏後継-自民
自民党は、参院選への出馬を断念した青木幹雄前参院議員会長(島根選挙区)の後継候補に、長男の一彦氏(49)を擁立する方針だ。ただ、党内には後継選出の過程を透明化することで「民主党への反転攻勢のチャンスにできる」とみる向きもあっただけに、「世襲」への批判も出ている。
「県連が公募の規定を持っていない中で、各支部の意見を集約したことで、透明性は確保した」。島根県連の洲浜繁達県連幹事長は18日、党本部で大島理森幹事長に一彦氏の公認を申請した後、記者団に選考過程に問題はなかったと強調した。同党は19日にも、一彦氏の公認を発表する方針だ。
後継をめぐっては、谷垣禎一総裁が青木氏の立候補断念が伝えられた15日、「県連で結論が出れば公認したい」と早々と表明。
夏の参院選が目前に迫り、候補者を幅広く人選する余裕がない上、青木氏の秘書を務めた一彦氏なら、後援会をそのまま継承できる。
党内では、同氏が青木氏の地盤を引き継ぐことになるとの見方が支配的だった。
ただ、同党は昨年の衆院選公約に、3親等以内の親族らは次期衆院選から同一選挙区での立候補を禁止すると明記した経緯がある。谷垣執行部となり、党内の異論に配慮して世襲禁止は撤回し、公募に参加すれば選挙区の世襲を容認する方向を打ち出していた。
このため、党内では「短期間でも公募をして、(希望者が)手を挙げる機会を設けるべきだ。オープンで生まれ変わった新しい自民党を印象付けるのが望ましかった」(若手)などの声が少なくない。
18日の党役員会では、河野太郎幹事長代理が「青木氏は長男に世襲させるために謀ったのではないか」と、青木氏への不信感を示す場面があった。出席者からたしなめられて発言を撤回したが、青木氏の後継選びは不透明な印象を残すことになりそうだ