レンタルした漫画版「天地明察」が面白かった。
原作小説の文庫本が出てたので購入して読みました。
上巻のP.195までが漫画版2巻までに描かれた範囲かな。
キャラの心情は漫画版より詳細に描かれていた。
読み進むにつれ、漫画版は原作に忠実だと良く分かった。
ライトノベル界で作品を発表し続けて来た作者・冲方丁さん。
この作品でも場面描写や登場人物の服装が省略されがち。
「描写も挿絵も無くて情景が見えない」と面食らった。
でもそれらはストーリー自体には関係ない。
ある意味作者の自己満足の世界かも。
必要最小限の場面描写と台詞はまるで映画やドラマの脚本。
ドラマティックな物語にぐいぐい引き込まれて行った。
漫画版で読んだ先の話になると、面白さは更に加速。
「北極出地」の旅路はただただ楽し気だった。
酒井や安藤のストイックさが小気味良くて目に浮かぶ。
建部と伊藤の軽妙なやり取り。
真摯に対応する春海の誠実さが際立っていた。
えんとの縁、颯爽とした村瀬、謎の男・関孝和、
道策の真っ直ぐさ、孤高の人・保科正之、
豪快・光国など次々と魅力的なキャラが登場した。
映画では誰が彼らを演じ、どう描かれるのか?
「イメージを壊さないで欲しい」と願うようになっていた。
ごめん、岡田君って春海のイメージじゃない。
もっとナヨナヨした中性的なイメージがする。
頼りなかった春海が終盤で見違える行動力を発揮。
物語のスピードも一気に加速。
絶妙な布石を打って敵を追い詰め自らの思いを遂げていく。
何手も先を見越して手を打つのは碁も政治も同じだった。
ここで春海が「碁打ち」だったことが活きた!
「関は最後まで出ない?」
そう推測したけど、ちゃんと出たね。
それもあんな感じで登場するとは!
見事に予想を裏切ってくれました。
小説の中身を全て映像化出来る訳はない。
だからと言って映画と小説は別物と割り切って観れもしない。
ただ「天測」は映像で見たいとは思う。