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米連邦最高裁判所は2015年6月26日、同性婚を合憲とし、州法で禁じることを違憲とする判決を下しました。
これにより、同性婚に対する合法・違法論争に終止符が打たれ、州によって判断が分かれていた同性婚が全米50州で認められることになりました。
米国でこれまでに同性婚を認めているのは37州と首都ワシントンでしたが、連邦最高裁は今回、同性婚を禁じているオハイオ、ミシガン、ケンタッキー、テネシーの4州の州法の合憲性を審理し、判事9人のうち5人が合憲と判断したものです。
アンソニー・ケネディ判事が判決文のなかで
「結婚を望む同性愛者は、孤独な生活を余儀なくされたり(婚姻という)文明上最古の制度の一つから締め出されるべきでないとの願いを寄せている。すなわち彼らは法の下の平等と尊厳を希求しているのであって、合衆国憲法はこれを保障するものである」
と述べていることはすでにご紹介しました。
「同性婚は憲法上保障される」米最高裁が歴史的判断!全米で同性婚が合法化!論争に決着!
ファッションのサイト、Fashonnap.comの末尾の記事で、今回の最高裁判決の、以上の部分を含む最後の締めがとても素晴らしい事を知りましたので、拙訳とともにご紹介します。ファッションのサイトで最高裁の判決文が紹介されるということからも、この判決の社会的影響力の大きさがうかがえます。
それにしても、最近何度も読むはめになった砂川事件最高裁判決の判決文のグダグダぶりと比べて(笑)、「本家本元」の名判決はなんて格調高いんだろう。
こんな文学的な表現が許されるのか、アメリカでは。
No union is more profound than marriage, for it embodies the highest ideals of love, fidelity, devotion, sacrifice, and family. In forming a marital union, two people become something greater than once they were. As some of the petitioners in these cases demonstrate, marriage embodies a love that may endure even past death.
It would misunderstand these men and women to say they disrespect the idea of marriage. Their plea is that they do respect it, respect it so deeply that they seek to find its fulfillment for themselves. Their hope is not to be condemned to live in loneliness, excluded from one of civilization's oldest institutions. They ask for equal dignity in the eyes of the law. The Constitution grants them that right. The judgment of the Court of Appeals for the Sixth Circuit is reversed. It is so ordered.
判決文の全文はコチラ
「ゲイの結婚」なんてもうない。今あるのはただ、「結婚」。
どんな人と人との結びつきでも、婚姻ほど深いものはない。なぜなら、婚姻は、愛、貞節、献身、自己犠牲、家族の最高の理想を形にしたものだからだ。
婚姻関係を結ぶことで、二人の人間が、それまでの彼らよりもはるかに偉大な何者かになる。
今回の訴訟の原告らの中には、たとえ過去の死であってもそれを乗り越える愛情を、婚姻は形にすることを証明している者がいる。
これらの男性たちと女性たちは、婚姻という考えに敬意を払おうとしていないと誤解されてきた。
彼らの訴えは、婚姻に敬意を払っているからこそであり、深く敬意を払っているからこそ自分自身たちのために婚姻を達成しようと求めたのである。
原告らが望むのは、孤独のうちに生きるように宣告されないこと、またこの文明社会の最も古い制度から排除されないことである。
彼らは法律上の平等な尊厳を求めているのである。
憲法は、彼らにその権利を保障している。
当法廷は、第六巡回区控訴裁判所の判決を破棄する。
以上のとおり命令する。
支持者に勝訴を告げるために走る若手弁護士(笑)
ニューヨークタイムズ 「平等の尊厳」
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日本では同性婚は憲法違反か 憲法第24条第1項 「婚姻は、両性の平等な合意のみにて成立」を乗り越える
同性婚は「憲法上許容されている」=法制化しても合憲が弁護士の多数意見。あとは国民の意思の問題だ。
今日もこの判決のおかげで朝から爽やかだ。
うちの国のあの人たちが余計なことをしてくれないといいのだけれど。
誤訳があったり、もっと良い訳があったらコメント欄で教えてくださいね。
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同性婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です(祥伝社新書) |
南和行 著 | |
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海外では同性婚を法律で認めている国が多数ある。にもかかわらず、日本では認められていない。 しかし、2015年3月31日、東京都渋谷区で、同性カップルにパートナーシップ証明書を発行する条例が成立した。この意義はきわめて大きい。 本書は、同性愛者である弁護士が、自身の同性婚や、弁護士として関わってきた同性愛者の葛藤(かっとう)と困難、そして法律が家族や婚姻をどう捉(とら)えているのかについて、述べた。加えて、憲法24条と同性婚について論じる。 同性愛だけでなく、多様な性を当たり前に感じる社会であってこそ、すべての人が自分らしく生きられるのだ。
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同性愛と異性愛 (岩波新書) |
岩波書店 |
日本は同性愛者に寛容というのは本当だろうか。なぜ「見えない」存在なのか。エイズ・パニックや「青年の家」利用拒絶事件、ある殺人事件などを題材にしながら、異性愛社会に染み付いたホモフォビア(同性愛嫌悪)の諸相を描き出す。また、同性愛者が肯定的に生きるための取り組みも紹介。同性愛者から見た日本社会論。
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歴史を読み替える ジェンダーから見た世界史 |
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高校の教科書に対応した、ジェンダー視点による初めての世界史。多数の資料とともに新たな歴史像を描き出す、画期的なテキスト。ジェンダー研究の進展に比して、その成果が生かされていない教育現場に一石を投じる。
アメリカ最高裁が同性婚を認める その命令文が美しいと話題に
2015年6月26日、アメリカの連邦最高裁判所は、同性婚を認める判断を示した。これにより事実上、全米で同性婚が合法化されることになる。
アメリカでは、同国全50州のうち、37州と首都ワシントンで同性婚が認められる一方、中西部オハイオ州などの4州では、同性婚を認めない判断を示していた。各州で同性婚に対する判断が分かれていたため、連邦最高裁判所が審理を進めていた。長年議論されていた問題に、どのような決着がつくのか、大きな注目を集めていた。
アメリカでは1970年代以降、同性どうしのカップルが州政府に同性婚を認めるよう求める裁判を起こす動きが目立つようになってきた。しかし、キリスト教保守派を中心に反対は根強く、世論は二分されたままだった。
その歴史に一つの区切りをつける今回の裁判。連邦最高裁判所の裁判所命令が「美しい」と話題になっている。Anthony Kennedy判事による最後の一文だ。
人と人のさまざまな結びつきの中で、結婚以上に深い結びつきがあろうか。なぜなら結婚とは、最も崇高な愛、忠誠、献身、自分を犠牲にしてでも守りたい気持ちを含んでおり、家族を抱くことだ。婚姻関係を結ぶことで、二人の個人は、いままでの自分をはるかに超えて深みのある人間になる。
今回の訴訟の申立人たちは、たとえ死が二人を分かつとしても、なお途切れない愛情が、結婚にはあると証明している。ゆえに、申立人たちが結婚という営みを軽視しているとするのは、大きな誤解である。彼らの申し立ては、結婚という営みの意味を尊重しているがためであり、だからこそ、自らもそれを成し得んとしているのである。
申立人たちが望むのは、非難され、孤独のうちに生涯を終えることのないこと。また、古い体制や思想のために社会から排除されることなく、生を全うできることである。法の下に、平等なる尊厳を求めているのである。憲法は、彼らにもその権利を付与している。よって当法廷は、第六巡回区控訴裁の判断を破棄する。
上記のとおり命令する。
(No union is more profound than marriage, for it embodies the highest ideals of love, fidelity, devotion, sacrifice, and family. In forming a marital union, two people become something greater than once they were. As some of the petitioners in these cases demonstrate, marriage embodies a love that may endure even past death.
It would misunderstand these men and women to say they disrespect the idea of marriage. Their plea is that they do respect it, respect it so deeply that they seek to find its fulfillment for themselves. Their hope is not to be condemned to live in loneliness, excluded from one of civilization's oldest institutions. They ask for equal dignity in the eyes of the law. The Constitution grants them that right. The judgment of the Court of Appeals for the Sixth Circuit is reversed. It is so ordered.)
拙訳:編集部
これまで、異性どうしならば当然認められている「結婚」という権利が、同性愛者には認められていなかった。「結婚」そのものに対しても、多様性が生まれている昨今だが、同性愛者に対しては、まずは第一歩が認められたことになる。
法定は、9人の判事のうち5人が認め、4人が反対。John Roberts裁判長ら4人の反対する主な理由は、「自由の意味は、歴史と伝統に基づくものであるべき(Samuel Alito判事)」「結婚の定義を変えるべきでない(John Roberts裁判長)」など。判決文の全文はコチラから。
同性婚容認の恩恵、全米に 連邦最高裁判決
2015年6月28日05時00分 朝日新聞
米国の連邦最高裁が26日、すべての州での同性婚を認めた。判決は、婚姻の制度が社会にとっていかに大切であるかを強調し、同性カップルがその恩恵を受けられないのは、不当な差別だと結論づけた。米国で長く続いてきた議論に決着をつける節目となった。
■ぎりぎりの判断/社会変化
判決は、9人の判事のうち4人は強い反対意見を述べ、ぎりぎりの判断となった。判決を言い渡したのは、ケネディ判事。保守派とリベラル派に分かれる最高裁判事の中で、最も中間に位置すると言われ、重要な訴訟の決め手を握ることが多い。同性愛者の権利をめぐる過去の訴訟でも多数派をつくり、判決を言い渡しており、今回もリベラル派の4人と組んだ。
米国では、同性婚に賛成の人が増え続け、特に若い人ほど支持する傾向にある。世論調査でも、4年前には賛成と反対がほぼ同数だったが、ピューリサーチセンターの今年の調査では賛成57%、反対39%と差がついた。その意味では世論に沿った判断とも言える。判決は結婚が古来続く、「きわめて大切な制度」だと指摘。そのうえで、親が政治や金銭的な理由で決めていた結婚が個人の決定となり、男性優位から男女平等になるなど「本質的な変化も起きた」と認めた。
また、20世紀半ばまでは同性愛が多くの国で禁止され、精神疾患として扱われた歴史にも言及。こうした状況が様変わりし、同性愛者も家族としてオープンに暮らすようになった結果、同性婚の権利が求められるようになったと述べた。
そのうえで、「婚姻を認めることで家族や子供も法的な保護を受ける」「夫婦は課税や医療などの面で優遇措置を受けるが、同性カップルはその受益を否定されている」などと指摘。同性カップルを婚姻制度から排除することは、法の下の平等を保障した米国憲法に合致しないと結論づけた。
もっとも、宗教的な理由などで反対論は根強い。
最高裁内部でも、立法ではなく、司法が同性婚の権利を確立させることへの抵抗もあった。最高裁のロバーツ長官は「判事は法律解釈の権限が与えられているが、法律がどうであるべきかは言えない」と反対意見を書き、法廷でも要旨を陳述した。
反対した他の判事も全員が個別意見を述べた。「民主主義の危機だ」「多数意見は結論を急ぐあまり、米国の建国の理念をゆがめた」と強い言葉が並んだ。
(ニューヨーク=中井大助)
■解禁の州、結婚次々
判決を受けて、米国では26日、これまで同性婚が認められていなかった州で待ち望んだ結婚をするカップルが相次いだ。
米メディアによると、テキサス州ダラス郡で最初に届け出たのは、ジョージ・ハリスさん(82)とジャック・エバンスさん(85)。婚姻届の用紙に「女性」と印刷されている文字をペンで消して提出した2人は、報道陣らに囲まれて誓い合い、キスを交わした。54年間一緒に住んできたものの、同州が同性婚を認めていなかった。AP通信によると、最高裁判決が言い渡されるまで、同性婚は36州と首都ワシントンで行われ、14州で禁止されていた。
■欧州など法整備進む
同性婚を認める法制度を整える動きは、欧州や中南米を中心に広がっている。
世界で初めて同性婚を認めたのは、2001年のオランダ。03年に隣国ベルギーが、05年には同性婚に反対するカトリック教会の信者が圧倒的多数を占めるスペインが続いた。南アフリカやポルトガル、アルゼンチン、フランス、ニュージーランドなどが同性婚を認めている。
今年5月には、カトリック信者が多数派のアイルランドで国民投票の結果、同性婚を認めることになった。
日本は憲法24条で「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と規定。安倍晋三首相は今年2月の参院本会議で「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されていない」と答弁した。
一方、東京都渋谷区は3月、同性カップルを結婚に準じる関係と認める証明書を発行する条例を成立させた。
(中崎太郎)
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こうした、誰の目にも名文と言える判決はやはりいいですね。どこかの国の「霞ヶ関文学」は、意味不明瞭なだけでなく曲解しやすさ満点。このような良きところだけを見習ってほしいものだわ。
LGBT、バンザイ!渋谷から、全国へ!
○でもそれが功を奏して人類は何万年もの間、命脈を保っているんですよね。
○所がそれに惑わされた同性愛者までが、その牢獄に入れてくれって言っている訳ですから少々滑稽な話ではあるんですよ。
○アメリカ連邦最高裁の決定はその牢獄を美化して人類の永続に資する事になるのか、それとも同性婚を認める事で、男女の結婚を減らして人口の減少に資する事になるのか、私は後者かなって気がします。
○でも今じゃ必要性は薄れているし、義務なんて誰も思ってないでしょう。ですから怒涛の如く非婚化が進んでいるんですね。
○少子化対策として子供手当出そうかなんてそんな問題じゃないと思うんですよ。
○面白い事に人間は長年の習慣はなかなか変えられないんですね。お墓なんてそうでしょう。近年これが悩みの種みたいですが。あ、そうそう、結婚って人生の墓場って言いますよね。