安倍1強ならぬ「ゴーン1強」。
日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の会長として君臨してきたカリスマ経営者、カルロス・ゴーン氏の突然の逮捕劇は、ゴーン氏の専制支配体制となっていた日産の企業統治の不全を浮き彫りにしました。
私は、ゴーン逮捕の第一報に衝撃を受け、やはり酷かったのか!という気持ちと同時に、なんて残念な日本人経営陣という気持ちを禁じ得ませんでした。
過度な権限集中が招いた剛腕経営者の突然の失脚。
年配の方は「三越の天皇」と言われた岡田会長の代表取締役解任の時の歴史的な名台詞
「なぜだ!?」
を思い出されたかもしれません。
「43%の株を持つルノーのトップが日産のトップを兼任することはガバナンス(企業統治)上、1人に権限が集中しすぎた」
「長年にわたる統治の負の側面と言わざるを得ない」
「当然、解任に値すると理解している」
日産自動車の西川広人社長は、ゴーン会長らの逮捕を受け、2018年11月19日夜に緊急に開いた記者会見で終始、ゴーン会長を突き放す言葉を繰り返しました。
「極端に特定の個人に依存した形ではなく、良い見直しの機会になるのではないか」
とも述べました。
いや、仮にも社長のお前が何言うてんねんと。
どの口でそれを言う!?
わたくし、会社法改正の時には各所で改正のポイント解説をして回り、司法試験受験校の伊藤塾における会社法講義では関西発講義ながらあらゆる試験種の全講義の中での全国ランキングに名前を載せたこともあるのですが(自慢)、会社法改正以前から取締役には他の取締役の業務執行を監督・是正する責任があるんですよ。
まして、西川社長は代表権もある取締役です。それがゴーン氏の専横・不正行為を長年見逃してきて何を言っているんでしょうか。
今の夏発覚した出荷前の自動車の排ガス・燃費データの改ざん問題では、記者団への説明の場をほとんど設けなかったのがこの西川代表取締役社長。
なのに、この日は、側近として長年支えてきたゴーン会長を厳しい口調で断罪する言葉を並べつづけていまして、まず、取締役である前に人としてどうなのか、と思わざるを得なかったのです。
いま、経営者に人としての在り方を問う経営者研修をする会社の取締役を私自身がしているので、余計にそう思わずにはいられませんでした。
会社法上も、取締役が自己の任務を懈怠し(違法かつ故意・過失)、その結果、株主に損害を与えた(日産の株価が大暴落)となれば、損害賠償責任を負います。さらに、株式会社が西川氏ら取締役に損害賠償を求めなければ、株主が彼らに裁判を起こす株主代表訴訟という有名な制度もあるのです。
西川氏がゴーン氏の横暴を言えば言うほど、実はそれを見逃してきた自分たちの首を絞めるようなものなのです。
また、ゴーン会長の側近で、ともに逮捕されたグレッグ・ケリーCEO(最高経営責任者)についても、西川社長は
「ゴーンの権力を背景に社内をコントロールしてきた」
「2人が首謀者であることは間違いない」
と言い切りましたが、お前はどうやねんと小一時間説教してやりたい。
絶対起こりますよ、巨額の株主代表訴訟!
西川氏も、ゴーン会長とともに日産再建に尽力し、その功績が認められて社長に起用された人物であり、社内では
「ゴーンのお気に入りの1人」「ゴーンの腰ぎんちゃく」etc
と見られてきたにもかかわらず、会見では
「ゴーン」
と呼び捨てにも。
頭を
ゴーン
とこづいてやりたくなりました。
いや、そこじゃない(笑)
たしかに、ルノーからゴーン氏が乗り込んできて日産に君臨しだして、私も日本人としては内心面白くなかったです。でも、かつては神のごとく持ち上げていたマスコミの叩き方もひどくありませんか。
また、この20年近く、社内でもゴーン氏ら一部の外国人幹部に対し、
「強欲すぎる」
「貴重なグループ会社を売却し、自動車メーカーとしては問題だ」
と陰でいい、ゴーン流の経営手法に批判的な役員もいたんだといいます。
しかし、それが本当なら、あなた、それを言うのが法律上の義務でしょう。なんのための取締役であり取締役会ですか。
日産社内で、ゴーン会長をめぐる不正な資金工作の告発に協力したのは、法務やコンプライアンスを担当する専務執行役員を含む複数の幹部らだったそうで、検察OBの弁護士の助言を受けながら、東京地検特捜部による事情聴取を受けたのとのことです。
たとえば、ゴーン会長は、東京都港区の高級マンションに居を構えていますが、彼の「自宅」は世界各地にあり、出身地のレバノンにある豪邸は6憶円はくだらないのだそうです(現地の物価で言うと25憶円以上)。
ゴーン会長はほかに、リオデジャネイロなどでも高級住宅を利用していますが、住宅の購入費は日産の子会社などから支出されていたのだとか。
特捜部の聴取を受けた執行役員らは、ゴーン会長が海外の子会社や孫会社の資金を「私的」に使い、海外各地に高級な「自宅」を購入させたとみられる仕組みなどを説明したそうです。
こうなると、ことは有価証券報告書の虚偽記載罪(金融商品取引法違反)だけではなく、業務上横領罪(刑法)、特別背任罪(会社法)などの刑事責任にまで及びます。
しかし、検察庁は捜査に協力した西川氏ら日産幹部とは司法取引をしており、彼らの刑事上の責任は問わないことに決めているのだとか。
ところが、日産本体は法人として刑事上の責任が問われます。ゴーン氏という巨悪を挙げるためには必要な措置とはいえ、日本人の取締役たちの責任逃れに終始するたたずまい、釈然としないとは思いませんか。
こってりと株主たちに絞られるがいいでしょう。
驕れるものは久しからずというのでしょうか。少なくとも3回は逮捕・再逮捕・勾留・起訴されますから、日本の地獄の刑事司法だと少なくとも数か月保釈されません。その間、フランスよりさらにひどい留置場、拘置所に耐えられますかね、この人。
「刑事さんの差し入れのカツどん、トレビアーン!」とは言わねえだろうなあ(笑)。
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日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)が19日、同社の有価証券報告書に自らの役員報酬を約50億円過少記載した容疑で東京地検特捜部に逮捕された。「ゴーン神話はこうして作られた」の著書がある自動車ジャーナリストの遠藤徹さんに話を聞いた。
「今回の事件、日産が変化するチャンスに」 遠藤徹さんの話
当初は「ゴーン神話」と騒がれたが、彼が来てから国内販売網はズタズタにされ、売れそうな車種以外は切り捨てられた。日本のメーカーとして国内シェアを固めた上で海外に打って出るべきなのに、目先の数字だけを追い、コストカットと、ルノーや三菱自動車との3社連合によるシナジー効果で数字の見栄えを良くしてきただけだ。その結果として、飛び抜けた額の報酬をもらっても、理解は得られない。「(高額報酬は)海外では普通」とはいっても、日本では特異で、トヨタ自動車社長と比べても段違いに多い。社員に還元した方がまだよかったのではないか。今回の事件は日産が変化するチャンスになるかもしれない。
日産自動車のカルロス・ゴーン会長が11月19日逮捕された。報酬を過少申告していたほか、社内経費・投資資金を不正流用していたという。同社の西川廣人社長が会見を開き、事態の一部と今後の動向を明らかにした。
日産自動車は11月19日、実際よりも減額した報酬額を有価証券報告書に記載していたなどとして、会長のカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕された問題を巡り、横浜市内の本社で会見を開催。登壇した西川廣人社長は「一人に権力が集中しすぎる状況だった。長年(ゴーン氏が)権力者として君臨していた弊害が大きい」と不正が起きた背景を説明した上で、事態の一部と今後の動向を明らかにした。
報酬を過少申告、社内経費・投資資金を不正流用
西川社長によると、ゴーン氏の不正の内容は(1)報酬の過少申告、(2)私的な目的での投資資金の流用、(3)私的な目的での社内経費の流用――の3点。一連の不正には代表取締役のグレッグ・ケリー氏も深く関与しており、22日に開かれる取締役会で両氏の解任を提案する予定。
ケリー氏は「側近として仕事をする中で、ゴーン氏の権力を背景に、相当な力を持って社内をコントロールしていた」(西川社長、以下同)立場にあったという。
詳細は「捜査の関係上お答えできない」
一部では、ゴーン氏は2015年3月期までの5年間にわたり、計99億9800万円だった報酬を計49億8700万円と記載していた――などと時期や金額の詳細が報道されているが、西川社長は「調査の関係上お答えできない」と詳細を伏せた。不正の動機についても「調査は十分にできているが、お話できない」という。
不正を見抜けなかった原因は「ガバナンスの問題が大きく、透明性が低かった」とし、「権力が一人に集中していたことが大きい」と繰り返した。
西川社長は、ゴーン氏が1990年代の経営不振から日産を立て直す実績を挙げたことにも触れつつ、「他の人間ができなかった非常に大きな改革を実施した実績は紛れもない事実。だが、権力の座に長く座っていたことに対する弊害が見えていた。ゴーンは実務の現場から離れ、レポートしていく人間が限られていた」と実態の一部を明かした。
不正が発覚した経緯も明かせない点が多いとし、西川社長は「内部の通報に端を発して、監査役からの問題提起と社内調査を進め、複数の重大不正の事実確認に至った。内容の重大性を鑑みて検察に報告し、全面的に協力してきた。捜査の進展の結果、両名の逮捕に至った」と説明するにとどまった。
日産・ルノー・三菱自のアライアンスは継続
今回の事件が、従業員の士気や取引先との信頼関係に及ぼす影響については「日本のみならず、世界各国の従業員や販売会社に不安が巻き起こっているだろう。誠に申し訳ない」「取引先や株主の皆さまの信頼を裏切ることになり大変残念。申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と謝罪した。
ゴーン氏は仏RenaultのCEO(最高経営責任者)と三菱自動車の会長にも就いていた。3社を束ねていたゴーン氏が逮捕される事態となったが、日産・ルノー・三菱自のアライアンスは解消しない方針で「むしろ綿密に連携して、各社の事業運営に問題が起きないよう努力し、極端に特定の個人に依存した形から抜け出す」としている。
日産の独立取締役と第三者から構成される専門委員会も近日中に立ち上げ、問題の背景や内容を詳細に調べる計画。後任の体制・人事については未定としつつも、「執行体制についても変えるべきところは変えていく」方針だ。
その後も、日産には軍事部門が残ってたので、日産の仏産化の際には、てっきり右翼の人らが猛反対するかと思いきや・・・・ウヨクって右翼いじゃなくてウリタイヨー(国を)売りたい欲の略だったようで・・・。
日本人労働者も相当数クビにされて、出た利益はルノー経由でフランス政府へ・・ウヨクって日本人労働者のために何かしましたっけ?
ゴーン氏はしがらみがないから冷酷にリストラを断行出来て日産はV字回復したわけですが、その後はハイブリッドの分野でトヨタに差をつけられたりしていますから、経営の戦略眼があるとは到底思えません。
感じ方に個人差はあると思いますが、日産に魅力的な車が全然ないと思っています。スカイラインは個性だった丸目のテールランプをやめたけれど不評だったためにその後戻していますし、GT-Rは価格的に一般人には手が届かない存在になってしまいました。昔はシルビア等私たちでも手が届く魅力的な車がいろいろあったと記憶しています。
今更ながら、ゴーン氏を使わないと経営を立て直せなかった当時の経営陣が情けないと思います。ゴーン氏をもてはやしたり崇拝してきた人たちが氏を増長させたことは間違いないでしょうし、今回の犯罪の間接的な加害者であるといえるのかもしれません。
偶然なのかミスタービーンさんの写真つきのものを使用されていたのは、少し残念でした。
あ、たしかに似てるんだけど、ビーンさん、ちょっとかわいそうだよ!
それはそれとして、このゴーンさんはルネッサンスなんて駄洒落つきのCMしてたね。
その影で数多の首切りやって業績アップ図りながらしこたま銭を隠していたんですね。
外国人経営者に非情なれども合理的なアクションを演じさせて企業のV字回復をやってのけたのも一種の印象操作だったと思う。
ゴーンさんを言い訳にしつつ日本人の経営首脳陣があざといことをしておきながら、風向き変わればかは知らないが、今度はゴーン切りでさもNISSANそのものは被害者なのだと印象づけるとは言い過ぎなのかな。
いや、違うだろう。
ゴーンさんの容疑よりもあの時のやり方に改めて違和感ありですね。
ましてや、これだもんな。
じゃ、ボタンでも押して寝ますわ(笑)。
内部告発、コンプライアンス、司法取引と時代は変わりましたね。
先生は取締役の責任を述べていますが、監査役はどうなのでしょう。
3人は銀行から来た人だそうです。
こちらは変わらないなと思いました。
それにしてもCOOだった志賀はまだ取締役で残っていたのですね。
こちらも実務から外れて知らなかったと、うそぶいていました。