全てを忘れるその日まで

~明日への遺書~

未遂

2018年04月16日 | 日記
昨日は朝から気分が良かった


家に帰ると近所のおばさんからオカズの差し入れ

近所の付き合いが良かったのがせめての救いか

前妻も可愛がってくれていたので、私の話しも良く聞いてくれた

弟さんも私と同じ境遇らしく、お金も殆ど持ち出されて離婚されたらしい


色々と話して、誰も居ない家に帰る

掃除して、洗濯物を畳み

フッと一息ついて

パソコンの写真の整理をする


前妻関連はだいぶ削除したつもりだった

・・・けど

最後の家族旅行の写真が残っていた

と言っても福岡なんだけど、

私が公務員ローンで借りた50万円を2泊3日で使い切った豪遊ぶり

ちょうど12年前の8月4日の出来事

朝のジェットホイル、ヤフオクドームに向かう道、マリノアでの家族写真

まだ前妻が高く、次いで長男、二男は頭一つ分小さい

どの顔もとても楽しそう

家に来たばかりのラムはケチのペットショップに預けたっけ

旅行から帰って迎えに行ったら拗ねて、ケージの奥に引っ込んでたなぁ

楽しかった

我が家の歴史


なぜ


こんな 楽しかった 26年の歴史が詰まった我が家を捨てて彼女は出て行ってしまったのだろう

いかん

いかん


弱気の虫に潰される


処方された安定剤を一錠飲む

呼吸が荒いや


もう 一錠


よくわからないけど、朝起きて2錠飲んでいたから

一日3錠のリミットは超えたか?


でも、効かない


あの日の出来事がフラッシュバックの様に流れては消えてゆく

こんな狭い世界

どこに行っても聖地巡礼

思い出の無いところなんてない

オピネルのナイフを握り締め、倉庫に吊るしたロープに向かう

決意は30秒

30秒、その気になれば全てかたがつく

安定剤の残り6錠程と、今更要らないよなと思いながらも、そばにあった睡眠導入剤も2錠まとめて口に放り込む


パソコンの前に突っ伏し、スライドショーで切り替わる写真を見ながら、薬が効いて楽な気持ちになるその時を待つ

全てが終わるその時を

プリンターからは、かねてから準備していた遺書が吐き出され

その時が来た


みんな、ありがとう

子供たち、ごめんな

父ちゃん、母ちゃん 姉ちゃんがガンで死んだ時の辛さをまた味あわせてしまうね、ごめんなさい

姉ちゃん、兄ちゃん 兄弟がまた減ってしまったけど ごめんなさい

元妻の親、親戚、

色々と心配して貰ったけど、今更慰謝料を請求するつもりはないから心配しないで下さい
関わり合いたくないのは分かるけど、せめて電話くらい出て貰いたかったですけど

元妻へ

色々と思いが錯綜していて、どれがあなたへの本心か、何があなたへの想いかが、今となってはわかりません

幸せ、そうですね・・もし、なれるのであれば

幸せになって貰いたい

そう 思っています


最後にM


俺はお前を死んだ後も許さない

お前と前妻が出遭った事で、我が家の家族の歯車が全て狂ってしまった

だから絶対許さない


薬が効き始め、頭がボーっとしてきた

30秒の決意が試されるとき

オピネルをクビに当て、吊るしたロープにぶらさがり、足元の脚立を蹴飛ばすだけ

それで

その30秒で全てが終わる

苦しみも悲しみも憎しみも

そして

思い出も


何もない 世界へと 旅立てる


踏ん張る足を片足浮かし

蹴とばそうとした刹那


遠くで犬の遠吠え


サク?メロン?ソラ?

もしかして ラムか?


妻から逃げられ、鬱で首から血を撒き散らしながら縊死なんて惨め過ぎるか


後の事は覚えていない

泣きながら姉ちゃんに電話して、家に来てくれた

思いのたけをぶちまけた事


そして


未だ生きている事


幸せなのは 分からない