【コピアポ(チリ北部)=堀内隆】南米チリ・コピアポ郊外のサンホセ鉱山で起きた落盤事故で地下約700メートルに閉じこめられた作業員33人を引き上げる作業が12日午後11時(日本時間13日午前11時)すぎに始まり、13日午前9時半(日本時間同日午後9時半)までに11人が救出用カプセルで地上に戻った。8月5日の事故発生から70日目。同月22日に全員の生存が分かって以来、2カ月近くにわたって続いた救出作戦が、最終局面を迎えた。
最初に救出されたのは、現場の副責任者フロレンシオ・アバロスさん(31)。33人のうち唯一のボリビア人だったカルロス・ママニさん(24)や最年少のジミー・サンチェスさん(19)、最年長のマリオ・ゴメスさん(63)らが次々と救出された。今のところ、生還者の健康に問題はない模様。救出順は健康度や鉱山での経験に応じて決められ、33人のリーダー格だったルイス・ウルスアさん(54)が最後になる予定だ。
救出された作業員らはすぐそばでトリアージ(治療の緊急性の判断)を受けた後、現場の仮設診療所をへてヘリコプターでコピアポの病院に移送された。
鉱山の救出専門家、マヌエル・ゴンサレス氏が12日午後11時20分ごろ、救出カプセル「フェニックス(不死鳥)」に乗り込んで縦穴を下り、16分後に地下の坑道に到達。作業員と抱き合い、握手を交わした。
救出作業の手順の説明の後、アバロスさんを乗せたカプセルが午後11時55分、救出責任者の「引き上げを命じる」の指令とともに上昇を開始。カプセルの先端が地表に顔を出したのは約15分後の13日午前0時10分。ほぼ、事前の想定通りだった。その瞬間、作業員の家族たちが過ごすテントのそばで、チリ国旗をデザインした数十個の風船が宙を舞った。